宅建試験過去問題 平成14年試験 問2(改題)

問2

Aが、Bの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Bは、Aに対してCとの間の売買契約を委任したが、Aが、DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約した場合、Aに重大な過失がなければ、この契約は取り消すことができる。
  2. Bが、AにB所有土地を担保として、借金をすることしか頼んでいない場合、CがAに土地売却の代理権があると信じ、それに正当の事由があっても、BC間に売買契約は成立しない。
  3. Bは未成年者であっても、Aが成年に達した者であれば、Bの法定代理人の同意又は許可を得ることなく、Aに売買の代理権を与えて、Cとの間で土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。
  4. AがBに無断でCと売買契約をしたが、Bがそれを知らないでDに売却して移転登記をした後でも、BがAの行為を追認すれば、DはCに所有権取得を対抗できなくなる。

正解 1

問題難易度
肢157.4%
肢27.9%
肢320.6%
肢414.1%

解説

  1. [正しい]。代理人が相手方を勘違いして別人と契約した場合、その錯誤は重要なものと言えます。代理行為の場合、代理人を基準に意思表示の瑕疵を考えますから、代理人Aに重大な過失がなければ契約を取り消すことができます(民法101条1項)。なお、代理人に意思表示の瑕疵があった場合、本人であるBも取消しすることができます。
    代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
    登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅する。R3⑩-14-2
    登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。R1-14-4
    代理人の意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。H26-2-エ
    法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。H24-2-2
    登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。H24-14-1
    委任による登記申請の代理権は、本人の死亡によって消滅する。H14-15-2
  2. 誤り。代理人が代理権を付与されていない行為を行った場合、表見代理が成立するかどうかによって結論が変わります。代理行為の相手方が、代理人に代理権があると信ずべき正当な理由があるときは表見代理が適用されるため、その効果は本人に帰属し、BC間の売買契約は有効に成立します(民法110条)。権限外行為をするような信用ならない人を代理人に選んだ本人に、そのリスクを負わせるという考え方です。
    前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
    不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用することができる。H26-2-イ
    BがAに対し、甲土地に抵当権を設定する代理権を与えているが、Aの売買契約締結行為は権限外の行為となる場合、甲土地を売り渡す具体的な代理権がAにあるとCが信ずべき正当な理由があるときは、BC間の本件売買契約は有効となる。H18-2-2
  3. 誤り。制限行為能力者であっても代理人となることは認められます。しかし、未成年者が代理契約をするときには法定代理人の同意が必要なので、法定代理人の同意なくAに代理権を与えることはできません(民法5条1項)。最後の「この契約を取り消すことができない」という記述は適切です(民法102条)。
    未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
    制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
    土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。H22-1-1
    未成年者が土地を売却する意思表示を行った場合、親権者の同意の有無にかかわらず、親権者が当該意思表示を取り消せば、意思表示の時点に遡って無効となる。H15-1-2
  4. 誤り。Aが代理して成立させた売買契約の効果はBに帰属し、BC間で売買契約が成立します。また、BD間の売買契約も有効に成立するため二重譲渡と考えることができます。二重譲渡は対抗関係になるので、売買契約の先後を問わず先に移転登記を備えた方が所有権を主張できます。よって、先に登記を備えたDはCに所有権を対抗できます。
したがって正しい記述は[1]です。