盛土規制法(全24問中7問目)

No.7

宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
令和2年10月試験 問19
  1. 土地の占有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、基礎調査のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。
  2. 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。
  3. 宅地造成等工事規制区域内において、公共施設用地を宅地に転用する者は、宅地造成等に関する工事を行わない場合でも、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  4. 宅地造成等に関する工事の許可を受けた者が、工事施行者を変更する場合には、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はない。

正解 3

問題難易度
肢15.3%
肢210.8%
肢361.0%
肢422.9%

解説

  1. 正しい。都道府県は、盛土規制法の各種規制区域の指定や災害防止措置のために、概ね5年ごとに基礎調査を行うことになっています。基礎調査のための測量や調査では、都道府県知事や知事が命じた者・委任した者が、必要の限度において他人の土地に立ち入ることが認められています(盛土規制法5条1項)。土地の占有者は、正当な理由がない限り、この立入りを拒んだり妨げたりすることができません(盛土規制法5条5項)。
    都道府県知事(指定都市又は中核市の区域内の土地については、それぞれ指定都市又は中核市の長。第五十条を除き、以下同じ。)は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
    土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
    都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができ、当該土地の占有者は、正当な理由がない限り、その立入りを拒み、又は妨げてはならない。R6-19-1
    都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)は、基礎調査のために行う測量又は調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。R2⑫-19-3
    土地の占有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、基礎調査のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。H26-19-3
    都道府県は、基礎調査のために行う測量又は調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。H21-20-3
    都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、基礎調査のため測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に立ち入ることができる。H20-22-3
  2. 正しい。盛土規制法では「宅地造成」を以下のように定義しています(盛土規制法2条2号)。
    宅地造成
    宅地以外の土地を宅地にするために行う盛土その他の土地の形質の変更で政令で定めるものをいう。
    本肢の記述どおり、宅地造成とは「宅地以外⇒宅地」にする工事であり、その逆に「宅地⇒宅地以外」にする工事は宅地造成に該当しません。
    宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。H30-20-3
    宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。H22-20-1
    宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。H16-23-1
  3. [誤り]。許可ではなく届出が必要となります。宅地造成等工事規制区域内で、公共施設用地(道路・公園・河川等)を宅地や農地にする場合、宅地造成等の工事を伴うかによって必要な手続きが異なります(盛土規制法12条1項、21条4項)。
    宅地造成等の工事を行う場合
    工事主は、工事の着手前に都道府県知事の許可(許可をもって転用の届出は不要となる)
    宅地造成等の工事を行わない場合(転用)
    転用した者は、転用した日から14日以内に都道府県知事に届出
    宅地造成等の工事を行わない転用の場合、転用した日から14日以内に都道府県知事に届出をすれば足ります。
    宅地造成等工事規制区域外において行われる宅地造成に関する工事については、工事主は、工事に着手する日の14日前までに都道府県知事に届け出なければならない。R1-19-1
    宅地造成等工事規制区域外において行われる宅地造成に関する工事については、工事主は、工事に着手する前に都道府県知事に届け出ればよい。H23-20-4
    宅地造成及び特定盛土等規制法によれば、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の請負人は、工事に着手する前に、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。H13-24-1
  4. 正しい。宅地造成等の工事の計画を変更しようとするときは、原則として、都道府県知事に変更の許可を受ける必要があります。ただし、次の2つの軽微な変更については許可は不要で、遅滞なく届出をすればOKとされています(盛土規制法16条1項・2項)。
    • 工事主、設計者、工事施行者の変更
    • 工事の着手予定年月日、工事の完了予定年月日の変更
      ※土石の堆積工事の場合、工事予定期間を伸張しないものに限る
    工事施行者の変更は「軽微な変更」に該当するため、許可ではなく届出で足ります。
    第十二条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る宅地造成等に関する工事の計画の変更をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、主務省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
    2 第十二条第一項の許可を受けた者は、前項ただし書の主務省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
    宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める軽微な変更を除き、当該許可に係る工事の計画の変更をしようとするときは、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければならない。R1-19-2
    宅地造成に関する工事の許可を受けた者が、工事施行者を変更する場合には、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はない。H27-19-3
    宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める軽微な変更を除き、当該工事の計画を変更しようとするときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。H26-19-4
したがって誤っている記述は[3]です。