宅建試験過去問題 平成26年試験 問7
問7
賃貸人Aから賃借人Bが借りたA所有の甲土地の上に、Bが乙建物を所有する場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Bは、自己名義で乙建物の保存登記をしているものとする。- BがAに無断で乙建物をCに月額10万円の賃料で貸した場合、Aは、借地の無断転貸を理由に、甲土地の賃貸借契約を解除することができる。
- Cが甲土地を不法占拠してBの土地利用を妨害している場合、Bは、Aの有する甲土地の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使してCの妨害の排除を求めることができるほか、自己の有する甲土地の賃借権に基づいてCの妨害の排除を求めることができる。
- BがAの承諾を得て甲土地を月額15万円の賃料でCに転貸した場合、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行で解除されても、AはCに解除を対抗することができない。
- AB間で賃料の支払時期について特約がない場合、Bは、当月末日までに、翌月分の賃料を支払わなければならない。
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正解 2
問題難易度
肢111.2%
肢271.4%
肢310.2%
肢47.2%
肢271.4%
肢310.2%
肢47.2%
分野
科目:1 - 権利関係細目:9 - 賃貸借契約
解説
- 誤り。土地所有者の承諾がなく借地上の建物を賃貸借したとしても、土地の転貸には当たりません(大判昭8.12.11)。借地上の建物を建物所有者が第三者に賃貸することは、建物所有者の自由であり、土地賃貸人の承諾を得る必要はありません。
賃借人が賃借地上に築造した建物を第三者に賃貸しても、土地賃借人は建物所有のため自ら土地を使用しているものであるから、賃借地を第三者に転貸したとはいえない
Bが、Cの承諾を得ることなくAに対して借地上の建物を賃貸し、それに伴い敷地であるその借地の利用を許容している場合でも、Cとの関係において、借地の無断転貸借とはならない。(H18-14-1) - [正しい]。不動産の賃借人は、その不動産の占有を妨害している第三者に対して妨害停止請求、不動産を占有している第三者に対して返還請求ができます(大判昭4.12.16民法605条の4)。よって、借地権者であるBは、Cに対して、Aの所有権の代位行使して、または対抗要件を備えた不動産賃借権に基づいて妨害排除請求権を行使することができます。
賃借権が第三者によって妨害されている場合、賃借人は、賃貸人の有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる。
不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているときその第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているときその第三者に対する返還の請求 - 誤り。賃貸人・賃借人間の賃貸借契約が賃借人の債務不履行で解除された場合には、賃貸人は転借人に解除を対抗することができます(民法613条3項)。
賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。(R3⑫-12-3)Aは、Bとの間の賃貸借契約を合意解除した場合、解除の当時Bの債務不履行による解除権を有していたとしても、合意解除したことをもってCに対抗することはできない。(R2⑫-6-1)AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。(H28-8-3)土地の賃借人が無断転貸した場合において賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため賃貸人が無断転貸を理由に賃貸借契約を解除できないときであっても、賃貸借契約を合意解除したときは、賃貸人は転借人に対して賃貸土地の明渡しを請求することができる。(H27-9-1)Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。(H25-11-2)Aが、Bとの賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がない限り、Cに対して、合意解除の効果を対抗することができない。(H23-7-3)AがBの承諾を受けてDに対して当該建物を転貸している場合には、AB間の賃貸借契約がAの債務不履行を理由に解除され、BがDに対して目的物の返還を請求しても、AD間の転貸借契約は原則として終了しない。(H18-10-2)AB間で賃貸借契約を合意解除しても、転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事情がない限り、賃貸人Aは、転借人Cに対し明渡しを請求することはできない。(H16-13-3)賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は、転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。(H16-13-4) - 誤り。民法では賃料支払いの時期として、当月分を当月末までに支払うという規定を置いています(民法614条)。特約がないときはこの規定が適用されますから、「当月末日までに翌月分を」とする本肢は誤りです。
賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。
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