不法行為による損害賠償請求と債務不履行による損害賠償請求

令和7年度 賃貸不動産経営管理士
ウルトラさん
(No.1)
平成17年問11肢4

解説に、「不法行為による損害賠償請求権は①被害者または法定代理人が、損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき、②不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する」
とあるのですが、そもそもこの問題が債務不履行による損害賠償請求か、不法行為による損害賠償請求なのかわかりません。
 債務不履行による損害賠償請求だと5年になっちゃいます。
 瑕疵がある塀を作って、それが崩れてDの車が破損したなら、そもそもBの契約不適合で、債務不履行による損害賠償請求になるのかと思ったのですが、よく考えたら、Dとなんらかの契約をしていたわけではないので、不法行為による損害賠償請求として判断すればいいのでしょうか?
 法務省のホームページには、不法行為責任について「故意または、過失によって、他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負うとされており、これを不法行為責任といいます。不法行為責任は、交通事故が発生した場合など、契約関係等のない当事者間でも成立します」とあります。
 A,B,Cは、この瑕疵があることを「過失なく」知らない、と問題文にありますが、過失なく知らないけど、ほかの面において(例えば塀を作る時に設計をミスったとか)「過失があった」と考えるのでしょうか?そうしないと不法行為責任にならないのでは…と思ったのです。
 もしくは、そこまで考えず、問題文中の「損害及び加害をしった時から」という表記から、「これは、不法行為による損害賠償請求のことを言っているな」と即判断すればよいでしょうか?そうしないと、試験当日時間が足りなくなりそうです。
2025.06.28 11:34
774さん
(No.2)
>「これは、不法行為による損害賠償請求のことを言っているな」と即判断すればよいでしょうか?そうしないと、試験当日時間が足りなくなりそうです。
「これは特殊不法行為のことを言ってるな」と即判断です(この時点で債務不履行は思考の外です)。
不法行為には「一般不法行為(709条)」と「特殊不法行為(714-719条)」の2種類あります。
ウルトラさんが挙げた要件は前者の一般不法行為で、本件で問われているのは後者。

特殊不法行為は他にも飼い主責任や注文者責任等ありますが、特に覚えなければならないのが「土地の工作物等責任(717条)」。
参考書の該当部分(709条及び717条1項)は丸暗記するまで読み込んでもいいくらいです。
2025.06.28 15:37
ナノナノさん
(No.3)
まず最初に質問文を拝読して、ウルトラさんの着眼点や理解の深さが良くうかがえる文面だと思いました。

さて債務不履行と不法行為の違いとして、両者が成立するための前提は、ウルトラさんが述べられている通り、債務不履行が契約関係を前提とするのに対し、不法行為は契約関係のない場面で問題となります。

また、債務不履行は、債務があるにもかかわらずこれを履行しなかったこと(通常、債務者の故意または過失が必要)が要件となります。
一方、不法行為は、故意または過失により他人の権利または法律上保護される利益を侵害した場合に成立します。
このへんはテキストでもしっかり重要ポイントとして書かれてると思います。

ウルトラさんが例示された問題文では、塀を作ったのはB(業者)であり、その塀が倒壊してD(通行人または第三者)の車が破損したという状況です。
この場合、BとDの間には契約関係がないため、Dは「債務不履行に基づく損害賠償請求」をすることはできません。
したがって、Dが請求可能なのは「不法行為に基づく損害賠償請求」(民法709条)です。

ここで、過失がなければ不法行為は成立しないのではという疑問につきましては、確かに不法行為が成立するには、故意または過失が必要です。
しかし「過失なく知らなかった」とされていても、本当に過失がなかったかは別問題です。

ウルトラさんが述べているとおり、「知らなかったこと」自体が直ちに「過失がなかったこと」にはつながりません。
例に挙げている塀に設計ミスなどがあったり、ひび割れがあったなどの瑕疵があり、それを見逃していた場合、仮に業者がその瑕疵に気づいていなかったとしても、それが注意義務を果たしていなかった結果であるならば、過失があると判断されます。
よって、不法行為における「過失が否定された」とは言い切れません。

なお、過去問ではこのような例示問題(工作物責任)とあわせて、使用者責任の問題も頻出事項です。
これらは、不法行為の成立を前提に出題されると見て差し支えないと思います。

重要なのは、問題文を十分に吟味して出題の意図を瞬時に見抜き、的確に法的思考力で答えることです。
細かな論点にこだわり過ぎて時間を浪費することのないよう、今の段階では時間配分にも意識を向けながら、問題演習を積み重ねてください。(50問を120分で解くには1問あたり2.4分で解かねばなりません)
ご健闘をお祈りします。
2025.06.28 16:14
通りすがりさん
(No.4)
A,B,Cは、この瑕疵があることを「過失なく」知らない。

上記の文は、ABCは善意無過失だといいたいだけです。
試験では、よくある言い回しです。

実際は、Bが過失なくしらないってことはフィクションだといいなと思う・・・
2025.06.28 17:53
ウルトラさん
(No.5)
 皆様、いろいろ回答いただき、ありがとうございます。
 工作物責任の時点で、不法行為に関する問題だな、と思ったほうが良さそうですね。
 法務省のホームページの一文は、一般の不法行為の説明だと、そこまで考えが至っていませんでした。指摘してもらいありがとうございます。
 774さんもナノナノさんも覚えるべきポイントまで指南くださり感謝します。
 通りすがりさん、「過失なく知らない」という表現が自分は苦手です。
 塀を自分で作ったBさんが、瑕疵があることを「過失なく知らない」ってどんなシチュエーションなんだろう、と思っている次第です…。
 ありがとうございました!
2025.06.28 19:08
トマト大好きさん
(No.6)
まず、「所有する家屋を囲う塀」というワードから工作物責任がテーマだと推測
その上で、
肢1 Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
→所有者は無過失責任だったから×
他の肢で迷っても「明らかに誤っている肢」が混ざっているので、
2分以上使ってはいけない問題だと思います。
2025.06.28 19:32
ウルトラさん
(No.7)
 トマト大好きさん、4肢の解き方のコツを教えてもらいありがとうございます。
 まだまだ4択を解くテクニックまでには及ばない状態です(汗)1肢ずつ解けるか確認してる最中です。

 参考になりました。ありがとうございます🙇
2025.06.28 20:36
yuebingさん
(No.8)
個人的な解釈にはなりますが、「過失なく知らない」は、私は「知らず、また知らなかったことについて過失がない(不注意・落ち度などにより知らなかった状態だったわけではない)」というふうに読み替えております。
2025.06.29 08:04

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