農地法(全25問中15問目)

No.15

農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成22年試験 問22
  1. 農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。
  2. 宅地に転用する目的で市街化区域外の農地を購入する場合は、農地の権利移動に係る法第3条第1項の許可のほか、農地転用に係る法第4条第1項の都道府県知事の許可を受ける必要がある。
  3. 会社の代表者が、その会社の業務に関し、法の規定に違反して転用行為をした場合は、その代表者が罰せられるのみならず、その会社も1億円以下の罰金刑が科せられる。
  4. 賃貸借の存続期間については、民法上は50年を超えることができないこととされているが、農地の賃貸借についても、50年を超えることができない。

正解 2

問題難易度
肢16.5%
肢262.4%
肢310.5%
肢420.6%

解説

  1. 正しい。相続・遺産分割により農地を取得した場合、その相続人は3条許可を受ける必要はありません(農地法3条1項12号)。ただし、相続・遺産分割で取得した場合は、遅滞なく、その旨を農業委員会に届け出る必要があります(農地法3条の3)。この届出は実務上、被相続人の死亡を知った時からおおむね10ヶ月以内にすることとされています。
    原則として3条許可を受けた権利取得、農地法3条1項各号で許可不要とされている場合は届出しなくても良いのですが、相続等にて権利取得した者は届出が必要です。
    農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。

    十二 遺産の分割、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十八条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第九百五十八条の三の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合
    農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
  2. [誤り]。購入(権利移動)+農地以外への転用のときには5条許可が必要です。5条許可を受ける場合、3条許可及び4条許可を受ける必要はありません。
  3. 正しい。会社の代表者が、その会社の業務に関し、法の規定に違反して転用行為をした場合は、その代表者だけでなく会社も1億円以下の罰金刑が科せられます(農地法67条)。
    法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
    一 第六十四条第一号若しくは第二号(これらの規定中第四条第一項又は第五条第一項に係る部分に限る。)又は第三号 一億円以下の罰金刑
    二 第六十四条(前号に係る部分を除く。)又は前二条 各本条の罰金刑
  4. 正しい。賃貸借の存続期間については、民法上は50年を超えることができません。農地の賃貸借についてもこの規定が適用されるので、存続期間は50年が最長となります。
したがって誤っている記述は[2]です。