農地法(全26問中14問目)

No.14

農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成24年試験 問22
  1. 登記簿上の地目が山林となっている土地であっても、現に耕作の目的に供されている場合には、法に規定する農地に該当する。
  2. 法第3条第1項又は第5条第1項の許可が必要な農地の売買について、これらの許可を受けずに売買契約を締結しても、その所有権は移転しない。
  3. 市街化区域内の農地について、あらかじめ農業委員会に届け出てその所有者が自ら駐車場に転用する場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。
  4. 砂利採取法による認可を受けた砂利採取計画に従って砂利を採取するために農地を一時的に貸し付ける場合には、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。

正解 4

問題難易度
肢14.0%
肢27.7%
肢316.2%
肢472.1%

解説

  1. 正しい。農地法上の農地か否かは現状によって判断されます。よって、登記簿上の地目が山林となっている土地であっても、現に耕作の目的に供されている場合は農地に該当します(農地法2条)。
    この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。
  2. 正しい。3条許可または5条許可を受けずにした契約は効力を有しません。よって、売買契約を締結した場合でも、所有権は移転しません(農地法3条6項農地法5条3項)。
    第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
    第三条第五項及び第七項並びに前条第二項から第五項までの規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、同条第四項中「申請書が」とあるのは「申請書が、農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。)にするためこれらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得する行為であつて、」と、「農地を農地以外のものにする行為」とあるのは「農地又はその農地と併せて採草放牧地についてこれらの権利を取得するもの」と読み替えるものとする。
    法第3条第1項の許可を受けなければならない場合の売買については、その許可を受けずに農地の売買契約を締結しても、所有権移転の効力は生じない。R3⑩-21-2
    農地法第3条又は第5条の許可を要する農地の権利移転について、これらの許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。H13-23-2
  3. 正しい。市街化区域内の農地を、あらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものに転用する場合は4条許可が不要となります(農地法4条1項8号)。
    市街化区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の市街化区域と定められた区域(同法第二十三条第一項の規定による協議を要する場合にあつては、当該協議が調つたものに限る。)をいう。)内にある農地を、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
    市街化区域内の自己所有の農地を駐車場に転用するため、あらかじめ農業委員会に届け出た場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要がない。R3⑫-21-4
    市街化区域内の自己の農地を駐車場に転用する場合には、農地転用した後に農業委員会に届け出ればよい。R2⑩-21-2
    耕作目的で原野を農地に転用しようとする場合、法第4条第1項の許可は不要である。R1-21-1
    市街化区域内の農地を自家用駐車場に転用する場合、法第4条第1項の許可が必要である。R1-21-3
    農業者が、市街化調整区域内の耕作しておらず遊休化している自己の農地を、自己の住宅用地に転用する場合、あらかじめ農業委員会へ届出をすれば、法第4条第1項の許可を受ける必要がない。H28-22-4
    市街化区域内の農地を耕作目的で取得する場合には、あらかじめ農業委員会に届け出れば、法第3条1項の許可を受ける必要はない。H27-22-1
    農業者が相続により取得した市街化調整区域内の農地を自己の住宅用地として転用する場合でも、法第4条第1項の許可を受ける必要がある。H25-21-4
    市街化調整区域内の農地を宅地に転用する場合は、あらかじめ農業委員会へ届出をすれば、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。H20-24-3
    農地の所有者がその土地に住宅を建設する場合で、その土地が市街化区域内にあるとき、必ず農地法第4条の許可を受けなければならない。H14-23-1
    採草放牧地の所有者がその土地に500㎡の農業用施設を建設する場合、農地法第4条の許可を受けなければならない。H14-23-2
  4. [誤り]。農地法の権利移動には、所有権の移転のほか、農地法では権利移動として所有権の移転のほか、地上権、永小作権、質権、使用貸借、賃借権等の使用収益権の設定が含まれます(農地法3条1項)。農地を農地以外のものにするために貸し付ける行為は、権利移動+転用なので5条許可が必要です。これは、一時的に貸し付ける場合も同様です(農地法5条1項)。
    農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
    農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
    自己所有の農地に住宅を建設する資金を借り入れるため、当該農地に抵当権の設定をする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R3⑫-21-1
    遺産分割によって農地を取得する場合には、法第3条第1項の許可は不要であるが、農業委員会への届出が必要である。R3⑩-21-1
    親から子に対して、所有するすべての農地を一括して贈与する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。R2⑫-21-2
    相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R2⑩-21-3
    農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R2⑩-21-4
    金融機関からの資金借入れのために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項の許可が必要である。R1-21-2
    遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。H30-22-2
    銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。H29-15-3
    農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるために、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。H26-21-3
    相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、遺産の分割により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。H23-22-1
    農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。H22-22-1
    農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受けなければならない。H21-22-2
    建設業者が、農地に復元して返還する条件で、市街化調整区域内の農地を一時的に資材置場として借りる場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要がある。H20-24-2
    農業者が自ら居住している住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合、農地法第3条第1項の許可を受ける必要はない。H17-25-4
    民事調停法による農事調停により農地の所有権を取得する場合には、農地法第3条の許可を受ける必要はない。H16-24-4
    遺産の分割により農地の所有権を取得する場合、農地法第3条の許可を得る必要はない。H15-23-4
    都道府県が、農林水産省令で定める農業振興上の必要性が高いと認められる施設の用に供するために農地を取得する場合には、農地法の許可を受ける必要はない。H12-25-3
したがって誤っている記述は[4]です。