8種制限(全76問中11問目)

No.11

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和2年12月試験 問39
  1. Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、2日後、Aの事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に当該契約について解除の書面を送付した場合、Aは代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。
  2. Bは、自らの希望により自宅近くの喫茶店において買受けの申込みをし、売買契約を締結した。当該契約に係るクーリング・オフについては、その3日後にAから書面で告げられた場合、Bは、当該契約の締結日から10日後であっても契約の解除をすることができる。
  3. Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、Aの事務所でクーリング・オフについて書面で告げられ、その日に契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、当該契約の締結日から10日後であっても契約の解除をすることができる。
  4. Bは、売買契約締結後に速やかに建物建築工事請負契約を締結したいと考え、自ら指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカー(Aから当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。)の事務所で買受けの申込み及び売買契約の締結をし、その際、クーリング・オフについて書面で告げられた。その6日後、Bが当該契約について解除の書面を送付した場合、Aは契約の解除を拒むことができない。

正解 1

問題難易度
肢170.5%
肢210.9%
肢36.6%
肢412.0%

解説

次の条件のいずれかを満たす場合、クーリング・オフによる契約解除はできません。逆を言えば該当しなければクーリング・オフできるということです(宅建業法37条の2)。
  1. 宅地建物取引業者の事務所等で買受けの申込みまたは売買契約(事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合を除く)をしている
  2. クーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日を経過している
  3. 物件の引渡しを受け、かつ、代金全額を支払っている
  4. 買主が宅地建物取引業者である
  1. [誤り]。仮設テント張りの案内所(土地に定着しない案内所)はクーリング・オフの適用がある場所です(宅建業法規則16条の5第1号ロ)。代金全額を支払い、かつ、物件の引渡しを受けた場合にはクーリング・オフできなくなりますが、代金を支払っただけなので問題ありません。
    本肢ではクーリング・オフについて書面で告げられた日が明らかになっていませんが、もし買受けの申込みをした日に告知があったとしても、書面を送付したのは買受けの日から起算して8日目ですからクーリング・オフが可能な期間です。よって、宅地建物取引業者Aはクーリング・オフによる契約解除を拒むことはできません。
    届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この問において「一団の宅地建物の分譲」という。)をする場合に設置する案内所が定められているが、当該案内所が土地に定着する建物内に設けられる場合、クーリング・オフ制度の適用が除外される。R6-39-2
    BがAのモデルルームにおいて買受けの申込みをし、Bの自宅付近の喫茶店で売買契約を締結した場合は、Bは売買契約を解除することができない。H17-41-1
    買主Bは、20区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けを申し込み、契約を締結して、手付金を支払った。Bは、Aからクーリング・オフについて書面で告げられていなくても、その翌日に契約の解除をすることができる。H15-39-1
    Aが、法第31条の3第1項の規定により専任の宅地建物取引士を置いて現地案内所を設置している場合に、当該案内所で買受けの申込みをした者は、申込みの日から起算して8日以内であれば、無条件で申込みの撤回をすることができる。H13-43-4
  2. 正しい。喫茶店は事務所等ではないのでクーリング・オフの適用がある場所です。クーリング・オフの意思表示は、クーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日を経過するまでは可能ですが、契約の締結日から10日後は契約日の3日後から起算してちょうど8日目に当たるので、クーリング・オフにより契約解除することができます。
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  3. 正しい。買受けと契約締結が別の場所で行われた場合、クーリング・オフの適用がある場所か否かは買受けの場所で判断します。本肢で買受けの申込みをした仮設テント張りの案内所(土地に定着しない案内所)はクーリング・オフの適用がある場所です。
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    次に、本肢ではクーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としています。クーリング・オフに関する特約で申込者に不利なものは無効となりますが、クーリング・オフ可能な期間を伸長する特約は申込者に有利ですから有効です(宅建業法37条の2第4項)。よって、申込者Bは契約締結日から10日後であっても、クーリング・オフによる契約解除をすることができます。
    Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面の交付を受け、告げられた上で契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、その書面を交付された日から12日後であっても契約の解除をすることができる。R3⑫-43-2
    Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、Aの事務所でクーリング・オフについて書面で告げられた上で契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、契約の締結の日から10日後であっても契約の解除をすることができる。H26-38-4
    Bは、ホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にA社との間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をした上で、後日、売買契約を締結した。この場合、仮にBがクーリング・オフによる当該契約の解除を申し入れたとしても、A社は、当該合意に基づき、Bからの契約の解除を拒むことができる。H24-37-3
  4. 正しい。宅地建物取引業者が他の宅地建物取引業者に対し、当該契約の媒介・代理を依頼した場合において、その依頼を受けた宅地建物取引業者の事務所はクーリング・オフに関して「事務所等」に該当します(宅建業法規則16条の5第1号ハ)。しかし、本肢のハウスメーカーは「Aから当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない」ので、これに該当せずクーリング・オフの適用がある場所とわかります。
    申込者Bが契約解除の書面を送付したのは契約日の6日後(起算日から7日目)ですから、宅地建物取引業者Aはクーリング・オフによる契約解除を拒むことはできません。
    Aが、売却の媒介を依頼している宅地建物取引業者Cの事務所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、申込みの日から8日以内に書面により当該申込みの撤回を申し出ても、申込みの撤回を行うことができない。R5-35-4
    Cは、Bの事務所で買受けの申込みを行い、その3日後に、Cの自宅近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。H30-37-イ
    Bは、宅地の売買契約締結後に速やかに建物請負契約を締結したいと考え、自ら指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカー(A社より当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。)の事務所において買受けの申込みをし、A社と売買契約を締結した。その際、クーリング・オフについてBは書面で告げられた。その6日後、Bが契約の解除の書面をA社に発送した場合、Bは売買契約を解除することができる。H25-34-3
    Bは、自ら指定した知人の宅地建物取引業者C(CはAから当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼を受けていない)の事務所で買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられず、翌日、Cの事務所で契約を締結した場合、Bは売買契約を解除することができない。H22-38-4
    Aが他の宅地建物取引業者Cに当該宅地の売却の媒介を依頼している場合、Cの事務所において当該売買契約の申込みを行った場合であっても、Bは当該売買契約の解除を行うことができる。H16-42-4
したがって誤っている記述は[1]です。