都市計画法(全60問中30問目)

No.30

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。
平成23年試験 問17
  1. 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議しなければならないが、常にその同意を得ることを求められるものではない。
  2. 市街化調整区域内において生産される農産物の貯蔵に必要な建築物の建築を目的とする当該市街化調整区域内における土地の区画形質の変更は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。
  3. 都市計画法第33条に関する開発許可の基準のうち、排水施設の構造及び能力についての基準は、主として自己の居住の用に供する住宅に建築の用に供する目的で行う開発行為に対しては適用されない。
  4. 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為は、当該開発行為が市街化調整区域内において行われるものであっても都道府県知事の許可を受けなくてよい。

正解 4

問題難易度
肢17.5%
肢27.8%
肢37.5%
肢477.2%

解説

  1. 誤り。開発許可を申請しようとする者は、開発区域となる区域内の公共施設の管理者等との間で、あらかじめ、以下の手続きを行って関係を調整しなければなりません。
    既に公共施設が存在する場合
    公共施設の管理者と協議し、その同意を得る
    開発工事で公共施設が設置される場合
    公共施設を管理することとなる者と協議する
    「開発行為に関係がある公共施設」というのは既に存在している公共施設を意味しています。したがって、当該公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならないので本肢は誤りです(都市計画法32条1項)。
    開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。
    開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。R5-16-1
    開発行為をしようとする者は、当該開発行為に係る開発許可の取得後から当該開発行為の完了までに、当該開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。H20-19-2
    開発行為を行おうとする者は、開発許可を受けてから開発行為に着手するまでの間に、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。H16-18-4
  2. 誤り。市街化調整区域内で農林漁業用として政令で定める建築物の建築を目的として開発行為を行う場合には開発許可は不要です(都市計画法29条1項2号)。
    政令で定める建築物とは、
    1. 農産物、林産物又は水産物の生産又は集荷の用に供する建築物
    2. 農業、林業又は漁業の生産資材の貯蔵又は保管の用に供する建築物
    の2種類であり「農産物の貯蔵に必要な建築物」は含まれません(都市計画法令20条)。よって、本肢の開発行為は、その規模によっては都道府県知事の開発許可を受ける必要があります。
    市街化区域において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とした1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。R1-16-2
    準都市計画区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とした1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。H30-17-4
    市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。H29-17-2
    市街化調整区域において行う開発行為で、その規模が300平方メートルであるものについては、常に開発許可は不要である。H25-16-2
    市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行われる1,500平方メートルの開発行為H24-17-ウ
    市街化区域内における農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う1,500㎡の土地の区画形質の変更H19-20-ウ
    市街化区域内において行う農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為H17-18-1
    市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為であれば、常に開発許可は不要である。H14-19-1
    市街化区域内において、農業の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為であれば、常に開発許可は不要である。H14-19-2
    農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的として行う開発行為H13-18-2
  3. 誤り。排水施設の構造及び能力についての基準は、主として自己居住用に供する住宅に建築を目的として行う開発行為に対しても適用されます(都市計画法33条1項3号)。
    自己の業務の用に供する施設の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては、開発区域内に土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に規定する土砂災害警戒区域内の土地を含んではならない。R4-16-3
    予定建築物等の敷地に接する道路の幅員についての基準H17-20-1
    開発区域に設置しなければならない公園、緑地又は広場についての基準H17-20-2
    排水施設の構造及び能力についての基準H17-20-3
    開発許可の申請者の資力及び信用についての基準H17-20-4
    開発許可の申請は、自己が所有している土地についてのみ行うことができる。H13-19-2
    給水施設が、開発区域について想定される需要に支障を来さないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていないときは、開発許可を受けることができない。H12-19-1
    申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用がないときは、開発許可を受けることができない。H12-19-2
    開発区域内に建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域が含まれているときは、開発許可を受けることができない。H12-19-4
  4. [正しい]。非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為は、区域を問わず開発許可を受ける必要はありません(都市計画法29条1項10号)。
    市街化調整区域において、非常災害のため必要な応急措置として8,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。R2⑫-16-1
    非常災害のため必要な応急惜置として開発行為をしようとする者は、当該開発行為が市街化調整区域内において行われるものであっても都道府県知事の許可を受けなくてよい。H30-17-1
    非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為であっても、当該開発行為が市街化調整区域において行われるものであって、当該開発行為の規模が3,000平方メートル以上である場合には、開発許可が必要である。H25-16-4
したがって正しい記述は[4]です。