損害賠償責任について
まっぴさん
(No.1)
問
Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたが、Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、Cが占有使用しているときに、この瑕疵により塀が崩れ、脇に駐車中のD所有の車を破損させた。A、B及びCは、この瑕疵があることを過失なく知らない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいか否かを答えよ。
Bは、瑕疵を作り出したことに故意又は過失がなければ、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
この選択肢が〇であることは理解したのですが、
①Dに対するAの責任
②Aに対するBの責任
それぞれの責任はどうなるのでしょうか？
ご教示よろしくお願いいたします。
2022.09.25 12:47
090さん
(No.2)
1.賃貸契約をされている不動産による第三者の損害は、原則、不動産の所有者が責任を負います
つまり、AがDに対して全責任を負うこととなります
もちろん、B,Cに過失があれば、そちらに責任が行きますので、その範囲でAは免責されます
ただし、この問いでは、瑕疵があることをみんな知らないので、Aの責任となってしまっています
2．Bは、過失がなく瑕疵の存在を知らないため、Aに責任を負うことはありません
ただし、Aの方で、Bの瑕疵を証明できた場合、瑕疵の存在を皆が知ることとなった場合は、Bは、その範囲で瑕疵の責任を負うこととなります
存在するけど、誰も知らない瑕疵ってなんだよって話ではあるんですが、そういうものということで、ご理解してください
2022.09.25 22:37
ヤスさん
(No.3)
このABCすべて過失がないと記載があるので、その条件で見ていきます。
まず、一見してこの事故は何が原因か考えると、どう考えてもBが作った塀のせいだと思いますよね？
じゃあBが責任負うのが筋だと思いますが、民法では709条に不法行為の条文がありますが、その中では「故意または過失」がある場合となっているため、Bに過失がない以上Bに不法行為責任を負わせる事はできません。同じようにAにもCにも過失がないので、709条は使えません。
じゃあ他に何か良い条文はないかと言うと、717条に「土地の工作物の占有者・所有者の責任」の条文があります。
これは土地の工作物の設置または保存に瑕疵があって第三者に損害が出た場合、まずは占有者が一次的責任を負い、占有者が注意義務を尽くしていれば、第二次的に所有者が無過失でも責任を負います。
これで見てみると、占有者Cは注意義務を尽くしていれば、Cは責任は負いません。今回Cには過失なく、よっぽど変な使い方してなければCは免責されます。
じゃあ所有者Aは、これは無過失責任ですのでAは無過失でも責任を負うことになります。
ただ、この場合、他に損害の原因について責任を負うべき者がいる場合は、損害賠償した者はその者に求償することができます。
今回の場合は、Aが無過失責任で損害賠償の責任を負うので、Aは後で原因を作った瑕疵ある塀を作ったBに対して求償できます。
では他に何かないか考えると、もう一つあります。
Bの請負に対する契約不適合責任です。過失あろうとなかろうとBはAに瑕疵ある塀を引渡しています。
この契約不適合責任を取らないといけません。
Aはこの事故で瑕疵を知ったのですから、そこから一年以内にBに通知して、契約不適合責任を負わせることができます。つまり、追完請求、報酬の減額請求、損害賠償請求および契約解除ができます。
但し、損害賠償請求だけは過失(帰責事由)がないとできません。Bにそんな変な塀を作った事に過失がなければ、Aはそれ以外の追完請求、報酬の減額請求、契約解除をBに求めることになります。
こんな感じでしょうか。参考になりましたでしょうか。
2022.09.26 00:03
まっぴさん
(No.4)
詳細にお教えくださいまして有難うございます。
めっちゃ参考になります。
090様。
誰も知らない瑕疵ってのが笑えますけど、
実在にあり得なさそうな問題設定は宅建試験ならではなのでしょうか。
少しだけ理解が深まりました。
ヤス様。
知りたいことがすべて網羅されている解説に感動です。
しっかり読み込んで理解してみます！
数日かかりそうな気がしますが。(笑)
しかし、こんな感じの問題が本番で出たら慌てるだろうと思います。
残り20日。
初受験の僕、後悔の無いように頑張ります。
本当にありがとうございました。<(_ _)>
2022.09.26 16:12
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