監督処分・罰則(全17問中11問目)

No.11

宅地建物取引業法の規定に基づく監督処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成22年試験 問44
  1. 国土交通大臣は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対し、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要な勧告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に通知しなければならない。
  2. 甲県知事は、乙県知事の登録を受けている宅地建物取引士に対し、甲県の区域内において宅地建物取引士として行う事務に関し不正な行為をしたことを理由として指示処分をしようとするときは、あらかじめ、乙県知事に協議しなければならない。
  3. 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県の区域内における業務に関し乙県知事から指示処分を受けたときは、甲県に備えられる宅地建物取引業者名簿には、当該指示の年月日及び内容が記載される。
  4. 甲県知事は、宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報により公告しなければならない。

正解 3

問題難易度
肢116.6%
肢27.2%
肢364.3%
肢411.9%

解説

  1. 誤り。国土交通大臣は、すべての宅地建物取引業者に対し、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要な勧告することができます(宅建業法71条)。指示処分又は業務停止処分を行った際には、その旨を免許権者に通知しなければなりませんが、勧告にとどまるときには通知義務はありません(宅建業法70条2項・3項)。
    国土交通大臣はすべての宅地建物取引業者に対して、都道府県知事は当該都道府県の区域内で宅地建物取引業を営む宅地建物取引業者に対して、宅地建物取引業の適正な運営を確保し、又は宅地建物取引業の健全な発達を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることができる。
  2. 誤り。都道府県知事は、その都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅地建物取引士が一定事項に該当する場合には、当該宅地建物取引士に対し、指示処分または事務停止処分をすることができます(宅建業法68条3項・4項)。この処分につき、免許権者と協議しなければならない旨の規定はないので、甲県知事は、乙県知事と協議することなく、宅地建物取引士に対し指示処分を行うことができます。ただし、処分を行なった場合は、遅滞なく乙県知事に通知する必要があります。
    なお、処分について協議しなければならないのは、国土交通大臣が、その免許を受けた宅地建物取引業者に対して一定事項を事由とする処分をしようとするときに行われる内閣総理大臣との協議だけです。
    3 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅地建物取引士が第一項各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引士に対し、必要な指示をすることができる。
    4 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅地建物取引士が第一項各号のいずれかに該当する場合又は同項若しくは前項の規定による指示に従わない場合においては、当該宅地建物取引士に対し、一年以内の期間を定めて、宅地建物取引士としてすべき事務を行うことを禁止することができる。
  3. [正しい]。指示処分があった場合、処分者よりその旨の通知がなされ、処分の年月日及び内容が、免許権者が備える宅地建物取引業者名簿に記載されます(宅建業法規則5条1号)。本肢では、処分者=乙県知事、免許権者=甲県知事ですので、記述は適切です。
    法第六十五条第一項若しくは第三項に規定する指示又は同条第二項若しくは第四項に規定する業務停止の処分があつたときは、その年月日及び内容
  4. 誤り。公告されるのは、宅地建物取引業者に対する業務停止処分及び免許取消処分のみです。指示処分の場合、公告はありません(宅建業法70条1項)。
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したがって正しい記述は[3]です。