35条書面(全61問中39問目)

No.39

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成23年試験 問32
  1. 建物の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受される金銭の額については説明しなければならないが、当該金銭の授受の目的については説明する必要はない。
  2. 昭和60年10月1日に新築の工事に着手し、完成した建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が指定確認検査機関による耐震診断を受けたものであっても、その内容は説明する必要はない。
  3. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が宅地造成及び特定盛土等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を説明しなければならないが、当該建物の貸借の媒介を行う場合においては、説明する必要はない。
  4. 自ら売主となって建物の売買契約を締結する場合、買主が宅地建物取引業者でないときは、当該建物の引渡時期を説明する必要がある。

正解 2

問題難易度
肢111.4%
肢256.5%
肢315.5%
肢416.6%

解説

  1. 誤り。代金等以外に授受される金銭(手付金・敷金・礼金など)がある場合、そのとともに、当該金銭の授受の目的が重要事項説明の対象となります(宅建業法35条1項7号)。目的もわからずに代金等以外の金銭が要求されるとトラブルのもとになるので、契約前に買主や借主に対し十分に認識させるという趣旨です。
    Aは、Bに対し、代金以外に授受される金銭の額だけでなく、当該金銭の授受の目的についても説明しなければならない。R3⑩-26-2
    重要事項説明では、代金、交換差金又は借賃の額を説明しなければならないが、それ以外に授受される金銭の額については説明しなくてよい。R1-41-4
    建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明する義務はないが、売買代金以外に授受される金銭があるときは、当該金銭の額及び授受の目的について説明しなければならない。H28-36-ウ
    宅地建物取引業者は、マンションの1戸の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受される金銭の定めがあるときは、その金銭の額、授受の目的及び保管方法を説明しなければならない。H25-33-4
    宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に金銭の授受があるときは、その額及び授受の目的について、法第35条に規定する重要事項を記載した書面に記載しているのであれば、法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に記載する必要はない。H22-34-1
    敷金の授受の定めがあるときは、その敷金の額、契約終了時の敷金の精算に関する事項及び金銭の保管方法を説明しなければならない。H17-38-4
    敷金の額については説明したが、その敷金をどのように精算するかについては説明しなかった。H13-36-2
  2. [正しい]。耐震診断の内容を説明する義務があるのは、その建物が昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手したものであり、当該建物が指定確認検査機関による耐震診断を受けている場合です。本肢の建物は、昭和60年10月1日に新築の工事に着手しているので、耐震診断を受けていてもその内容を説明する必要はありません(宅建業法規則16条の4の3第5号)。
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    当該建物(昭和五十六年六月一日以降に新築の工事に着手したものを除く。)が建築物の耐震改修の促進に関する法律第四条第一項に規定する基本方針のうち同条第二項第三号の技術上の指針となるべき事項に基づいて次に掲げる者が行う耐震診断を受けたものであるときは、その内容
    昭和55年に新築の工事に着手し完成した建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明しなければならない。R2⑩-44-1
    建物の売買においては、売主は取引の対象となる建物(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものを除く。)について耐震診断を受けなければならず、また、その診断の結果を重要事項説明書に記載しなければならない。H30-35-1
    建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の売主に耐震診断の記録の有無を照会したにもかかわらず、当該有無が判別しないときは、自ら耐震診断を実施し、その結果を説明する必要がある。H26-34-1
    宅地建物取引業者は、貸借の媒介の対象となる建物(昭和56年5月31日以前に新築)が、指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体による耐震診断を受けたものであっても、その内容を重要事項説明において説明しなくてもよい。H25-30-3
    昭和55年に竣工した建物の売買を行う場合、当該建物について耐震診断を実施した上で、その内容を説明しなければならない。H24-30-4
    令和6年10月に新築の工事に着手した建物の売買において、当該建物が指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その内容を買主に説明しなければならない。H19-35-3
  3. 誤り。造成宅地防災区域は、過去に宅地造成等が行われた一団の宅地の区域であって、災害発生のおそれが大きい区域です。いわゆる危険性のある区域なので、取引態様を問わず重要事項説明の内容となっています(宅建業法規則16条の4の3第1号)。
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    当該建物が宅地造成及び特定盛土等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。R4-34-2
    建物の貸借の媒介において、当該建物が宅地造成及び特定盛土等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を借主に説明しなければならない。H19-35-2
  4. 誤り。支払い・引渡し・登記等の「時期」は、重要事項説明をする段階では決まっていない場合も多いので、どれも重説の対象から除外されています。一方、これらの「時期」は契約書である37条書面に記載しなければなりません。
したがって正しい記述は[2]です。