宅建試験過去問題 令和2年12月試験 問19(改題)

問19

宅地造成及び特定盛土等規制法(以下この問において「盛土規制法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 宅地造成等工事規制区域は、宅地造成等に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域又は集落の区域であって、宅地造成等に関する工事につき規制を行う必要があるものについて、国土交通大臣が指定することができる。
  2. 宅地造成等工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さが5mを超える擁壁の設置に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
  3. 都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)は、基礎調査のために行う測量又は調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
  4. 盛土規制法第12条第1項本文の許可を受けた宅地造成又は特定盛土等に関する工事が完了した場合、工事主は、都道府県知事(地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長)の検査を申請しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢161.5%
肢214.3%
肢37.9%
肢416.3%

解説

  1. [誤り]。宅地造成等工事規制区域の指定は都道府県知事(指定都市、中核市又は施行時特例市の区域についてはその長)が行います。国土交通大臣ではありません(盛土規制法10条1項)。特定盛土等規制区域と造成宅地防災区域も同じです。
    都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積(以下この章及び次章において「宅地造成等」という。)に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地若しくは市街地となろうとする土地の区域又は集落の区域(これらの区域に隣接し、又は近接する土地の区域を含む。第五項及び第二十六条第一項において「市街地等区域」という。)であつて、宅地造成等に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成等工事規制区域として指定することができる。
    国土交通大臣は、都道府県知事の申出に基づき、宅地造成等に伴い災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域を宅地造成等工事規制区域として指定することができる。H17-24-1
  2. 正しい。宅地造成等工事規制区域内で行う宅地造成等に伴う災害防止措置のうち、有資格者による設計が求められるのは次の2つです(盛土規制法令21条)。
    1. 高さ5mを超える擁壁の設置
    2. 切土・盛土をする面積が1,500㎡を超える土地における排水施設の設置
    本肢の説明どおり、高さ5mを超える擁壁の設置工事は有資格者の設計によらなければなりません。
    法第十三条第二項(法第十六条第三項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の政令で定める措置は、次に掲げるものとする。
    一 高さが五メートルを超える擁壁の設置
    二 盛土又は切土をする土地の面積が千五百平方メートルを超える土地における排水施設の設置
    宅地造成等工事規制区域内において宅地造成等に関する工事を行う場合、宅地造成等に伴う災害を防止するために行う高さ5mを超える擁壁に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。R3⑫-19-3
    宅地造成等工事規制区域内において、切土又は盛土をする土地の面積が600㎡である場合、その土地における排水施設は、政令で定める資格を有する者によって設計される必要はない。H28-20-2
    宅地造成等工事規制区域内において宅地造成等に関する工事を行う場合、宅地造成等に伴う災害を防止するために行う高さ4mの擁壁の設置に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。H25-19-1
  3. 正しい。都道府県知事や知事が命じた者・委任した者は、所定の手続きの上、基礎調査のために必要最小限度で他人の占有する土地に立ち入ることができます(盛土規制法5条1項)。基礎調査のための立入りや、測量・調査のために行う障害物の伐採や試掘等によって他人に損害を与えた場合、都道府県は、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければなりません(盛土規制法8条1項)。
    都道府県知事(指定都市又は中核市の区域内の土地については、それぞれ指定都市又は中核市の長。第五十条を除き、以下同じ。)は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
    都道府県は、第五条第一項又は第六条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
    都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができ、当該土地の占有者は、正当な理由がない限り、その立入りを拒み、又は妨げてはならない。R6-19-1
    土地の占有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、基礎調査のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。R2⑩-19-1
    土地の占有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、基礎調査のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。H26-19-3
    都道府県は、基礎調査のために行う測量又は調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。H21-20-3
    都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、基礎調査のため測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に立ち入ることができる。H20-22-3
  4. 正しい。許可を受けた宅地造成又は特定盛土等の工事が完了した場合、工事主は、その工事が技術的基準に適合していることについて、工事完了日から4日以内に都道府県知事に完了検査を申請しなければなりません(盛土規制法17条1項)。適合が認められると検査済証が交付されます。なお、土石の堆積工事が完了した場合は、検査ではなく「確認」を申請することになります。
    宅地造成又は特定盛土等に関する工事について第十二条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る工事を完了したときは、主務省令で定める期間内に、主務省令で定めるところにより、その工事が第十三条第一項の規定に適合しているかどうかについて、都道府県知事の検査を申請しなければならない。
    宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成又は特定盛土等に関する工事が完了した場合、工事主は、都道府県知事の検査を申請しなければならない。H24-20-1
    宅地造成等工事規制区域内において行われる法第12条第1項の工事が完了した場合、工事主は、都道府県知事の検査を申請しなければならない。H18-23-2
    工事主は、盛土規制法第12条第1項の許可を受けた宅地造成等に関する工事を完了した場合、都道府県知事の検査を申請しなければならないが、その前に建築物の建築を行おうとする場合、あらかじめ都道府県知事の同意を得なければならない。H17-24-3
したがって誤っている記述は[1]です。