業務上の規制(全85問中70問目)

No.70

宅地建物取引業者Aが行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
平成16年試験 問36
  1. Aは、宅地の売買に係る広告において、当該宅地に関する都市計画法第29条の許可を受けていれば、当該造成工事に係る検査済証の交付を受けていなくても、当該広告を行うことができる。
  2. Aは、未完成の土地付建物の販売依頼を受け、その広告を行うにあたり、当該広告印刷時には取引態様の別が未定であるが、配布時には決定している場合、取引態様の別を明示しない広告を行うことができる。
  3. Aは、土地付建物の売買価格について、建物売買に係る消費税額(地方消費税額を含む。)を含む土地付建物売買価格のみを表示し、消費税額を明示しない広告を行うことができる。
  4. Aは、賃貸物件の媒介の広告を行うにあたり、実在しない低家賃の物件の広告を出した。Aは業務停止処分を受けることがある。

正解 2

問題難易度
肢114.5%
肢260.8%
肢310.2%
肢414.5%

解説

  1. 正しい。宅地の造成については都市計画法の開発許可、建物の建築については建築基準法の建築確認を受けた後であれば、当該工事完了前であっても広告を行うことができます(宅建業法33条)。
    宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
    これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。R5-31-3
    Aは、自ら売主として、建築基準法第6条第1項の確認の申請中である新築の分譲マンションについて「建築確認申請済」と明示した上で広告を行った。当該広告は、建築確認を終えたものと誤認させるものではないため、法第33条の規定に違反するものではない。R3⑫-30-2
    宅地建物取引業者Aは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Bから当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。R3⑫-38-ア
    賃貸マンションの貸借に係る媒介の依頼を受け、媒介契約を締結した場合であっても、当該賃貸マンションが建築確認申請中であるときは広告をすることができない。R3⑩-30-エ
    宅地建物取引業者は、建築確認申請中の建物について、建築確認申請中である旨を表示すれば、自ら売主として当該建物を販売する旨の広告をすることができる。R2⑫-27-2
    宅地建物取引業者は、宅地の造成工事の完了前においては、当該造成工事に必要とされる許可等の処分があった後であれば、当該宅地の販売に関する広告をすることができる。R2⑫-27-3
    宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。R2⑩-27-エ
    建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。R1-30-ア
    建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。R1-30-エ
    建築基準法第6条第1項の確認を申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。H30-26-3
    Aは、宅地の造成に当たり、工事に必要とされる許可等の処分があった宅地について、当該処分があったことを明示して、工事完了前に、当該宅地の販売に関する広告を行った。H28-32-1
    宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する工事の完了前において、建築確認の申請中である場合は、その旨を表示すれば、自ら売主として当該建物を販売する旨の広告をすることができる。H27-37-2
    Aは、新築分譲マンションを建築工事の完了前に販売しようとする場合、建築基準法第6条第1項の確認を受ける前において、当該マンションの売買契約の締結をすることはできないが、当該販売に関する広告をすることはできる。H26-30-1
    宅地建物取引業者A社は、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Bから当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。H25-32-ア
    宅地建物取引業者H社は、建築確認の済んでいない建築工事完了前の建売住宅の売主I社(宅地建物取引業者)から当該住宅の売却の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して当該住宅の販売広告を行った。H25-32-エ
    居住用賃貸マンションとする予定の建築確認申請中の建物については、当該建物の貸借に係る媒介の依頼を受け、媒介契約を締結した場合であっても、広告をすることができない。H24-28-イ
    新築分譲住宅としての販売を予定している建築確認申請中の物件については、建築確認申請中である旨を表示をすれば、広告をすることができる。H24-28-エ
    宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事が完了するまでの間は、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をすることはできない。H23-36-1
    宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。H20-32-2
