宅建試験過去問題 平成17年試験 問1(改題)

問1

自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  1. 買主Bが被保佐人であり、保佐人の同意を得ずにAとの間で売買契約を締結した場合、当該売買契約は当初から無効である。
  2. 買主Cが意思無能力者であった場合、Cは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。
  3. 買主である団体Dが法律の規定に基づかずに成立した権利能力を有しない任意の団体であった場合、DがAとの間で売買契約を締結しても、当該土地の所有権はDに帰属しない。
  4. 買主である未成年者Eが土地の購入につき法定代理人の同意を得ていると嘘をつき、Aがそれを信じて契約締結した場合であっても、Eは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。

正解 3

問題難易度
肢120.9%
肢218.6%
肢355.5%
肢45.0%

解説

  1. 誤り。被保佐人が保佐人を同意を得ずに行った、不動産等の重要財産の権利の得失については、保佐人は後から取り消すことができます(民法13条1項3号)。取消しをすることにより初めから無効だったとみなされるのであり、契約した段階で無効となるわけではありません。
    被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

    三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
  2. 誤り。意思無能力者が行った意思表示は当然に無効となります(民法3条の2)。取消しをしなくても当初から無効なので本肢は誤りです。
    法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
  3. [正しい]。法律によって作られた法人は権利能力を有しますが、法律の規定に基づかずに成立した権利能力を有しない任意団体には権利能力がないので法律行為をすることができません。もし任意団体で売買契約を結びたいのであれば代表者等の個人名義でする必要があります。よって、売買契約の効果は一切生じないこととなります。
  4. 誤り。未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は後から取り消すことができます。しかし、未成年者が行為能力者であると信じさせるための詐術を用いたときには、取り消すことができません(民法21条)。嘘をついた制限行為能力者の保護よりも取引の相手方の保護が優先されるべきだからです。
    制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
したがって正しい記述は[3]です。