宅建試験過去問題 令和元年試験 問19(改題)

問19

宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
  1. 宅地造成等工事規制区域外において行われる宅地造成に関する工事については、工事主は、工事に着手する日の14日前までに都道府県知事に届け出なければならない。
  2. 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める軽微な変更を除き、当該許可に係る工事の計画の変更をしようとするときは、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
  3. 宅地造成等工事規制区域の指定の際に、当該宅地造成等工事規制区域内において宅地造成工事を行っている者は、当該工事について都道府県知事の許可を受ける必要はない。
  4. 都道府県知事は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域又は集落の区域であって、宅地造成等に関する工事について規制を行う必要があるものを、造成宅地防災区域として指定することができる。

正解 3

問題難易度
肢110.3%
肢218.4%
肢345.2%
肢426.1%

解説

  1. 誤り。宅地造成が規制されるのは宅地造成等工事規制区域内に限られるので、区域外で行われる宅地造成については許可も届出も不要です(盛土規制法12条1項)。なお、宅地造成等工事規制区域外であっても、特定盛土等規制区域で行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事については、規模に応じて届出又は許可が必要となります。
    宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する前に、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。
    宅地造成等工事規制区域内において、公共施設用地を宅地に転用する者は、宅地造成等に関する工事を行わない場合でも、都道府県知事の許可を受けなければならない。R2⑩-19-3
    宅地造成等工事規制区域外において行われる宅地造成に関する工事については、工事主は、工事に着手する前に都道府県知事に届け出ればよい。H23-20-4
    宅地造成及び特定盛土等規制法によれば、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の請負人は、工事に着手する前に、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。H13-24-1
  2. 誤り。宅地造成等に関する工事の計画の変更をしようとするときは、原則として都道府県知事の許可が必要です。よって、届出ではダメです。例外として、以下2つは軽微な変更とされ届出制となります(盛土規制法16条1項・2項)。
    • 工事主、設計者、工事施行者の変更
    • 工事の着手予定年月日、工事の完了予定年月日の変更
      ※土砂の堆積工事の場合、工事予定期間を伸張しないものに限る
    第十二条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る宅地造成等に関する工事の計画の変更をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、主務省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
    2 第十二条第一項の許可を受けた者は、前項ただし書の主務省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
    宅地造成等に関する工事の許可を受けた者が、工事施行者を変更する場合には、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はない。R2⑩-19-4
    宅地造成に関する工事の許可を受けた者が、工事施行者を変更する場合には、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はない。H27-19-3
    宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める軽微な変更を除き、当該工事の計画を変更しようとするときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。H26-19-4
  3. [正しい]。宅地造成等工事規制区域の指定の際に、その区域内で宅地造成等に関する工事を行っている者は、指定日から21日以内に都道府県知事に届け出る必要があります(盛土規制法21条1項)。法の趣旨からすれば許可に係らしめるべきですが、既に行っている工事について許可を必要にした場合、それにより工事の停止や中止が余儀なくされるなどの不利益が大きいことから届出制とされています。
    宅地造成等工事規制区域の指定の際、当該宅地造成等工事規制区域内において行われている宅地造成等に関する工事の工事主は、その指定があつた日から二十一日以内に、主務省令で定めるところにより、当該工事について都道府県知事に届け出なければならない。
    宅地造成等工事規制区域の指定の際に、当該宅地造成等工事規制区域内において宅地造成工事を行っている者は、当該工事について改めて都道府県知事の許可を受けなければならない。H27-19-2
    新たに指定された宅地造成等工事規制区域内において、指定の前にすでに着手されていた宅地造成等に関する工事については、その工事主はその指定があった日から21日以内に、都道府県知事の許可を受けなければならない。H15-24-3
  4. 誤り。本肢は「宅地造成等工事規制区域」の指定基準です。造成宅地防災区域として指定されるのは、宅地造成等工事規制区域外の土地のうち、宅地造成又は宅地において行う特定盛土等に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地であって、一定の基準に該当するものです(盛土規制法45条1項)。要するに、これから宅地造成が行われる土地ではなく、過去に宅地造成が行われた土地を指定対象とします。
    都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、宅地造成又は特定盛土等(宅地において行うものに限る。第四十七条第二項において同じ。)に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(これに附帯する道路その他の土地を含み、宅地造成等工事規制区域内の土地を除く。)の区域であつて政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。
    都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成等工事規制区域内で、宅地造成又は特定盛土等(宅地において行うものに限る。)に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって、一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。R5-19-1
    都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成等工事規制区域内で、宅地造成又は宅地において行う特定盛土等に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。R3⑩-19-4
    都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成等工事規制区域内で、宅地造成又は宅地において行う特定盛土等に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。H24-20-4
    都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内においても、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるもの(以下この問において「災害」という。)の発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域を造成宅地防災区域に指定することができる。H19-23-1
したがって正しい記述は[3]です。