宅建試験過去問題 平成16年試験 問13
問13
AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し、Bは、Aの承諾を得たうえで、甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。この場合、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。- 転借人Cは、賃貸人Aに対しても、月10万円の範囲で、賃料支払債務を直接に負担する。
- 賃貸人Aは、AB間の賃貸借契約が期間の満了によって終了するときは、転借人Cに対しその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の終了をCに対し対抗することができない。
- AB間で賃貸借契約を合意解除しても、転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事情がない限り、賃貸人Aは、転借人Cに対し明渡しを請求することはできない。
- 賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は、転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。
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正解 4
問題難易度
肢114.1%
肢27.8%
肢312.7%
肢465.4%
肢27.8%
肢312.7%
肢465.4%
分野
科目:A - 権利関係細目:15 - 借地借家法(建物)
解説
- 正しい。転借人は、原賃貸借契約と転貸借契約のいずれか低い賃料を限度に原賃貸人に対して直接負担を負います(民法613条1項)。
AB間の原賃貸借の賃料が20万円、転貸借の賃料が10万円なので、CはAに対して2つを比べて低い方の10万円の賃料支払債務を直接に負担することとなります。賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
- 正しい。賃貸人と賃借人間で締結された賃貸借契約が期間満了または解約申入れより終了した場合、原則として転貸借も終了します。ただし、この場合は賃貸人から転借人に対し賃貸借契約が終了する旨の通知をしなければ対抗することができません(借地借家法34条1項)。
建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
- 正しい。賃貸人と賃借人間で締結された賃貸借契約を合意解除する場合、特段の事情がない限り、転借人に対してはこれを対抗することができません(民法613条3項)。
賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
- [誤り]。賃貸人と賃借人間で締結された賃貸借契約が、賃借人の債務不履行によって終了する場合は、転借人に対して賃貸借の終了を対抗できます(民法613条3項)。判例では、債務不履行の理由が賃料不払いであったとしても、転借人に賃料を代払いする機会を与える必要はないとしています(最判昭37.3.29)。
適法な転貸借がある場合、賃貸人が賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して右延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではない。
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