営業保証金(全23問中21問目)

No.21

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。なお、本店と支店とは、もよりの供託所を異にする。
平成15年試験 問34
  1. Aは、1棟50戸のマンションの分譲を行う案内所を甲県内に設置し、その旨を甲県知事に届け出た後、営業保証金を追加して供託せずに当該案内所において分譲を開始した。
  2. Aは、甲県内に1つの支店を新設したので、1週間後に営業保証金として500万円を当該支店のもよりの供託所に供託した。
  3. Aは、甲県内に2つの支店を新設し、本店のもよりの供託所に1,000万円を供託し、営業を開始した後、営業保証金を供託した旨を甲県知事に届け出た。
  4. Aは、支店を廃止したため、Aの営業保証金につき、Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は3カ月以内に申し出るべき旨の公告をしたが、申出がなかったので、営業保証金を取り戻した。

正解 1

問題難易度
肢163.2%
肢210.3%
肢313.0%
肢413.5%

解説

  1. [違反しない]。営業保証金は事務所(本店・支店)ごとに必要であり、案内所では不要です。よって、営業保証金を追加供託せずに当該案内所において分譲を開始しても違反ではありません(宅建業法25条2項)。
    前項の営業保証金の額は、主たる事務所及びその他の事務所ごとに、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して、政令で定める額とする。
  2. 違反する。支店を新設する場合、営業保証金は当該支店のもよりの供託所ではなく、本店のもよりの供託所に供託する必要があります(宅建業法25条1項)よって、本肢の行為は宅建業法違反となります。
    宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。
  3. 違反する。支店新設時の順序としては、営業保証金の供託、免許権者への届出、営業開始となります(宅建業法25条4項宅建業法25条5項)。本肢は、免許権者への届出前に営業を開始しているので宅建業法違反となります。
    宅地建物取引業者は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
    宅地建物取引業者は、前項の規定による届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。
  4. 違反する。営業保証金の取戻しに際して行う公告では、債権者が申し出る期間を少なくとも6カ月以上にしなければなりません(宅建業法30条2項)。本肢は「3か月」としているので、宅建業法違反となります。
    前項の営業保証金の取りもどし(前条第一項の規定により供託した場合における移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金の取りもどしを除く。)は、当該営業保証金につき第二十七条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。ただし、営業保証金を取りもどすことができる事由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
したがって違反しないものは[1]です。