宅建試験過去問題 平成25年試験 問10
問10
婚姻中の夫婦AB間には嫡出子CとDがいて、Dは既に婚姻しており嫡出子Eがいたところ、Dは令和6年10月1日に死亡した。他方、Aには離婚歴があり、前の配偶者との間の嫡出子Fがいる。Aが令和6年10月2日に死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。- Aが死亡した場合の法定相続分は、Bが2分の1、Cが5分の1、Eが5分の1、Fが10分の1である。
- Aが生前、A所有の全財産のうち甲土地についてCに相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がない限り、遺産分割の方法が指定されたものとして、Cは甲土地の所有権を取得するのが原則である。
- Aが生前、A所有の全財産についてDに相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がない限り、Eは代襲相続により、Aの全財産について相続するのが原則である。
- Aが生前、A所有の全財産のうち甲土地についてFに遺贈する旨の意思表示をしていたとしても、Fは相続人であるので、当該遺贈は無効である。
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正解 2
問題難易度
肢112.5%
肢268.2%
肢312.1%
肢47.2%
肢268.2%
肢312.1%
肢47.2%
分野
科目:1 - 権利関係細目:13 - 家族法
解説
- 誤り。法定相続人は、現配偶者であるB、子であるCとF、及びDを代襲相続するEの4人になります。Fも摘出子ですので、現在の配偶者との間の子と同等の相続分があります。よって、法定相続人は「配偶者+子3人」となります。法定相続人が配偶者と子の場合、法定相続分は、配偶者1/2、子全体で1/2、子の1/2はさらに3人の子に均等に配分されます。以上より、法定相続人と法定相続分の組合せは次のようになります。
- B … 1/2
- C … 1/2×1/3=1/6
- E(代襲相続) … 1/2×1/3=1/6
- F … 1/2×1/3=1/6
- [正しい]。「相続させる旨の遺言」とは、特定の法定相続人に特定の財産を移転させることを目的とするものです。
被相続人が生前、全財産のうち一部について法定相続人に相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がない限り、遺贈ではなく、当該遺産を単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたものとみなされます。この場合、遺産分割の協議や家庭裁判所の審判を経ずに、相続人Cは相続開始(被相続人の死亡)と同時に甲土地の所有権を取得するのが原則です(最判平3.4.19)。一 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたものと解すべきである。
二 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される。 - 誤り。本問では被相続人より前に推定相続人である子Dが死亡しています。
被相続人が「相続させる旨の遺言」をしていた場合で、遺産を取得予定だった推定相続人が被相続人より前に死亡したときには、特段の事情がない限り、その「相続させる」旨の遺言は効力を生じません(最判平23.2.22)。よって、代襲相続人EがAの全財産を取得するわけではありません。遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはない。
- 誤り。特定の財産を指定して行う遺贈のことを特定遺贈といいます(民法964条)。特定遺贈は、相続人に対して行うこともできるので、当該遺贈は有効です。法定相続人に対しては、遺贈させる旨の意思表示、相続させる旨の遺言どちらもできます。
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。
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