意思表示(全14問中1問目)
No.1
法律行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。令和6年試験 問1
- 営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。
- 公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。
- 詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。
- 他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。
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正解 1
問題難易度
肢161.5%
肢24.3%
肢314.9%
肢419.3%
肢24.3%
肢314.9%
肢419.3%
分野
科目:1 - 権利関係細目:2 - 意思表示
解説
- [正しい]。意思能力を有しない者がした法律行為は、絶対的に無効です(民法3条の2)。意思能力とは、法律行為の結果を弁識することができる能力を指し、意思能力を有しない者の代表例としては、10歳未満の子供や泥酔者、重い精神病や認知症である者などが挙げられます。
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
意思能力を有しないときに行った不動産の売買契約は、後見開始の審判を受けているか否かにかかわらず効力を有しない。(R3⑩-5-4)本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、Bは、本件試験に合格しても、本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。(H30-3-4)AB間の売買契約が、Aが泥酔して意思無能力である間になされたものである場合、Aは、酔いから覚めて売買契約を追認するまではいつでも売買契約を取り消すことができ、追認を拒絶すれば、その時点から売買契約は無効となる。(H19-1-4)買主Cが意思無能力者であった場合、Cは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。(H17-1-2) - 誤り。公の秩序・善良の風俗(公序良俗)に反する法律行為は、絶対的に無効です(民法90条)。無効な行為は、当事者どうしの合意や追認によっても有効となることはありません(民法119条)。
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。
- 誤り。詐欺による意思表示、強迫による意思表示のいずれも取消しの対象です。取り消すまでは有効で、取り消すことにより当初から無効となります(民法96条1項)。
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
Aが第三者Cの強迫によりBとの間で売買契約を締結した場合、Bがその強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはAB間の売買契約に関する意思表示を取り消すことができる。(H19-1-3) - 誤り。他人の所有物を目的とする売買契約も、追認なしに有効です(民法561条)。売主はその他人から目的物を取得して、買主に引き渡す義務を負い、もしそれができなければ債務不履行として処理されます。
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損害を賠償せずに売買契約を解除することができる。(R3⑫-4-3)売買契約締結時には当該自動車がAの所有物ではなく、Aの父親の所有物であったとしても、AC間の売買契約は有効に成立する。(H29-5-4)Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aの責めに帰すべき事由により、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、BはAに対して、損害賠償を請求することができる。(H28-6-1)Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、Bは、本件契約を解除することができる。(H28-6-2)甲土地がAの所有地ではなく、他人の所有地であった場合には、AB間の売買契約は無効である。(H21-10-3)買主が、売主以外の第三者の所有物であることを知りつつ売買契約を締結し、売主が売却した当該目的物の所有権を取得して買主に移転することができない場合には、買主は売買契約の解除はできるが、損害賠償請求はできない。(H17-9-1)Bが購入した土地の一部を第三者Dが所有していた場合、Bがそのことを知っていたとしても、BはAに対して追完請求をすることができる。(H16-10-3)Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。(H13-1-1)
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