宅建試験過去問題 平成22年試験 問26

問26

宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 農地所有者が、その所有する農地を宅地に転用して売却しようとするときに、その販売代理の依頼を受ける農業協同組合は、これを業として営む場合であっても、免許を必要としない。
  2. 他人の所有する複数の建物を借り上げ、その建物を自ら貸主として不特定多数の者に反復継続して転貸する場合は、免許が必要になるが、自ら所有する建物を貸借する場合は、免許を必要としない。
  3. 破産管財人が、破産財団の換価のために自ら売主となり、宅地又は建物の売却を反復継続して行う場合において、その媒介を業として営む者は、免許を必要としない。
  4. 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合、免許を取得する必要はないが、その旨を国土交通大臣に届け出ることが必要である。

正解 4

問題難易度
肢15.0%
肢220.3%
肢310.0%
肢464.7%

解説

  1. 誤り。国・地方公共団体・信託会社等は宅地建物取引業の免許を受ける必要はありませんが、農業協同組合は例外に該当しないので免許が必要です。
  2. 誤り。自ら貸借する取引は宅地建物取引業に該当しないため免許は不要です。これは転貸借の場合も同様です(宅建業法2条2号)。本肢は、後半部分の記述は適切ですが、前半部分の他人から借り上げた建物を不特定多数に転貸する、いわゆるサブリース業を営む際に免許が必要としている点が誤りです。
    宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。
    宅地建物取引業者Aが、自ら所有する複数の建物について、複数人に対し、反復継続して賃貸する行為は、宅地建物取引業に該当しない。R5-38-ア
    建設業者Bが、建築請負工事の受注を目的として、業として宅地の売買の媒介を行う行為は、宅地建物取引業に該当しない。R5-38-ウ
    宅地建物取引業とは、宅地又は建物の売買等をする行為で業として行うものをいうが、建物の一部の売買の代理を業として行う行為は、宅地建物取引業に当たらない。R1-26-2
    宅地建物取引業者は、自ら貸主として締結した建物の賃貸借契約について、法第49条に規定されている業務に関する帳簿に、法及び国土交通省令で定められた事項を記載しなければならない。H29-35-1
    Aは、自ら所有している物件について、直接賃借人Bと賃貸借契約を締結するに当たり、法第35条に規定する重要事項の説明を行わなかった。この場合、Aは、甲県知事から業務停止を命じられることがある。H28-26-4
    社会福祉法人が、高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定するサービス付き高齢者向け住宅の賃借の媒介を反復継続して営む場合は、宅地建物取引業の免許を必要としない。H27-26-イ
    A社は、建物の貸借に関し、自ら貸主として契約を締結した場合に、その相手方に37条書面を交付しなければならない。H25-31-ア
    Cが自己の所有する宅地を駐車場として整備し、賃貸を業として行う場合、当該賃貸の媒介を、免許を受けているD社に依頼するとしても、Cは免許を受けなければならない。H24-27-2
    Eが所有するビルを賃借しているFが、不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、Eは免許を受ける必要はないが、Fは免許を受けなければならない。H24-27-3
    Aが、B社が甲県に所有する1棟のマンション(20戸)を、貸主として不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、Aは甲県知事の免許を受けなければならない。H23-26-2
  3. 誤り。破産管財人が、破産財団(破産者の財産等)の換価目的で宅地建物の売却を反復継続して行うことについては免許を受ける必要がありません。営利目的がなく、裁判所の関与の下で行われるためです(解釈運用-第2条第2号関係)。しかし、破産管財人から媒介依頼を受けた業者は免許が必要です。
    破産管財人は、破産財団の管理処分権を有し、裁判所の監督の下にその職務として財産の処分及び配分を行うものであり、破産財団の換価のために自らの名において任意売却により宅地又は建物の取引を反復継続的に行うことがあるが、当該行為は、破産法に基づく行為として裁判所の監督の下に行われるものであることにかんがみ、法第2条2号にいう「業として行なうもの」には該当せず、当該行為を行うに当たり法第3条第1項の免許を受けることを要さないものとする。
  4. [正しい]。信託会社や信託業務を兼営する銀行は、免許を受けなくても、国土交通大臣へ届出をすることにより宅地建物取引業者とみなされます(宅建業法77条3項)。ただし、全ての規定が適用されない国・地方公共団体とは異なり、信託会社等には免許に関する部分を除き宅建業法の規制が適用されます(宅建業法77条2項)。
    信託会社等は、既に信託業法の免許を受け、不動産の売買及び貸借の代理及び媒介について金融庁による厳重な監督が行われているため、二重の免許を受ける無駄を省く趣旨でこのような取扱いとなっています。
    信託会社は、宅地建物取引業を営もうとするときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
    宅地建物取引業を営む信託会社については、前項に掲げる規定を除き、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなしてこの法律の規定を適用する。
    信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣の免許を受けなければならない。R2⑩-26-2
したがって正しい記述は[4]です。