宅建試験過去問題 平成22年試験 問36(改題)

問36

宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を宅地建物取引士が行う場合における次の記述のうち、同条の規定に違反しないものはどれか。
  1. 中古マンションの売買の媒介において、当該マンションに係る維持修繕積立金については説明したが、管理組合が保管している維持修繕の実施状況についての記録の内容については説明しなかった。
  2. 自ら売主となる新築住宅の売買において、重要事項の説明の時点で当該建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関する責任保険の契約を締結する予定であることは説明したが、当該責任保険の概要については説明しなかった。
  3. 宅地の売買の媒介において、当該宅地が急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条の規定に基づく急傾斜地崩壊危険区域内にあることは説明したが、立木竹の伐採には都道府県知事の許可を受けなければならないことについては説明しなかった。
  4. 建物の売買の媒介において、登記された権利の種類及び内容については説明したが、移転登記の申請の時期については説明しなかった。

正解 4

問題難易度
肢110.4%
肢210.4%
肢312.2%
肢467.0%

解説

  1. 違反する。区分所有建物の売買では、当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容は重要事項説明の対象です(宅建業法規則16条の2第9号)。なお、貸借の場合には重要事項説明の対象外です。
    36_1.png./image-size:394×79
    区分所有建物の売買の媒介を行う場合、一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容を説明しなければならない。R2⑫-42-3
    Aは、中古マンションの売買の媒介を行うに際し、当該マンション修繕の実施状況について、当該マンションの管理組合及び管理業者に確認したところ、修繕の実施状況の記録が保存されていなかったため、購入者にこの旨説明し、実施状況については説明しなかった。H14-37-3
  2. 違反する。宅地建物取引業者が自ら売主となる場合には、宅地建物の契約不適合を担保すべき責任の履行に関する保証保険契約等の措置を講じなければなりません。そして、その措置の概要は重要事項として説明しなければいけません(宅建業法35条1項13号)。
    建物の売買において、その建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその措置の概要を説明しなければならない。R3⑫-44-ウ
    建物の売買においては、その建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその概要を重要事項説明書に記載しなければならない。H30-35-3
    宅地の売買の媒介において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結等の措置を講じないときは、その旨を買主に説明しなくてもよい。H19-35-4
    建物の売買の媒介において、売主が当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負わない旨の定めをする場合は、その内容について買主に説明しなければならない。H12-39-2
  3. 違反する。建物の貸借以外のときには、その宅地・建物に関する法令上の制限を重要事項として説明しなければなりません。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律における工事及び権利に関する制限も、これに含まれます(宅建業法令3条1項23号)。
    36_3.png./image-size:514×103
    宅地の売買の媒介を行う場合、当該宅地が急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条第1項により指定された急傾斜地崩壊危険区域にあるときは、同法第7条第1項に基づく制限の概要を説明しなければならない。R2⑫-32-ア
    甲地が都市計画法による第二種低層住居専用地域に指定されている場合で、その制限について宅地建物取引業法第35条の規定による重要事項の説明をするとき、Aは、Bに対して、低層の住宅が建築できることを告げれば足りる。H13-37-2
  4. [違反しない]。移転登記の申請時期は、37条書面の記載事項ですが、重要事項説明の対象ではありません。「時期」は契約者ごとに異なるので、重説の対象ではないと覚えましょう。
したがって正しい記述は[4]です。