宅建試験過去問題 平成24年試験 問44

問44

宅地建物取引業法の規定に基づく監督処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対して必要な指示をしようとするときは、行政手続法に規定する弁明の機会を付与しなければならない。
  2. 甲県知事は、宅地建物取引業者A社(国土交通大臣免許)の甲県の区域内における業務に関し、A社に対して指示処分をした場合、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に通知するとともに、甲県の公報により公告しなければならない。
  3. 乙県知事は、宅地建物取引業者B社(丙県知事免許)の乙県の区域内における業務に関し、B社に対して業務停止処分をした場合は、乙県に備えるB社に関する宅地建物取引業者名簿へ、その処分に係る年月日と内容を記載しなければならない。
  4. 国土交通大臣は、宅地建物取引業者C社(国土交通大臣免許)が宅地建物取引業法第37条に規定する書面の交付をしていなかったことを理由に、C社に対して業務停止処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。

正解 4

問題難易度
肢112.3%
肢211.3%
肢315.5%
肢460.9%

解説

  1. 誤り。免許権者が宅地建物取引業者に対し監督処分をするときは、指示・業務停止・免許取消を問わず聴聞を行う必要があります(宅建業法69条1項)。行政手続法では行政が不利益処分をしようとするときには踏む手順として聴聞・弁明という2つの区分が規定されていますが、宅地建物取引業者に対する処分では常に聴聞になります。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、第六十五条又は第六十八条の規定による処分をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
    乙県知事は、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならず、聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。R1-29-イ
    国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対し、業務の停止を命じ、又は必要な指示をしようとするときは聴聞を行わなければならない。H23-44-2
    甲県知事は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならず、その期日における審理は、公開により行わなければならない。H21-45-2
    都道府県知事は、Aに対し、業務停止処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないが、指示処分をするときは、聴聞を行う必要はない。H14-39-3
  2. 誤り。監督処分をした場合にその旨を公告する必要があるのは、業務停止処分と免許取消処分だけであり、指示処分については公告が不要とされています(宅建業法70条1項)。よって、指示処分の旨を「公告しなければならない」とする本肢は誤りです。
    また、都道府県知事が、都道府県の区域内で業務を行う宅地建物取引業者に対して監督処分を行った場合には、その旨を遅滞なく、免許権者が国土交通大臣であるときは国土交通大臣に報告し、免許権者が都道府県知事であるときは当該都道府県知事に通知しなければなりません(宅建業法70条3項)。このため、国土交通大臣免許の宅地建物取引業者A社に指示処分をした甲県知事は国土交通大臣に「報告」することになります。本肢では「通知」としているので、この点も誤りです。
    国土交通大臣又は都道府県知事は、第六十五条第二項若しくは第四項、第六十六条又は第六十七条の二第一項若しくは第二項の規定による処分をしたときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
    都道府県知事は、第六十五条第三項又は第四項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、当該宅地建物取引業者が国土交通大臣の免許を受けたものであるときは国土交通大臣に報告し、当該宅地建物取引業者が他の都道府県知事の免許を受けたものであるときは当該他の都道府県知事に通知しなければならない。
    都道府県知事は、宅地建物取引士に対して登録消除処分を行ったときは、適切な方法で公告しなければならない。R5-41-4
    甲県知事は、宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報により公告しなければならない。H22-44-4
    甲県知事は、Aに対して指示処分をした場合には、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。H20-45-4
  3. 誤り。B社は丙県知事免許ですから、B社が記載された宅建業者名簿は丙県に備えられています。本肢は「乙県に備える」としている点で誤りです。
  4. [正しい]。国土交通大臣は、すべての宅地建物取引業者に対して指導・助言・勧告を行えますが、一定の監督処分をしようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣と協議しなければなりません(宅建業法71条の2第1項)。
    一定の監督処分とは、①重要事項の説明義務違反、②37条書面の交付義務違反、③誇大広告等の禁止違反、④取引態様の明示義務違反、⑤守秘義務違反の5つです。
    国土交通大臣は、その免許を受けた宅地建物取引業者が第三十一条第一項、第三十二条から第三十四条まで、第三十四条の二第一項(第三十四条の三において準用する場合を含む。次項において同じ。)、第三十五条(第三項を除き、同条第四項及び第五項にあつては、同条第一項及び第二項に係る部分に限る。次項において同じ。)、第三十五条の二から第四十五条まで、第四十七条又は第四十七条の二の規定に違反した場合(当該宅地建物取引業者が、第三十五条第一項第十四号イに規定する宅地建物取引業者の相手方等と契約を締結する場合に限る。)において、第六十五条第一項(第二号から第四号までを除く。)若しくは第二項(第一号及び第一号の二を除く。)又は第六十六条第一項(第一号から第八号までを除く。)の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。
    国土交通大臣は、宅地建物取引業者C(国土交通大臣免許)に対し、法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行わなかったことを理由に業務停止を命じた場合は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に通知しなければならない。H29-29-3
したがって正しい記述は[4]です。