35条書面(全64問中18問目)
No.18
宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。令和2年12月試験 問42
- 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第12条第1項により指定された歴史的風致形成建造物である建物の売買の媒介を行う場合、その増築をするときは市町村長への届出が必要である旨を説明しなくてもよい。
- 既存の建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の建築確認済証がなくなっているときは、その旨を説明すればよい。
- 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容を説明しなければならない。
- 建物の貸借の媒介を行う場合、台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況について、説明しなければならない。
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正解 1
問題難易度
肢174.4%
肢214.7%
肢36.3%
肢44.6%
肢214.7%
肢36.3%
肢44.6%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:7 - 35条書面
解説
- [誤り]。「歴史的風致形成建造物」とは、重要無形文化財や重要無形民俗文化財のために使われている建造物や歴史上価値の高い建造物のことで、市町村長が指定します。歴史的風致形成建造物の増築、改築、移転または除却、ならびに歴史的風致維持向上地区計画の区域内において土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築等をしようとする者は、原則としてその行為に着手する日の30日前までに市町村長に所定事項を届け出なければなりません。
建物の売買・交換において、取引対象が歴史的風致形成建造物の指定を受けている場合には、法令上の制限の1つとして上記の制限の内容を説明しなくてはなりません(宅建業法令3条1項12号の5)。建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第12条第1項の規定に基づく歴史的風致形成建造物であるときは、Aは、その増築に際し市町村長への届出が必要である旨を説明しなければならない。(H21-33-1) - 正しい。既存建物の重要事項説明では、「建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況」を説明することになっており、この書類の1つとして建築確認済証の有無の説明が必要です(宅建業法規則16条の2の3第1号)。売主への照会や管理業者等への問い合わせをしても当該書類がない場合には、35条書面に「無」と記載し、その旨を説明すれば足ります(解釈運用-確認の申請書、確認済証及び検査済証について)。
当該住宅が増改築等を行っているもので、新築時以外の確認の申請書、確認済証又は検査済証がある場合には、新築時のものに加えてそれらの書類の保存の状況も説明する必要がある。なお、一部の書類がない場合には、その旨を重要事項説明書に記載することとする。
- 正しい。区分所有建物の売買においては、「一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容」を説明しなければなりません(宅建業法規則16条の2第9号)。
- 正しい。建物の貸借の契約の場合においては、「台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況」を説明しなければなりません(宅建業法規則16条の4の3第7号)。具体的な説明内容としては、日常生活に通常使用する設備に関する、設備の整備の有無、形態、使用の可否等の情報です。
宅地の取引では当然に不要だとして、なぜ建物の取引で貸借のみかというと、売買や交換では所有権が移るので建物の設備を自由に変更できるのに対して、貸借では借主が設備を自由に変更することができないからです。借主は現状の水回り設備を受け入れるしか選択がないため、借主が確実に把握できるよう契約前の説明が義務付けられているというわけです。
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