宅建試験過去問題 平成17年試験 問9(改題)
問9
売買契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。- 買主が、売主以外の第三者の所有物であることを知りつつ売買契約を締結し、売主が売却した当該目的物の所有権を取得して買主に移転することができない場合には、買主は売買契約の解除はできるが、損害賠償請求はできない。
- 売主が、買主の代金不払を理由として売買契約を解除した場合には、売買契約はさかのぼって消滅するので、売主は買主に対して損害賠償請求はできない。
- 買主が、抵当権が存在していることを知りつつ不動産の売買契約を締結し、当該抵当権の行使によって買主が所有権を失った場合には、買主は、売買契約の解除はできるが、売主に対して損害賠償請求はできない。
- 買主が、売主に対して手付金を支払っていた場合には、売主は、自らが売買契約の履行に着手していても、買主が履行に着手するまでは、手付金の倍額を買主に支払うことによって、売買契約を解除することができる。
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正解 4
問題難易度
肢113.4%
肢26.4%
肢312.2%
肢468.0%
肢26.4%
肢312.2%
肢468.0%
分野
科目:A - 権利関係細目:5 - 所有権・共有・占有権・用益物権
解説
- 誤り。他人の所有物を売買の目的物として契約した場合には、買主がその事実につき悪意であったとしても、売主はその権利を取得して買主に対して引き渡す義務があります(民法561条)。売主がこの義務を果たさないときは、買主は売主に対して契約解除できますし、売主の帰責事由があれば損害賠償請求もできます。解除権を行使しても、損害賠償請求をすることは可能です(民法544条4項)。
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
- 誤り。売買契約が解除された場合、双方に原状回復義務が生じます。解除をした後も、買主に帰責事由があるときは損害賠償請求が可能です(民法544条4項)。
- 誤り。抵当権が設定されていることが契約内容となっていない場合には、買主が抵当権の設定につき悪意であったとしても、売主は契約不適合責任を負います(民法565条民法564条)。
前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。
前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。
- [正しい]。手付解除は、相手方が契約の履行に着手する前に行わなくてはなりません(民法557条1項)。本肢は、売主自ら契約の履行に着手していますが、相手方である買主が着手前であれば手付解除が可能です。
買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
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