8種制限(全76問中67問目)

No.67

宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主との間で締結した宅地の売買契約について、買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき売買契約の解除(以下この問において「クーリング・オフ」という。)をする場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成15年試験 問39
  1. 買主Bは、20区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けを申し込み、契約を締結して、手付金を支払った。Bは、Aからクーリング・オフについて書面で告げられていなくても、その翌日に契約の解除をすることができる。
  2. 買主Cは、喫茶店で買受けの申込みをした際に、Aからクーリング・オフについて書面で告げられ、その4日後にAの事務所で契約を締結した場合、契約締結日から起算して8日が経過するまでは契約の解除をすることができる。
  3. 買主Dは、ホテルのロビーで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に手付金を支払った。その3日後、Dから、クーリング・オフの書面が送付されてきた場合、Aは、契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺することができる。
  4. 買主Eは、自ら指定したレストランで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に代金の全部を支払った。その6日後、Eは、宅地の引渡しを受ける前にクーリング・オフの書面を送付したが、Aは、代金の全部が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。

正解 1

問題難易度
肢169.1%
肢214.9%
肢32.7%
肢413.3%

解説

  1. [正しい]。本肢のテント張りの案内所のように、契約・申込みを行う案内所であっても土地に定着していない案内所についてはクーリング・オフの適用があります(宅建業法規則16条の5第1号ロ)。クーリング・オフの権利を失うのは、その旨を記載した書面で告げられた日から8日を経過したときですが、本肢は当該書面を受け取っていないのでクーリング・オフの起算日が開始されていないことになります。よって、買受け申込みの翌日にクーリング・オフの権利を行使して契約解除をすることができます。
    当該宅地建物取引業者が一団の宅地建物の分譲を案内所(土地に定着する建物内に設けられるものに限る。ニにおいて同じ。)を設置して行う場合にあつては、その案内所
    届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この問において「一団の宅地建物の分譲」という。)をする場合に設置する案内所が定められているが、当該案内所が土地に定着する建物内に設けられる場合、クーリング・オフ制度の適用が除外される。R6-39-2
    Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、2日後、Aの事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に当該契約について解除の書面を送付した場合、Aは代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。R2⑫-39-1
    BがAのモデルルームにおいて買受けの申込みをし、Bの自宅付近の喫茶店で売買契約を締結した場合は、Bは売買契約を解除することができない。H17-41-1
    Aが、法第31条の3第1項の規定により専任の宅地建物取引士を置いて現地案内所を設置している場合に、当該案内所で買受けの申込みをした者は、申込みの日から起算して8日以内であれば、無条件で申込みの撤回をすることができる。H13-43-4
  2. 誤り。喫茶店はクーリング・オフの適用がある場所です。クーリング・オフの権利を失うのは、契約締結日から起算して8日ではなく、クーリング・オフについて書面で告げられられてから8日が経過するまでの間です(宅建業法37条の2第1項1号)。本肢の事例では、クーリング・オフについて書面で告げられたのが契約日の4日前ですから、クーリング・オフできるのは契約日から起算して「8日-4日=4日」以内に限られます。
    買受けの申込みをした者又は買主(以下この条において「申込者等」という。)が、国土交通省令・内閣府令の定めるところにより、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げられた場合において、その告げられた日から起算して八日を経過したとき。
    Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その8日後にAの事務所で契約を締結したが、その際クーリング・オフについて書面の交付を受けずに告げられた。この場合、クーリング・オフについて告げられた日から8日後には、Bはクーリング・オフによる契約の解除をすることができない。R3⑫-43-1
    Aは、Bの指定した喫茶店で買受けの申込みを受けたが、その際クーリング・オフについて何も告げず、その3日後に、クーリング・オフについて書面で告げたうえで売買契約を締結した。この契約において、クーリング・オフにより契約を解除できる期間について買受けの申込みをした日から起算して10日間とする旨の特約を定めた場合、当該特約は無効となる。R1-38-イ
    Bは、月曜日にホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。Bは、翌週の火曜日までであれば、契約の解除をすることができる。H25-34-2
    Bは、自らの希望により自宅近くの喫茶店において買受けの申込みをし、売買契約を締結した。その3日後にA社から当該契約に係るクーリング・オフについて書面で告げられた。この場合、Bは、当該契約締結日から起算して10日目において、契約の解除をすることができる。H24-37-2
    買主Cは喫茶店において買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Cは、当該契約の締結をした日の10日後においては、契約の解除をすることができない。H20-39-2
    Bが契約の解除ができる期間は、売買契約の解除ができる旨及びその方法について告げられた日から起算して8日間とされるが、特約で当該期間を10日間に延長したり、7日間に短縮した場合、これらの特約は有効である。H16-42-1
    Bは、申込みの撤回ができる旨及び撤回の方法の告知は書面で行う必要があるが、口頭で告知した2日後に書面を交付した場合、申込みの撤回が可能な期間の起算日は、口頭での告知のあった日である。H13-44-1
    Aが、売買契約を締結した際に、売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭のみで告知した場合は、その告知した日から起算して10日後で、かつ、代金の一部を支払った後であっても、Bは、当該売買契約を解除することができる。H12-41-1
