業務上の規制(全85問中74問目)

No.74

次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。
平成15年試験 問35
  1. 信託会社Aは、国土交通大臣に対し事務所を設置して宅地建物取引業を営む旨の届出をした後、営業保証金の供託又は宅地建物取引業保証協会への加入をせず宅地建物取引業の業務を開始した。
  2. 宅地建物取引業者Bは、自ら売主として宅地建物取引業者でないCと4,000万円の宅地の割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えた。残代金1,000万円が未払であったため、Cは代金債務を保証する保証人を立てたが、Bは、宅地の所有権の登記をB名義のままにしておいた。
  3. 一の宅地建物取引業保証協会の社員である宅地建物取引業者Dは、自らが取引の相手方に対し損害を与えたときに備え、相手方の損害を確実に補填できるよう、他の宅地建物取引業保証協会に加入した。
  4. 宅地建物取引業者Eは、Fの所有する宅地を取得することを停止条件として、宅地建物取引業者Gとの間で自ら売主として当該宅地の売買契約を締結した。

正解 4

問題難易度
肢126.3%
肢221.5%
肢37.9%
肢444.3%

解説

  1. 違反する。届出により宅地建物取引業者とみなされた信託会社には、免許に関する部分を除き、宅建業法の規制が適用されます(宅建業法77条1項)。営業保証金の供託又は保証協会への加入についても適用があるので、これらを行わずに業務を開始すると宅建業法違反となります。
    第三条から第七条まで、第十二条、第二十五条第七項、第六十六条及び第六十七条第一項の規定は、信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第三条又は第五十三条第一項の免許を受けた信託会社(政令で定めるものを除く。次項及び第三項において同じ。)には、適用しない。
    信託業法第3条の免許を受けた信託会社で宅地建物取引業を営むものは、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなされるため、営業保証金を供託した旨の届出を国土交通大臣に行わない場合は、国土交通大臣から免許を取り消されることがある。H25-27-2
  2. 違反する。宅地建物取引業者が自ら売主、宅地建物取引業者以外が買主となる割賦販売において、残代金について抵当権若しくは保証人の設定がある場合は、以下の時期までに所有権の登記等を済ませなければなりません(宅建業法43条1項)。
    引渡し時に代金の3割超を受領している
    引渡し時まで
    引渡し時に代金の3割超を受領していない
    代金の3割超の支払いを受けるときまで
    本肢は、既に支払った金額が「4,000万円-1,000万円=3,000万円」と代金全体の3割を超えており、残代金について保証人を立てているので、保証人を立てた時点で所有権移転登記を行う必要があります。
    宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合には、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けていない場合にあつては、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。ただし、買主が、当該宅地又は建物につき所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。
    割賦販売の契約を締結し、当該土地付建物を引き渡した場合、Aは、Bから800万円の賦払金の支払を受けるまでに、当該土地付建物に係る所有権の移転登記をしなければならない。R3⑩-42-1
    A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。H23-39-3
    Aは、Bとの間で宅地の割賦販売の契約(代金3,000万円)を締結し、当該宅地を引き渡した。この場合において、Aは、Bから1,500万円の割賦金の支払を受けるまでに、当該宅地に係る所有権の移転登記をしなければならない。H21-37-4
  3. 違反する。宅地建物取引業者は、複数の保証協会に加入することはできません(宅建業法64条の4第1項
    一の宅地建物取引業保証協会の社員である者は、他の宅地建物取引業保証協会の社員となることができない。
    保証協会に加入している宅地建物取引業者は、保証を手厚くするため、更に別の保証協会に加入することができる。R2⑫-30-3
    保証協会に加入することは宅地建物取引業者の任意であり、一の保証協会の社員となった後に、宅地建物取引業に関し取引をした者の保護を目的として、重ねて他の保証協会の社員となることができる。H28-31-1
    保証協会に加入することは宅地建物取引業者の任意であるが、一の保証協会の社員となった後に、重ねて他の保証協会の社員となることはできない。H19-44-1
    一の保証協会の社員が、同時に他の保証協会の社員となっても差し支えない。H14-43-3
    Aは、宅地建物取引業を行うに当たり保証協会へ加入することが義務付けられているが、一の保証協会の社員となった後に、重ねて他の保証協会の社員となることはできない。H12-45-1
  4. [違反しない]。宅地建物取引業者が自ら売主として、他人物売買を行うことは原則として禁止されています(宅建業法33条の2)。ただし、この規定は宅地建物取引業者間の取引には適用されません(宅建業法78条2項)。本肢では、買主が宅地建物取引業者なので、他人の土地を目的物とする売買契約を締結しても違反ではありません。
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    宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
    第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。
    宅地建物取引業者Fは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Gと売買契約の予約を締結した。R3⑫-38-ウ
    宅地建物取引業者Hは、農地の所有者Iと建物の敷地に供するため農地法第5条の許可を条件とする売買契約を締結したので、自ら売主として宅地建物取引業者ではない個人JとI所有の農地の売買契約を締結した。R3⑫-38-エ
    宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物についての自ら売主となる売買契約を締結してはならないが、当該売買契約の予約を行うことはできる。R1-27-ア
    Aは、宅地建物取引業者ではないBが所有する宅地について、Bとの間で確定測量図の交付を停止条件とする売買契約を締結した。その後、停止条件が成就する前に、Aは自ら売主として、宅地建物取引業者ではないCとの間で当該宅地の売買契約を締結した。R1-35-1
    Aは、宅地建物取引業者でないCが所有する宅地について、自らを売主、宅地建物取引業者Dを買主とする売買契約を締結することができる。H28-41-3
    Cが建物の所有権を有している場合、AはBとの間で当該建物の売買契約を締結してはならない。ただし、AがCとの間で、すでに当該建物を取得する契約(当該建物を取得する契約の効力の発生に一定の条件が付されている。)を締結している場合は、この限りではない。H27-34-1
    当該宅地が、Aの所有に属しない場合、Aは、当該宅地を取得する契約を締結し、その効力が発生している場合においても、当該宅地の引渡しを受けるまでは、Bとの間で売買契約を締結することができない。H22-40-4
    Aは、自己の所有に属しない建物を売買する場合、Aが当該建物を取得する契約を締結している場合であっても、その契約が停止条件付きであるときは、当該建物の売買契約を締結してはならない。H19-41-1
    競売開始決定がなされた自己の所有に属しない宅地について、裁判所による競売の公告がなされた後、入札前に、自ら売主として宅地建物取引業者でない者と当該宅地の売買契約を締結することH13-34-エ
    自己の所有に属しない宅地又は建物について、宅地建物取引業法で定める一定の場合を除いて、自ら売主となる売買の予約を締結することH13-45-イ
したがって違反しないものは[4]です。