農地法(全27問中5問目)
No.5
農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。令和3年10月試験 問21
- 遺産分割によって農地を取得する場合には、法第3条第1項の許可は不要であるが、農業委員会への届出が必要である。
- 法第3条第1項の許可を受けなければならない場合の売買については、その許可を受けずに農地の売買契約を締結しても、所有権移転の効力は生じない。
- 砂利採取法第16条の認可を受けて市街化調整区域内の農地を砂利採取のために一時的に借り受ける場合には、法第5条第1項の許可は不要である。
- 都道府県が市街化調整区域内の農地を取得して病院を建設する場合には、都道府県知事(法第4条第1項に規定する指定市町村の区域内にあってはその長)との協議が成立すれば、法第5条第1項の許可があったものとみなされる。
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正解 3
問題難易度
肢16.6%
肢27.0%
肢376.8%
肢49.6%
肢27.0%
肢376.8%
肢49.6%
分野
科目:2 - 法令上の制限細目:4 - 農地法
解説
- 正しい。相続・遺産分割により農地を取得した場合、その相続人は3条許可を受ける必要はありません(農地法3条1項12号)。ただし、相続・遺産分割で取得した場合は、遅滞なく、その旨を農業委員会に届け出る必要があります(農地法3条の3)。この届出は実務上、被相続人の死亡を知った時からおおむね10ヶ月以内にすることとされています。
原則として3条許可を受けた権利取得、農地法3条1項各号で許可不要とされている場合は届出しなくても良いのですが、相続等にて権利取得した者は届出が必要です。農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
…
十二 遺産の分割、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十八条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第九百五十八条の三の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
自己所有の農地に住宅を建設する資金を借り入れるため、当該農地に抵当権の設定をする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。(R3⑫-21-1)親から子に対して、所有するすべての農地を一括して贈与する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。(R2⑫-21-2)相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。(R2⑩-21-3)農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。(R2⑩-21-4)金融機関からの資金借入れのために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項の許可が必要である。(R1-21-2)遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。(H30-22-2)銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。(H29-15-3)農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるために、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。(H26-21-3)砂利採取法による認可を受けた砂利採取計画に従って砂利を採取するために農地を一時的に貸し付ける場合には、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。(H24-22-4)相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、遺産の分割により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。(H23-22-1)農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。(H22-22-1)農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受けなければならない。(H21-22-2)建設業者が、農地に復元して返還する条件で、市街化調整区域内の農地を一時的に資材置場として借りる場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要がある。(H20-24-2)農業者が自ら居住している住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合、農地法第3条第1項の許可を受ける必要はない。(H17-25-4)民事調停法による農事調停により農地の所有権を取得する場合には、農地法第3条の許可を受ける必要はない。(H16-24-4)遺産の分割により農地の所有権を取得する場合、農地法第3条の許可を得る必要はない。(H15-23-4)都道府県が、農林水産省令で定める農業振興上の必要性が高いと認められる施設の用に供するために農地を取得する場合には、農地法の許可を受ける必要はない。(H12-25-3) - 正しい。農地法の許可を受けずに行った農地の権利移動の契約は、その効力を生じません。これは「権利移動+転用」の5条許可でも同様です(農地法3条6項)。
第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
- [誤り]。賃借権などの使用収益権の設定は、農地法に定める権利移動に該当します。砂利採取法第16条の認可は許可不要となる例外には該当しないので、一時的な使用をする場合であっても、農地以外への転用には許可が必要です。市街化調整区域内の「権利移動+転用」ですので5条許可を受ける必要があります。
- 正しい。国や都道府県等が、①農地を転用するとき(4条許可の対象)、②農地を転用するために権利移動を行おうとするとき(5条許可の対象)は、都道府県知事等との協議が成立することをもって、農地法の許可があったものとみなされます(農地法4条8項農地法5条4項)。
国又は都道府県等が農地を農地以外のものにしようとする場合(第一項各号のいずれかに該当する場合を除く。)においては、国又は都道府県等と都道府県知事等との協議が成立することをもつて同項の許可があつたものとみなす。
国又は都道府県等が、農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合(第一項各号のいずれかに該当する場合を除く。)においては、国又は都道府県等と都道府県知事等との協議が成立することをもつて第一項の許可があつたものとみなす。
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