宅建試験過去問題 平成25年試験 問42

問42

甲県知事の宅地建物取引士資格登録(以下この問において「登録」という。)を受けている宅地建物取引士Aへの監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Aは、乙県内の業務に関し、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をした場合、乙県知事から必要な指示を受けることはあるが、宅地建物取引士として行う事務の禁止の処分を受けることはない。
  2. Aは、乙県内において業務を行う際に提示した宅地建物取引士証が、不正の手段により交付を受けたものであるとしても、乙県知事から登録を消除されることはない。
  3. Aは、乙県内の業務に関し、乙県知事から宅地建物取引士として行う事務の禁止の処分を受け、当該処分に違反したとしても、甲県知事から登録を消除されることはない。
  4. Aは、乙県内の業務に関し、甲県知事又は乙県知事から報告を求められることはあるが、乙県知事から必要な指示を受けることはない。

正解 2

問題難易度
肢15.9%
肢274.0%
肢310.6%
肢49.5%

解説

宅地建物取引士への監督処分をまとめると次のようになります。
  1. 誤り。宅地建物取引士に対して指示処分や事務禁止処分ができるのは、宅建士登録をしている都道府県知事と業務地の都道府県知事です。よって、乙県知事から事務禁止処分を受けることもあります(宅建業法68条4項)。
    都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅地建物取引士が第一項各号のいずれかに該当する場合又は同項若しくは前項の規定による指示に従わない場合においては、当該宅地建物取引士に対し、一年以内の期間を定めて、宅地建物取引士としてすべき事務を行うことを禁止することができる。
    宅地建物取引業者E社(甲県知事免許)の専任の宅地建物取引士であるF(乙県知事登録)は、E社が媒介した丙県に所在する建物の売買に関する取引において宅地建物取引士として行う事務に関し著しく不当な行為をした場合、丙県知事による事務禁止処分の対象となる。H24-36-4
  2. [正しい]。不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けたことは登録消除の事由ですが、登録の消除は、宅建士登録を受けている都道府県知事のみしか行うことができません(宅建業法68条の2第1項)。
    都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該登録を消除しなければならない。
    Aは、乙県内の業務に関し、乙県知事から宅地建物取引士として行う事務の禁止の処分を受け、当該処分に違反したとしても、甲県知事から登録を消除されることはない。H25-42-3
  3. 誤り。事務禁止処分に違反した場合は、必ず登録消除処分となります(宅建業法68条の2第1項)。
    都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該登録を消除しなければならない。

    四 前条第一項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき又は同条第二項若しくは第四項の規定による事務の禁止の処分に違反したとき。
    Aは、乙県内において業務を行う際に提示した宅地建物取引士証が、不正の手段により交付を受けたものであるとしても、乙県知事から登録を消除されることはない。H25-42-2
  4. 誤り。宅地建物取引士は、乙県内の業務に関し、甲県知事又は乙県知事から報告を求められることがあります(宅建業法72条1項)。また、乙県知事から必要な指示を受ける場合もあります(宅建業法68条3項)。
    国土交通大臣は、宅地建物取引業を営むすべての者に対して、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で宅地建物取引業を営む者に対して、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その業務について必要な報告を求め、又はその職員に事務所その他その業務を行なう場所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる。
    都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅地建物取引士が第一項各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引士に対し、必要な指示をすることができる。
    宅地建物取引業者D(丁県知事免許)は、法第72条第1項の規定に基づき、丁県知事から業務について必要な報告を求められたが、これを怠った。この場合、Dは50万円以下の罰金に処せられることがある。R1-29-エ
    宅地建物取引業者D(丙県知事免許)は、法第72条第1項に基づく丙県職員による事務所への立入検査を拒んだ。この場合、Dは、50万円以下の罰金に処せられることがある。H29-29-4
    宅地建物取引業者(甲県知事免許)が、乙県内で宅地建物取引業を営んでいる場合、乙県知事は、取引の業務について必要な報告を求めることができるが、当該宅地建物取引業者の事務所に立ち入り、帳簿の検査をすることはできない。H14-44-4
したがって正しい記述は[2]です。