業務上の規制(全82問中62問目)

No.62

宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引士証(以下この問において「取引士証」という。)、従業者証明書、従業者名簿、帳簿及び標識に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成19年試験 問45
  1. 宅地建物取引業者の従業者は、宅地建物取引業者が発行する従業者証明書をその業務に従事する間、常に携帯し、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、従業者が宅地建物取引士である場合は、取引士証の提示をもってこれに代えることができる。
  2. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、当該名簿をその者の閲覧に供しなければならないが、当該名簿を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、ディスプレイの画面に表示する方法で閲覧に供することもできる。
  3. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとにその業務に関する帳簿を備え、取引のあったつど、所定の事項を記載しなければならないが、当該帳簿の記載事項を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じ当該事務所においてパソコンやプリンタを用いて紙面に印刷することが可能な環境を整えることで、当該帳簿への記載に代えることができる。
  4. 宅地建物取引業者は、売主として一団の宅地建物の分譲を当該物件から約500m離れた駅前に案内所を設置して行う場合、当該物件の所在する場所及び案内所のそれぞれに、免許証番号、主たる事務所の所在地等の所定の事項を記載した標識を掲示しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢182.3%
肢26.1%
肢35.5%
肢46.1%

解説

  1. [誤り]。宅地建物取引業者は全従業者に対し、従業者証明書を携帯させなければならず、従業者は取引関係者からの請求に応じて従業者証明書を提示しなければなりません(宅建業法48条2項)。従業者証明書の提示に代えて取引士証を提示することは認められません。
    従業者は、取引の関係者の請求があつたときは、前項の証明書を提示しなければならない。
    宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。R5-37-3
    宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。R4-35-1
    宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは、請求がなくても説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。R1-40-1
    宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅地建物取引士証の提示が義務付けられているため、宅地建物取引士証の提示をもって、従業者証明書の提示に代えることができる。H29-37-4
    宅地建物取引士は、取引の関係者から宅地建物取引士証の提示を求められたときは、宅地建物取引士証を提示しなければならないが、従業者証明書の提示を求められたときは、宅地建物取引業者の代表取締役である宅地建物取引士は、当該証明書がないので提示をしなくてよい。H28-38-イ
    宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。H21-43-1
    宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて宅地建物取引士証を提示すればよい。H15-40-2
  2. 正しい。従業者名簿を電磁的記録としてコンピュータで管理している場合は、従業者名簿の提示を求められた際に、紙面でなく、コンピュータの画面を閲覧させて表示することも可能です(宅建業法規則17条の2第3項)。
    法第四十八条第三項に規定する従業者の氏名、住所及び同条第一項の証明書の番号並びに第一項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ当該事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもつて法第四十八条第三項に規定する従業者名簿への記載に代えることができる。この場合における同条第四項の規定による閲覧は、当該ファイル又は電磁的記録媒体に記録されている事項を紙面又は入出力装置の映像面に表示する方法で行うものとする。
  3. 正しい。帳簿についても必要な時に紙面に表示できる等の所定の要件を満たせば、電磁的記録で作成・保存することが可能です(宅建業法規則18条2項)。
    法第四十九条に規定する宅地建物取引のあつた年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積並びに第一項各号に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ当該事務所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもつて法第四十九条に規定する帳簿への記載に代えることができる。
    Aは取引のあったつど、その年月日やその取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他必要な記載事項を帳簿に漏らさず記載し、必要に応じて紙面にその内容を表示できる状態で、電子媒体により帳簿の保存を行っている。R5-36-ウ
    宅地建物取引業者は、帳簿の記載事項を、事務所のパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じ当該事務所においてパソコンやプリンターを用いて明確に紙面に表示する場合でも、当該記録をもって帳簿への記載に代えることができない。R2⑫-41-4
    宅地建物取引業者は、その事務所ごとにその業務に関する帳簿を備えなければならないが、当該帳簿の記載事項を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じ当該事務所においてパソコンやプリンターを用いて紙面に印刷することが可能な環境を整えていたとしても、当該帳簿への記載に代えることができない。H25-41-1
  4. 正しい。一団の宅地建物の分譲を行う案内所、その物件の所在地ともに、所定の標識を設置する必要があります(宅建業法規則19条1項2号、同3号)。どちらの標識にも、免許証番号、主たる事務所の所在地等の所定の事項を記載しなければなりません。
    宅地建物取引業者は、一団の宅地建物の分譲をする場合における当該宅地又は建物の所在する場所に国土交通省令で定める標識を掲示しなければならない。R3⑩-40-3
    Aは、法第50条第2項に定める届出を甲県知事及び乙県知事へ届け出る必要はないが、当該マンションの所在する場所に法第50条第1項で定める標識を掲示しなければならない。H26-28-2
    A社は、マンションの所在する場所に法第50条第1項の規定に基づく標識を掲げなければならないが、B社は、その必要がない。H24-42-ア
    A社は、当該案内所に法第50条第1項の規定に基づく標識を掲げなければならないが、当該標識へは、B社の商号又は名称及び免許証番号も記載しなければならない。H24-42-エ
    宅地建物取引業者は、販売予定の戸建住宅の展示会を実施する際、会場で売買契約の締結や売買契約の申込みの受付を行わない場合であっても、当該会場内の公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める標識を掲示しなければならない。H20-42-1
    A及びBは当該マンションの所在する場所について、法第50条第1項に規定する標識をそれぞれ掲示しなければならない。H16-43-1
    Aは、マンションの所在する場所に自己の標識を掲示する必要があるが、Bは、その必要はない。H14-42-2
したがって誤っている記述は[1]です。