  3. 誤り。ホテルのロビーはクーリング・オフの適用がある場所です。宅地建物取引業者はクーリング・オフによる契約解除に際して、相手方に申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払いを請求することはできません(宅建業法37条の2第1項)。また、受領した手付金等は速やかに返還しなければなりません(宅建業法37条の2第3項)。よって、契約の解除に伴う損害額(損害を請求すること自体が違法)と手付金を相殺することは許されません。
    …、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
    申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。
    Aは、仮設テント張りの案内所でBから買受けの申込みを受けた際、以後の取引について、その取引に係る書類に関してBから電磁的方法で提供をすることについての承諾を得た場合、クーリング・オフについて電磁的方法で告げることができる。R5-35-1
    Aが、仮設テント張りの案内所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、クーリング・オフについて告げられた日から8日以内に電磁的方法により当該申込みの撤回を申し出れば、申込みの撤回を行うことができる。R5-35-2
    Aが、Aの事務所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、申込みの日から8日以内に電磁的方法により当該申込みの撤回を申し出れば、申込みの撤回を行うことができる。R5-35-3
    Cは、Aの事務所で買受けの申込みをし、その翌日、喫茶店で契約を締結したが、Aはクーリング・オフについて告げる書面をCに交付しなかった。この場合、Cはクーリング・オフによる契約の解除をすることができない。R3⑫-43-4
    Bがクーリング・オフにより売買契約を解除した場合、当該契約の解除に伴う違約金について定めがあるときは、Aは、Bに対して違約金の支払を請求することができる。R1-38-ア
    Bは自ら指定した自宅においてマンションの買受けの申込みをした場合においても、法第37条の2の規定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行うことができる。H29-31-ア
    AB間の建物の売買契約における「宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、AからBに対して損害賠償を請求することができる。」旨の特約は有効である。H27-34-4
    Bは、A社の事務所において買受けの申込みをし、後日、レストランにおいてA社からクーリング・オフについて何も告げられずに売買契約を締結した。この場合、Bは、当該契約締結日から起算して10日目において、契約の解除をすることができる。H24-37-4
    A社は、契約解除に伴う違約金の定めがある場合、クーリング・オフによる契約の解除が行われたときであっても、違約金の支払を請求することができる。H23-35-ア
    買主Dはレストランにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Dは、当該契約の締結をした日の5日後においては、書面を発しなくても契約の解除をすることができる。H20-39-3
    Bから法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフによる売買契約の解除があった場合でも、Aが契約の履行に着手していれば、AはBに対して、それに伴う損害賠償を請求することができる。H20-40-3
    Bは、Aが設置したテント張りの案内所で買受けの申込みをし、翌日Aの事務所で契約を締結した場合には、それ以降は一切法第37条の2による当該契約の解除を行うことはできない。H18-39-1
    Bが当該売買契約の解除を行う場合は、Aに対して国土交通大臣が定める書式の書面をもってその意思表示を行わなければならない。H16-42-3
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の売買契約について、当該宅地建物取引業者の「事務所」において契約の申込み及び締結をした買主は、法第37条の2の規定による売買契約の解除をすることはできない。H14-36-4
    Aは、申込みの撤回を書面により行う必要があり、その効力は、Aが申込みの撤回を行う旨の書面を発した時に生ずる。H13-44-2
    買受けの申込みに際して申込証拠金がAから支払われている場合で、Aが申込みの撤回を行ったとき、Bは、遅滞なくその全額をAに返還しなければならないが、申込みの撤回に伴う損害があった場合は、別途これをAに請求できる。H13-44-3
  4. 誤り。自ら指定したレストランはクーリング・オフの適用がある場所です。代金の全額を支払い、かつ、宅地・建物の引渡しを受けた場合にはクーリング・オフによる契約解除ができませんが、本肢は代金支払いだけに留まっているので、クーリング・オフできます(宅建業法37条の2第1項2号)。
    申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払つたとき。
    買受けの申込みをした者が、売買契約締結後、当該宅地の引渡しを受けた場合、クーリング・オフによる当該売買契約の解除を行うことができない。R4-38-1
    Aは、喫茶店でBから買受けの申込みを受け、その際にクーリング・オフについて書面で告げた上で契約を締結した。その7日後にBから契約の解除の書面を受けた場合、Aは、代金全部の支払を受け、当該宅地をBに引き渡していても契約の解除を拒むことができない。H26-38-1
    Bは、10区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けの申込みをし、2日後、A社の事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に契約の解除の書面を送付した場合、A社は代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。H25-34-4
    Bは、モデルルームにおいて買受けの申込みをし、後日、A社の事務所において売買契約を締結した。この場合、Bは、既に当該建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったときであっても、A社からクーリング・オフについて何も告げられていなければ、契約の解除をすることができる。H24-37-1
    買主Eはホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Eは、当該宅地の代金の80%を支払っていたが、当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。H20-39-4
    Bが、売買契約を締結した後、Aから宅地の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払った場合は、売買契約の解除ができる旨及びその方法について告知を受けていないときでも、Bは、当該売買契約を解除することができない。H12-41-4
したがって正しい記述は[1]です。