    Aは、新築分譲マンションを建築工事の完了前に売却する場合、建築基準法第6条第1項の確認を受ける前において、当該マンションの売買の広告及び売買契約の締結のいずれもすることはできない。H19-38-2
    都市計画法第29条第1項の許可を必要とする宅地について、Bが開発行為を行い貸主として貸借をしようとする場合、Aは、Bがその許可を受ける前であっても、Bの依頼により当該宅地の貸借の広告をすることができるが、当該宅地の貸借の媒介をすることはできない。H19-38-3
    Aは、宅地造成等工事規制区域内における宅地造成工事の許可が必要とされる場合において、当該宅地の売買に関する広告は、宅地造成及び特定盛土等規制法第17条に規定する宅地造成工事の完了検査を受けた後でなければしてはならない。H17-34-2
    Aは、土地付建物の売買に係る広告に際し、建築基準法第6条第1項の建築確認の申請中であれば、「建築確認申請中のため、建築確認を受けるまでは、売買契約はできません」と表示すれば広告をすることができる。H14-32-3
    建築に関する工事の完了前において、建築基準法第6条第1項の確認を受ける必要のある建物について、その確認の申請後、確認を受ける前に、当該確認を受けることができるのは確実である旨表示して、当該建物の分譲の広告をすることH13-34-ウ
    Aが、都市計画法第29条の許可を必要とする宅地の分譲をする場合、Aは、その許可を受ける前であっても、許可申請中である旨表示して、その宅地の分譲の広告をすることができる。H12-38-1
  2. [誤り]。宅地建物の広告をするときには、物件ごとに取引態様の別(売主、貸主、代理、媒介[仲介])を表示しなければなりません。本肢の状況でも、取引態様の別を表示せずに広告を行うことはできません(宅建業法34条1項)。
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、自己が契約の当事者となつて当該売買若しくは交換を成立させるか、代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、又は媒介して当該売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別(次項において「取引態様の別」という。)を明示しなければならない。
    造成工事に必要とされる法令に基づく許可等の処分があった宅地について、工事完了前に当該宅地の販売に関する広告をするときは、法令に基づく許可等の処分があったことを明示すれば、取引態様の別について明示する必要はない。R6-33-3
    複数の区画がある分譲地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、最初に行う広告だけではなく、次回以降の広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。R6-33-4
    Aは、中古の建物の売買において、当該建物の所有者から媒介の依頼を受け、取引態様の別を明示せずに広告を掲載したものの、広告を見た者からの問合せはなく、契約成立には至らなかった場合には、当該広告は法第34条の規定に違反するものではない。R3⑫-30-1
    複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告するときは、最初に行う広告に取引態様の別を明示すれば足り、それ以降は明示する必要はない。R3⑩-30-ウ
    複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。R2⑩-27-ウ
    一団の宅地の売買について、数回に分けて広告する際に、最初に行った広告以外には取引態様の別を明示しなかった。R1-30-イ
    Aは、中古の建物の売買において、当該建物の所有者Bから媒介の依頼を受け、取引態様の別を明示せずに自社ホームページに広告を掲載したが、広告を見た者からの問い合わせはなく、契約成立には至らなかった。H28-32-3
    Aは、一団の宅地の販売について、数回に分けて広告をするときは、最初に行う広告以外は、取引態様の別を明示する必要はない。H26-30-4
    宅地建物取引業者が、複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をするときは、最初に行う広告以外には取引態様の別を明示する必要はない。H23-36-2
    Aが宅地又は建物の売買に関する広告をする場合、自己所有の物件で自ら契約の当事者となる場合においては、取引態様の別を記載する必要はない。H14-32-1
  3. 正しい。原則として商品・サービスの価格は税込み表示とされています。不動産の表示に関わる公正競争規約では、建物(土地付建物含む)の価格について消費税が含まれていないのに、含まれていると誤認されるおそれのある表示を禁止していますが、本肢では消費税を含む総額を表示しているので、別に消費税額を明示しなくても不当表示に問われることはありません(公正競争規約23条46号)。
    建物(土地付き建物を含む。以下同じ。)の価格について、消費税が含まれていないのに、含まれていると誤認されるおそれのある表示
  4. 正しい。実在しない低家賃の物件を出すことは、おとり広告に該当し、不動産の表示に関わる公正競争規約で禁止されています(公正競争規約21条1号)。広告において著しく事実と異なる表示をした場合、業務停止処分を受けることがあります(宅建業法65条2項2号)。
    事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。
    (1) 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
したがって誤っている記述は[2]です。