業務上の規制(全77問中59問目)
No.59
宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。平成18年試験 問41
- Aは、自ら売主として売買契約を締結したが、履行の着手前に買主から手付放棄による契約解除の申出を受けた際、違約金の支払を要求した。
- Aは、建物の貸借の媒介において、契約の申込時に預り金を受領していたが、契約の成立前に申込みの撤回がなされたときに、既に貸主に預り金を手渡していることから、返金を断った。
- Aは、自ら売主として行う造成済みの宅地の売買において、買主である宅地建物取引業者と、「Aは当該宅地の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わない」旨の特約を記載した売買契約を締結した。
- Aは、自ら売主として工事完了前の土地付建物の売買契約を締結するとき、契約書の記載事項のうち、当該物件の引渡時期が確定しないので、その記載を省略した。
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正解 3
問題難易度
肢18.0%
肢29.1%
肢372.2%
肢410.7%
肢29.1%
肢372.2%
肢410.7%
分野
科目:E - 宅地建物取引業法等細目:5 - 業務上の規制
解説
- 違反する。民法では手付解除があった場合に損害賠償を請求することはできないとしています(民法557条2項民法545条4項)。よって、履行の着手前に買主から手付放棄による契約解除の申出を受けた場合でも、違約金の支払を要求することはできません。正当な理由なく違約金を要求して解除を妨げる行為は宅建業法違反となります(宅建業法規則16条の12第3号)。
第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。
解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
宅地建物取引業者の相手方等が手付を放棄して契約の解除を行うに際し、正当な理由なく、当該契約の解除を拒み、又は妨げること。
- 違反する。宅地建物取引業者の相手方が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒む行為は禁止されています(宅建業法規則16条の12第2号)。貸借の媒介では、宅地建物取引業者が借主から借賃、権利金、敷金等を一時的に預かり貸主に送金することがありますが、既に貸主に送金している等の理由があっても返金を断ることはできません。
宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。
- [違反しない]。契約不適合を担保すべき責任に関する特約の制限(40条)は、8種制限の一つであるため、宅地建物取引業者間の取引には適用されません(宅建業法78条2項)。民法上の売主の担保責任は任意規定とされているので、買主が宅地建物取引業者である場合には当事者間の合意により担保責任を負わないとする特約も可能です。
第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。
- 違反する。物件の引渡し時期は37条書面の必須記載事項です。いつが履行期なのかはっきりしないとトラブルに繋がるため、具体的な年月日を記載する必要があります。引渡時期が未確定などの理由があっても、未定と記載したり記載を省略したりすることはできません(宅建業法37条1項4号)。
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