8種制限(全76問中35問目)
No.35
宅地建物取引業者A社は、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、中古マンション(代金2,000万円)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、その際、代金に充当される解約手付金200万円(以下「本件手付金」という。)を受領した。この場合におけるA社の行為に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものはいくつあるか。- 引渡前に、A社は、代金に充当される中間金として100万円をBから受領し、その後、本件手付金と当該中間金について法第41条の2に定める保全措置を講じた。
- 本件売買契約締結前に、A社は、Bから申込証拠金として10万円を受領した。本件売買契約締結時に、当該申込証拠金を代金の一部とした上で、A社は、法第41条の2に定める保全措置を講じた後、Bから本件手付金を受領した。
- A社は、本件手付金の一部について、Bに貸付けを行い、本件売買契約の締結を誘引した。
平成24年試験 問34
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- なし
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正解 2
問題難易度
肢123.2%
肢267.7%
肢37.6%
肢41.5%
肢267.7%
肢37.6%
肢41.5%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:9 - 8種制限
解説
- 違反する。宅地建物取引業者が自ら売主として、宅地建物取引業者以外の買主と売買契約をする際には、手付金等の保全措置を行う必要があります。完成済建物の場合には売買代金の10%を超える手付金等を受け取る場合には、受領前に保全措置を講じなければなりません。本問では「売買代金の10%=200万円」を超えて手付金等を受領する場合には保全措置が必要です。
A社は買主から200万円の手付金を受領しているため、中間金100万円を受け取ると手付金等の合計額が200万円を超えることになります。よって、中間金の受領前に既に受領済の200万円と合わせた300万円について保全措置を講じる必要があります。 - 違反しない。事実を時系列に並べると以下のようになります。
- 申込証拠金10万円を受領(売買代金の10%以下なので保全措置は不要)
- 210万円について保全措置を講じる
- 手付金200万円を受領
- 違反する。宅地建物取引業者が、手付の貸付け・立替え・猶予・分割払いなどの手段を用いて、契約締結を誘引する行為は禁止されています(宅建業法47条3号)。契約時点での経済的負担がないという安心感や希薄な責任意識に乗じて、契約を誘い込んだり契約を拒否しがたい状況にしたりして、取引を行うのは不当であるからです。
宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
…
三 手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為Aは、売主としてマンションの売買契約を締結するに際して、買主が手付として必要な額を今すぐには用意できないと申し出たので、手付金の分割払いを買主に提案した。(R5-36-イ)マンションの販売に際して、買主が手付として必要な額を持ち合わせていなかったため、手付を分割受領することにより、契約の締結を誘引した。(R3⑩-43-ア)宅地建物取引業者は、建物の売買に際し、買主に対して売買代金の貸借のあっせんをすることにより、契約の締結を誘引してはならない。(R2⑫-26-1)宅地建物取引業者は、契約の相手方に対して資金不足を理由に手付の貸付けを行ったが、契約締結後償還された場合は法に違反しない。(R2⑫-40-2)Aは、自ら売主として、建物の売買契約を締結するに際し、買主が手付金を持ち合わせていなかったため手付金の分割払いを提案し、買主はこれに応じた。(H30-40-ア)宅地建物取引業者が、自ら売主として、宅地及び建物の売買の契約を締結するに際し、手付金について、当初提示した金額を減額することにより、買主に対し売買契約の締結を誘引し、その契約を締結させることは、法に違反しない。(H29-34-1)Aは、建物の売買の媒介に際し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買は成立しなかった。(H28-29-イ)Aが、宅地の売買契約締結の勧誘に当たり、相手方が手付金の手持ちがないため契約締結を迷っていることを知り、手付金の分割払いを持ちかけたことは、契約締結に至らなかったとしても法に違反する。(H28-34-4)A:購入を検討している。貯金が少なく、手付金の負担が重いのだが。B:弊社との提携している銀行の担当者から、手付金も融資の対象になっていると聞いております。ご検討ください。(H27-41-ウ)Aは、買主Bとの間で建物の売買契約を締結する当日、Bが手付金を一部しか用意できなかったため、やむを得ず、残りの手付金を複数回に分けてBから受領することとし、契約の締結を誘引した。(H26-43-1)A社は、建物の販売に際して、買主が手付として必要な額を持ち合わせていなかったため、手付を貸し付けることにより、契約の締結を誘引した。(H23-41-ア)Aは、建物の売買の媒介に関し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買契約は成立しなかった。(H21-40-1)Aは、自ら売主として、宅地の売却を行うに際し、買主が手付金100万円を用意していなかったため、後日支払うことを約して、手付金を100万円とする売買契約を締結した。(H20-38-4)建物の販売に際して、手付について貸付けをすることにより売買契約の締結の誘引を行ったが、契約の成立には至らなかった。(H18-40-3)Aは、Bとの間で3,000万円の宅地の売買契約を締結したが、契約当日、Bが手付金を一部しか用意できなかったため、残りの手付金をAが貸し付け、契約の締結を誘引した。(H15-38-3)買主Bも宅地建物取引業者であるので、AがBに対し手付金を貸し付けて契約の締結を誘引してもさしつかえない。(H13-42-2)Aは、建物の売買の媒介をするに当たり、買主が手付金を支払えなかったので、手付金に関し銀行との間の金銭の貸借のあっせんをして、当該建物の売買契約を締結させた。(H12-35-4)Aは、Bの要求があった場合は、契約の締結を誘引するためBの手付金の支払いについて分割払とすることができる。(H12-40-3)
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