監督処分・罰則(全18問中3問目)

No.3

宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に基づく監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
  1. 宅地建物取引業者A(国土交通大臣免許)が甲県内における業務に関し、法第37条に規定する書面を交付していなかったことを理由に、甲県知事がAに対して業務停止処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。
  2. 乙県知事は、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならず、聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
  3. 丙県知事は、宅地建物取引業者C(丙県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、免許を取り消さなければならない。
  4. 宅地建物取引業者D(丁県知事免許)は、法第72条第1項の規定に基づき、丁県知事から業務について必要な報告を求められたが、これを怠った。この場合、Dは50万円以下の罰金に処せられることがある。
令和元年試験 問29
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 3

問題難易度
肢113.2%
肢226.6%
肢350.0%
肢410.2%

解説

  1. 誤り。当該業務を行った都道府県を管轄する知事は、37条書面の交付を怠った宅地建物取引業者に対して、1年以内の業務停止処分をすることができます。この処分は特に協議なく行うことができます(宅建業法65条4項)。
    内閣総理大臣に協議しなければならないのは、国土交通大臣が監督処分をする場合のみです(宅建業法71条の2)。
    宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が乙県内において法第32条違反となる広告を行った。この場合、乙県知事から業務停止の処分を受けることがある。H26-44-ア
  2. 正しい。国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対して指示処分・業務停止処分をするときは、聴聞を行う必要があります。なお、その審理は公開をしなければなりません(宅建業法69条1項)。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、第六十五条又は第六十八条の規定による処分をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対して必要な指示をしようとするときは、行政手続法に規定する弁明の機会を付与しなければならない。H24-44-1
    国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対し、業務の停止を命じ、又は必要な指示をしようとするときは聴聞を行わなければならない。H23-44-2
    甲県知事は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならず、その期日における審理は、公開により行わなければならない。H21-45-2
    都道府県知事は、Aに対し、業務停止処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないが、指示処分をするときは、聴聞を行う必要はない。H14-39-3
  3. 正しい。宅地建物取引業者が免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合、免許権者は免許を取り消さなければなりません(宅建業法66条1項6号)。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。

    六 免許を受けてから一年以内に事業を開始せず、又は引き続いて一年以上事業を休止したとき。
    Aが、不正の手段により甲県知事から免許を受けたとき、甲県知事はAに対して当該免許を取り消さなければならない。R3⑫-28-ア
    宅地建物取引業者E(丁県知事免許)が引き続いて1年以上事業を休止したときは、丁県知事は免許を取り消さなければならない。R3⑫-36-4
    宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が乙県内に新たに支店を設置して宅地建物取引業を営んでいる場合において、免許換えの申請を怠っていることが判明したときは、Aは、甲県知事から業務停止の処分を受けることがある。H28-37-ア
    宅地建物取引業者D(国土交通大臣免許)は、甲県知事から業務停止の処分を受けた。この場合、Dが当該処分に違反したとしても、国土交通大臣から免許を取り消されることはない。H26-44-エ
    宅地建物取引業者C社の非常勤役員が、刑法第208条の3(凶器準備集合及び結集)の罪により罰金の刑に処せられたとしても、C社の免許は取り消されることはない。H25-26-3
    宅地建物取引業者D社の代表取締役が、法人税法違反により懲役の刑に処せられたとしても、執行猶予が付されれば、D社の免許は取り消されることはない。H25-26-4
    宅地建物取引業者G社は、引き続いて1年以上事業を休止したときは、免許の取消しの対象となる。H23-27-4
    Aが、乙県の区域内の業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合でも、乙県知事は、Aの免許を取り消すことはできない。H18-45-1
    Aが、甲県の区域内の業務に関し甲県知事から指示を受け、その指示に従わなかった場合で、情状が特に重いときであっても、国土交通大臣は、Aの免許を取り消すことはできない。H18-45-3
    甲県知事の免許を受けているE社の取締役Fが、刑法第208条(暴行)の罪により罰金の刑に処せられた場合、E社の免許は取り消される。H17-31-4
    Aが、乙県の区域内におけるAの業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合、乙県知事は、Aの免許を取り消すことができる。H12-43-1
  4. 正しい。宅地建物取引業者が、国土交通大臣や都道府県知事からの求めに反して報告をしなかった場合は、50万円以下の罰金に処せられます(宅建業法72条1項、宅建業法83条1項5号)。
    宅地建物取引業者D(丙県知事免許)は、法第72条第1項に基づく丙県職員による事務所への立入検査を拒んだ。この場合、Dは、50万円以下の罰金に処せられることがある。H29-29-4
    Aは、乙県内の業務に関し、甲県知事又は乙県知事から報告を求められることはあるが、乙県知事から必要な指示を受けることはない。H25-42-4
    宅地建物取引業者(甲県知事免許)が、乙県内で宅地建物取引業を営んでいる場合、乙県知事は、取引の業務について必要な報告を求めることができるが、当該宅地建物取引業者の事務所に立ち入り、帳簿の検査をすることはできない。H14-44-4
したがって正しいものは「三つ」です。