盛土規制法(全23問中2問目)

No.2

宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
令和4年試験 問19
  1. 宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となる。
  2. 宅地造成等工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、工事主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事又は宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められる工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  3. 宅地造成等工事規制区域内で過去に宅地造成等に関する工事が行われ、現在は工事主とは異なる者がその工事が行われた土地を所有している場合において、当該土地の所有者は宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならない。
  4. 宅地造成等工事規制区域外に盛土によって造成された一団の造成宅地の区域において、造成された盛土の高さが5m未満の場合は、都道府県知事は、当該区域を造成宅地防災区域として指定することができない。

正解 4

問題難易度
肢15.6%
肢29.6%
肢35.6%
肢479.2%

解説

  1. 正しい。宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、次の3つの施設の除却工事を行おうとする者は、その工事が許可済であるときを除き、その工事に着手する日の14日前までに都道府県知事へ届け出る必要があります(盛土規制法21条3項盛土規制法令26条1項)。
    • 高さ2mを超える擁壁・崖面崩壊防止施設
    • 地表水等を排除するための排水施設
    • 地滑り抑止ぐい等
    宅地造成等工事規制区域内の土地(公共施設用地を除く。以下この章において同じ。)において、擁壁等に関する工事その他の工事で政令で定めるものを行おうとする者(第十二条第一項若しくは第十六条第一項の許可を受け、又は同条第二項の規定による届出をした者を除く。)は、その工事に着手する日の十四日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
    法第二十一条第三項の政令で定める工事は、擁壁若しくは崖面崩壊防止施設で高さが二メートルを超えるもの、地表水等を排除するための排水施設又は地滑り抑止ぐい等の全部又は一部の除却の工事とする。
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、政令で定める技術的基準を満たす地表水等を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となるが、当該を除却する工事を行おうとする場合は、都道府県知事に届け出る必要はない。H29-20-4
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、高さが2mを超える擁壁を除却する工事を行おうとする者は、一定の場合を除き、その工事に着手する日の14日前までにその旨を都道府県知事に届け出なければならない。H28-20-3
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、地表水等を排除するための排水施設の除却の工事を行おうとする者は、宅地造成等に関する工事の許可を受けた場合を除き、工事に着手する日までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。H22-20-3
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、高さが3mの擁壁の除却工事を行う場合には、盛土規制法に基づく都道府県知事の許可が必要な場合を除き、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならず、届出の期限は工事に着手する日の前日までとされている。H20-22-2
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、擁壁に関する工事を行おうとする者は、法第12条第1項の工事の許可を受けなければならない場合を除き、工事に着手する日までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。H18-23-1
  2. 正しい。本肢の工事は、宅地以外を宅地にするものですから宅地造成に当たります。宅地造成等工事規制区域内で行う宅地造成及び特定盛土等に関する工事のうち、許可が必要となるのは次の5種類です(盛土規制法令3条)。
    • 切土で2m超の崖を生じるもの
    • 盛土で1m超の崖を生じるもの
    • 切土盛土を合わせて2m超の崖を生じるもの
    • 盛土で高さが2m超
    • 切土盛土をする土地面積が500㎡超
    本肢は高さ3mの崖を生じる切土ですから、原則として、当該工事に着手する前に都道府県知事の許可を受けなければなりません(盛土規制法12条1項)。ただし、都市計画法の開発許可を受けている場合、当該開発工事の範囲内で行われる工事については盛土規制法の許可は不要となります(盛土規制法15条2項)。
    宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する前に、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。
    宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成又は特定盛土等について当該宅地造成等工事規制区域の指定後に都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十九条第一項又は第二項の許可を受けたときは、当該宅地造成又は特定盛土等に関する工事については、第十二条第一項の許可を受けたものとみなす。
