宅建試験過去問題 令和3年12月試験 問28
問28
宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に関する監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。- Aが、不正の手段により甲県知事から免許を受けたとき、甲県知事はAに対して当該免許を取り消さなければならない。
- Aが、法第3条の2第1項の規定により付された条件に違反したときは、甲県知事はAの免許を取り消さなければならない。
- Aが、事務所の公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなかった場合、Aは甲県知事から指示処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。
- Aの従業者名簿の作成に当たり、法第48条第3項の規定により記載しなければならない事項についてAの従業者Bが虚偽の記載をした場合、Bは罰則の適用を受けることはあるが、Aは罰則の適用を受けることはない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
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正解 1
問題難易度
肢146.1%
肢243.6%
肢39.0%
肢41.3%
肢243.6%
肢39.0%
肢41.3%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:11 - 監督処分・罰則
解説
- 正しい。以下の図解は、免許を取り消さなければならないとき(必要的免許取消事由)と、免許を取り消すことができるとき(任意的免許取消事由)をまとめたものです。不正の手段で免許を受けた場合には、免許権者はその宅地建物取引業者の免許を取り消さなければなりません(宅建業法66条1項8号)。
国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。
…
八 不正の手段により第三条第一項の免許を受けたとき。宅地建物取引業者E(丁県知事免許)が引き続いて1年以上事業を休止したときは、丁県知事は免許を取り消さなければならない。(R3⑫-36-4)丙県知事は、宅地建物取引業者C(丙県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、免許を取り消さなければならない。(R1-29-ウ)宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が乙県内に新たに支店を設置して宅地建物取引業を営んでいる場合において、免許換えの申請を怠っていることが判明したときは、Aは、甲県知事から業務停止の処分を受けることがある。(H28-37-ア)宅地建物取引業者D(国土交通大臣免許)は、甲県知事から業務停止の処分を受けた。この場合、Dが当該処分に違反したとしても、国土交通大臣から免許を取り消されることはない。(H26-44-エ)宅地建物取引業者C社の非常勤役員が、刑法第208条の3(凶器準備集合及び結集)の罪により罰金の刑に処せられたとしても、C社の免許は取り消されることはない。(H25-26-3)宅地建物取引業者D社の代表取締役が、法人税法違反により懲役の刑に処せられたとしても、執行猶予が付されれば、D社の免許は取り消されることはない。(H25-26-4)宅地建物取引業者G社は、引き続いて1年以上事業を休止したときは、免許の取消しの対象となる。(H23-27-4)Aが、乙県の区域内の業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合でも、乙県知事は、Aの免許を取り消すことはできない。(H18-45-1)Aが、甲県の区域内の業務に関し甲県知事から指示を受け、その指示に従わなかった場合で、情状が特に重いときであっても、国土交通大臣は、Aの免許を取り消すことはできない。(H18-45-3)甲県知事の免許を受けているE社の取締役Fが、刑法第208条(暴行)の罪により罰金の刑に処せられた場合、E社の免許は取り消される。(H17-31-4)Aが、乙県の区域内におけるAの業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合、乙県知事は、Aの免許を取り消すことができる。(H12-43-1) - 誤り。宅地建物取引業者が免許の条件に違反した場合、免許権者はその宅地建物取引業者の免許を取り消すことができます。本肢は「取り消さなければならない」としているので誤りです(宅建業法66条2項)。
国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が第三条の二第一項の規定により付された条件に違反したときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。
- 誤り。報酬額の掲示義務(法46条4項)に違反した場合、指示処分を受けることがあるとともに、50万円以下の罰金に処されます(宅建業法65条1項宅建業法82条2号)。どの違反がどの罰則になるかを覚えるのは難しいですが、法の実効性を担保するため、宣言的な条文を除いたほぼすべての義務規定に罰則が付いていると考えましょう。
国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許(第五十条の二第一項の認可を含む。次項及び第七十条第二項において同じ。)を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定(中略)に違反した場合においては、当該宅地建物取引業者に対して、必要な指示をすることができる。
次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
…
二 第三十七条、第四十六条第四項、第四十八条第一項又は第五十条第一項の規定に違反した者宅地建物取引士が都道府県知事から指示処分を受けた場合において、宅地建物取引業者(国土交通大臣免許)の責めに帰すべき理由があるときは、国土交通大臣は、当該宅地建物取引業者に対して指示処分をすることができる。(H30-32-1)宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとして、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、国土交通大臣から業務の停止を命じられた。この場合、Aは、甲県知事から法に基づく指示処分を受けることがある。(H29-29-1)宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法に違反した場合に限り、監督処分の対象となる。(H23-44-3)Aの専任の宅地建物取引士が事務禁止処分を受けた場合において、Aの責めに帰すべき理由があるときは、甲県知事は、Aに対して指示処分をすることができる。(H20-45-1)Aが、乙県内で行う建物の売買に関し、取引の関係者に損害を与えるおそれが大であるときは、Aは、甲県知事から指示処分を受けることはあるが、乙県知事から指示処分を受けることはない。(H19-36-2)Aの取締役が宅地建物取引業の業務に関し、建築基準法の規定に違反したとして罰金刑に処せられた場合、甲県知事は、Aに対して必要な指示をすることができる。(H18-45-4)Aの取締役が宅地建物取引業の業務に関するものではないが、脱税し、所得税法に違反したとして罰金刑に処せられた場合、Aは指示処分を受けることがある。(H14-39-4)Aの宅地建物取引士が、乙県の区域内におけるAの業務を行う場合に、宅地建物取引士としての事務に関し著しく不当な行為をして乙県知事から指示の処分を受けたとき、乙県知事は、Aに対しても指示の処分をすることがある。(H12-43-3) - 誤り。従業者名簿に虚偽記載があった場合、その虚偽記載をした者が罰則(50万円以下の罰金)の対象となります(宅建業法83条1項3号の2)。さらに両罰規定により、使用者のAも同様の罰金刑を受けることがあります(宅建業法84条2号)。よって、「Aは罰則の適用を受けることはない」とする本肢は誤りです。
次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
…
三の二 第四十八条第三項の規定に違反して従業者名簿を備えず、又はこれに同項に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
…
二 第八十条又は第八十一条から第八十三条まで(同条第一項第三号を除く。) 各本条の罰金刑
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