借地借家法(建物)(全26問中14問目)
No.14
A所有の居住用建物(床面積50平方メートル)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この問において「本件普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。平成24年試験 問12
- 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃借人が造作買取請求権を行使できない旨の特約は、有効である。
- 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができる。
- 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
- 本件普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人は期間の途中で解約を申し入れることができる。
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正解 3
問題難易度
肢16.4%
肢215.3%
肢359.6%
肢418.7%
肢215.3%
肢359.6%
肢418.7%
分野
科目:A - 権利関係細目:15 - 借地借家法(建物)
解説
- 正しい。造作買取請求権(借地借家法33条1項)は、借主保護のための強行規定の対象外なので、普通建物賃貸借と定期建物賃貸借のどちらでも造作買取請求権を行使しない特約を有効に定めることが可能です(借地借家法37条)。
第三十一条、第三十四条及び第三十五条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。
- 正しい。普通建物賃貸借契約でも定期建物賃貸借契約でも、経済事情の変動により賃料が不相当になった場合は、原則として賃料増減請求をすることができます(借地借家法32条1項)。賃料を増額しない特約がある場合にはその特約に従います(※賃料を減額しない旨の特約は無効)が、本肢では賃料改定に関する特約がないので、いずれの当事者も借賃の増減額を請求できます。
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
- [誤り]。普通建物賃貸借契約における更新がない旨の特約は、借地借家法が定める法定更新の仕組みよりも賃借人に不利となるため無効となります(借地借家法26条1項借地借家法30条)。定期建物賃貸借契約の場合は、あらかじめ賃貸人が賃借人に対し、期間満了によって終了し更新がない旨の記載した書面を交付し又は電磁的方法で提供し、説明することにより特約が有効となります(借地借家法38条3項)。本肢は「交付さえしておけば」としている点が誤りです。
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
- 正しい。期間の定めがある普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の特約(中途解約権の留保)がなければ貸主・借主のどちらも解約申入れをすることができないので、賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があります(民法618条)。一方、定期建物賃貸借契約の賃借人には、床面積200㎡未満の居住用建物で一定のやむを得ない事情がある場合には、特約なしで中途解約できる権利が認められています(借地借家法38条7項)。
当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
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