    宅地造成等工事規制区域内において、宅地を造成するために切土をする土地の面積が500㎡であって盛土を生じない場合、切土をした部分に生じる崖の高さが1.5mであれば、都道府県知事の法第12条第1項本文の工事の許可は不要である。R3⑩-19-1
    宅地造成等工事規制区域内において、切土であって、当該切土をする土地の面積が400㎡で、かつ、高さ1mの崖を生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。H30-20-4
    宅地造成等工事規制区域内において、宅地を造成するために切土をする土地の面積が500㎡であって盛土が生じない場合、切土をした部分に生じる崖の高さが1.5mであれば、都道府県知事の許可は必要ない。H27-19-4
    宅地造成等工事規制区域内において、宅地を宅地以外の土地にするために行われる切土であって、当該切土をする土地の面積が600㎡で、かつ、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。H26-19-1
    宅地造成等工事規制区域内において行われる切土であって、当該切土をする土地の面積が600平方メートルで、かつ、高さ1.5mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可が必要である。H25-19-2
    宅地造成等工事規制区域内において行われる盛土であって、当該盛土をする土地の面積が300平方メートルで、かつ、高さ1.5mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可が必要である。H25-19-3
    宅地造成等工事規制区域内において、切土であって、当該切土をする土地の面積が400平方メートルで、かつ、高さ1mの崖(がけ)を生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事又は宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。H21-20-2
    宅地造成等工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mのがけを生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、工事主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事又は地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。H20-22-1
    宅地以外の土地を宅地にするための切土であって、当該切土を行う土地の面積が400㎡であり、かつ、高さが1mのがけを生ずることとなる土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。H16-23-3
    宅地において行う盛土であって、当該盛土を行う土地の面積が1,000㎡であり、かつ、高さが80cmのがけを生ずることとなる土地の形質の変更は、特定盛土等に該当する。H16-23-4
    宅地造成等工事規制区域内の土地において行われる切土による土地の形質の変更に関する工事で、当該土地に高さ1.5mのがけが生じ、かつ、その面積が600㎡のときには、工事主は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならない。H15-24-2
  3. 正しい。宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者等は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持する努力義務があります(盛土規制法22条1項)。工事主と現在の所有者が異なっていても、現に土地を所有している者は土地の保全に努めなければなりません。
    宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成等(宅地造成等工事規制区域の指定前に行われたものを含む。次項及び次条第一項において同じ。)に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。
    宅地造成等工事規制区域内において、過去に宅地造成等に関する工事が行われ現在は工事主とは異なる者がその工事が行われた土地を所有している場合、当該土地の所有者は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。H30-20-1
    宅地造成等工事規制区域内で過去に宅地造成等に関する工事が行われ、現在は工事主とは異なる者がその工事が行われた土地を所有している場合において、当該土地の所有者は宅地造成等に伴う災害が生じないようその土地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならない。H23-20-3
    宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。H22-20-4
    宅地造成等工事規制区域内で過去に宅地造成等に関する工事が行われ、現在は工事主とは異なる者がその工事が行われた土地を所有している場合、当該土地の所有者は災害が生じないようその土地を常時安全な状態に維持するよう努める必要はない。H15-24-1
  4. [誤り]。造成宅地防災区域として指定できる区域は、宅地造成等工事規制区域の一団の造成宅地で次のいずれかの基準を満たす場所です(盛土規制法令35条1項)。
    1. 盛土をした面積が3,000㎡以上、かつ、盛土により地下水位が盛土をする前の地盤面の高さを超えている
    2. 盛土をする前の地盤面が水平面に対し20度以上の角度であり、かつ、盛土の高さが5m以上である
    3. 切土・盛土により、地盤の変動、擁壁の沈下、崖の崩落等が生じている
    盛土の高さが5m未満であっても、造成宅地防災区域として指定できる場合もあるので本肢は誤りです。
    宅地造成等工事規制区域外に盛土によって造成された一団の造成宅地の区域において、造成された盛土の高さが5m未満の場合は、都道府県知事は、当該区域を造成宅地防災区域として指定することができない。H28-20-1
したがって誤っている記述は[4]です。