宅建試験過去問題 平成29年試験 問20(改題)

問20

宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
  1. 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地で、宅地造成若しくは特定盛土等に伴う災害の防止のため必要な擁壁が設置されていないために、これを放置するときは、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められる場合、一定の限度のもとに、当該土地の所有者、管理者又は占有者に対して、擁壁の設置を命ずることができる。
  2. 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地において行われている工事の状況について、その工事が宅地造成等に関する工事であるか否かにかかわらず、当該土地の所有者、管理者又は占有者に対して報告を求めることができる。
  3. 都道府県知事は、一定の場合には都道府県(指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の技術的基準を強化することができる。
  4. 宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、政令で定める技術的基準を満たす地表水等を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となるが、当該を除却する工事を行おうとする場合は、都道府県知事に届け出る必要はない。

正解 4

問題難易度
肢13.8%
肢219.7%
肢35.1%
肢471.4%

解説

  1. 正しい。都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の災害発生のおそれが大きい土地の所有者等に対し、災害防止のために必要な限度において、①擁壁の設置・改造、②土地の改良、③土砂の除却のための工事を命ずることができます(盛土規制法23条1項)。
    都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地で、宅地造成若しくは特定盛土等に伴う災害の防止のため必要な擁壁等が設置されておらず、若しくは極めて不完全であり、又は土石の堆積に伴う災害の防止のため必要な措置がとられておらず、若しくは極めて不十分であるために、これを放置するときは、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められるものがある場合においては、その災害の防止のため必要であり、かつ、土地の利用状況その他の状況からみて相当であると認められる限度において、当該宅地造成等工事規制区域内の土地又は擁壁等の所有者、管理者又は占有者(次項において「土地所有者等」という。)に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造、地形若しくは盛土の改良又は土石の除却のための工事を行うことを命ずることができる。
    都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地で宅地造成等に伴う災害の防止のため必要な擁壁が設置されておらず、これを放置するときは宅地造成等に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められるものがある場合、一定の限度のもとに、当該土地の所有者、管理者又は占有者に対して、擁壁の設置を行うことを命ずることができる。H21-20-1
    都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地で、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要な擁壁が設置されていないため、これを放置するときは宅地造成等に伴う災害の発生のおそれが大きいものがある場合、一定の限度のもとに当該土地所有者以外の者に対しても擁壁の設置のための工事を行うことを命ずることができる。H17-24-4
  2. 正しい。都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者等に対して、その土地やその土地で行われている工事の状況について、いつでも必要な報告を求めることができます。行われている工事の種類は、宅地造成等に関する工事に限りません(盛土規制法25条)。
    都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該土地又は当該土地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。
    都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内における土地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該土地又は当該土地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。R3⑫-19-2
    都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内における土地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該土地又は当該土地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。H24-20-3
  3. 正しい。都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事について、その地方の特性等により法定の技術的基準だけでは災害防止をすることが難しい場合には、都道府県の規則で、技術的基準の強化や付加をすることができます(盛土規制法令20条2項)。知事の権限で可能なのは制限の加重のみで、逆に緩和することはできないことに注意しましょう。
    都道府県知事は、その地方の気候、風土又は地勢の特殊性により、第七条から前条までの規定のみによつては宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出の防止の目的を達し難いと認める場合においては、都道府県の規則で、これらの規定に規定する技術的基準を強化し、又は必要な技術的基準を付加することができる。
    都道府県知事は、その地方の気候、風土又は地勢の特殊性により、盛土規制法の規定のみによっては宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出の防止の目的を達し難いと認める場合は、都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の技術的基準を強化し、又は付加することができる。R5-19-2
    都道府県知事は、一定の場合には都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の技術的基準を強化し、又は付加することができる。R3⑩-19-3
  4. [誤り]。宅地造成等工事規制区域内において、工事着手14日前までの届出が必要となる除却工事は次の3つです(盛土規制法21条3項盛土規制法令26条1項)。
    • 高さ2mを超える擁壁・崖面崩壊防止施設
    • 地表水等を排除するための排水施設
    • 地滑り抑止ぐい等
    届出の対象となる排水施設は特に限定されていないので、その工事が許可済である場合を除き、技術的基準を満たすかどうかにかかわらず届出をする必要があります。
    宅地造成等工事規制区域内の土地(公共施設用地を除く。以下この章において同じ。)において、擁壁等に関する工事その他の工事で政令で定めるものを行おうとする者(第十二条第一項若しくは第十六条第一項の許可を受け、又は同条第二項の規定による届出をした者を除く。)は、その工事に着手する日の十四日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
    法第二十一条第三項の政令で定める工事は、擁壁若しくは崖面崩壊防止施設で高さが二メートルを超えるもの、地表水等を排除するための排水施設又は地滑り抑止ぐい等の全部又は一部の除却の工事とする。
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となる。R4-19-1
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、高さが2mを超える擁壁を除却する工事を行おうとする者は、一定の場合を除き、その工事に着手する日の14日前までにその旨を都道府県知事に届け出なければならない。H28-20-3
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、地表水等を排除するための排水施設の除却の工事を行おうとする者は、宅地造成等に関する工事の許可を受けた場合を除き、工事に着手する日までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。H22-20-3
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、高さが3mの擁壁の除却工事を行う場合には、盛土規制法に基づく都道府県知事の許可が必要な場合を除き、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならず、届出の期限は工事に着手する日の前日までとされている。H20-22-2
    宅地造成等工事規制区域内の公共施設用地を除く土地において、擁壁に関する工事を行おうとする者は、法第12条第1項の工事の許可を受けなければならない場合を除き、工事に着手する日までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。H18-23-1
したがって誤っている記述は[4]です。