8種制限 (全66問中34問目)

No.34

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
平成22年試験 問39
  1. 当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を定めていない場合、損害賠償の請求額は売買代金の額を超えてはならない。
  2. 当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を売買代金の2割とし、違約金の額を売買代金の1割とする定めは、これらを合算した額が売買代金の3割を超えていないことから有効である。
  3. Aが、当該売買契約の解除を行う場合は、Bに対して「手付の倍額を提供して、契約を解除する。」という意思表示を書面で行うことのみをもって、契約を解除することができる。
  4. Aは、当該売買契約の締結日にBから手付金を受領し、翌日、Bから内金を受領した。その2日後、AがBに対して、手付の倍額を現実に提供することにより契約解除の申出を行った場合、Bは、契約の履行に着手しているとしてこれを拒むことができる。

正解 4

問題難易度
肢111.4%
肢28.0%
肢311.4%
肢469.2%

解説

  1. 誤り。損害賠償額の予定を定めていない場合は、民法の規定に則り、実際の損害額を証明すれば、その損害額を請求することが可能です。なお、この額は売買代金を超える場合もあります。
  2. 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、損害賠償予定額と違約金を合算した金額が、売買代金の2割を超えてはいけません。本肢は、合計で代金の3割になっているため、2割を超える分については無効となります(宅建業法38条)。
    宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
    2 前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。
  3. 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約で、売主から手付解除をする場合は、買主に対して手付金の倍額を現実に提供することが必要です(宅建業法39条2項最判平6.3.22)。書面で通知して受領を催促するだけでは手付解除できません。
    宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
    売主が手付けの倍額を償還して売買契約を解除するためには、買主に対して右額の現実の提供をすることを要する。
  4. [正しい]。相手方が、既に契約の履行に着手した場合、手付解除をすることはできません。本肢の場合、手付金の受領後に内金の支払いがあったため、Bが契約の履行に着手したとみなされます。よって、Bは手付解除を拒むことができます(宅建業法39条2項最判昭40.11.24)。
    民法五五七条一項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指すものと解すべき…
したがって正しい記述は[4]です。