宅建試験過去問題 令和3年10月試験 問6
問6
売買代金債権(以下この問において「債権」という。)の譲渡(令和6年7月1日に譲渡契約が行われたもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。- 譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、当該債権譲渡の効力は妨げられないが、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
- 債権が譲渡された場合、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、その後に発生した債権を取得できない。
- 譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって譲受人に対抗することができる。
- 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知し、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができず、その譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
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正解 2
問題難易度
肢19.5%
肢254.6%
肢315.3%
肢420.6%
肢254.6%
肢315.3%
肢420.6%
分野
科目:1 - 権利関係細目:7 - 債権総則
解説
- 正しい。譲渡制限の意思表示がある債権が譲渡された場合であっても当該譲渡は有効です(民法466条2項)。それが金銭債権であった場合、債務者は債権の全額に相当する金銭を履行地の供託所に供託することができます(民法466条の2第1項)。
当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。
譲渡禁止特約のある債権の譲渡を受けた第三者は、その特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失があるときでも、当該債権を取得することができる。(H30-7-1)譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者は、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかである等の事情があっても、その特約の存在を理由に、譲渡の無効を主張することができない。(H30-7-3)AのBに対する債権に譲渡禁止の特約があり、Cがその特約の存在を知りながら債権の譲渡を受けていれば、Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dがその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がない場合でも、BはDに対して債務の履行を拒むことができる。(H28-5-1)AB間の代金債権には譲渡禁止特約があり、Cがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合でも、Cはこの代金債権を取得することができる。(H23-5-1)貸付金債権に譲渡禁止特約が付いている場合で、Cが譲渡禁止特約の存在を知っているときでも、AからCへの債権譲渡は有効である。(H15-8-1) - [誤り]。1か月後に発生する売上債権などのように、将来的に発生する予定の債権(将来債権)も債権譲渡の対象とすることができます(民法466条の6第1項)。将来債権の譲受人は、債権の発生と同時に当然にその債権を取得します(民法466条の6第2項)。
債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。
AのBに対する債権に譲渡禁止の特約がなく、Cに譲渡された時点ではまだ発生していない将来の取引に関する債権であった場合、その取引の種類、金額、期間などにより当該債権が特定されていたときは、特段の事情がない限り、AからCへの債権譲渡は有効である。(H28-5-3) - 正しい。譲受人が、譲渡制限の意思表示について悪意または善意重過失だった場合には、債務者は譲受人への債務の履行を拒むことができ、譲渡人に対する弁済等をもって譲受人に対抗することができます(民法466条3項)。
前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
債権の譲受人が譲渡禁止特約の存在を知っていれば、さらにその債権を譲り受けた転得者がその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がなかったとしても、債務者はその転得者に対して、その債務の履行を拒むことができる。(H30-7-2) - 正しい。債権譲渡の対抗要件は、①譲渡人から債務者への通知、②債務者の承諾のいずれかです。ただし、債務者以外の第三者に対抗するには、上記の通知または承諾を確定日付のある証書によって行わなければなりません(民法467条)。
債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。AがBに対して債権譲渡の通知をすれば、その譲渡通知が確定日付によるものでなくても、CはBに対して自らに弁済するように主張することができる。(H23-5-2)AがBに対する代金債権をDに対しても譲渡し、Cに対する債権譲渡もDに対する債権譲渡も確定日付のある証書でBに通知した場合には、CとDの優劣は、確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がBに到着した日時の先後で決まる。(H23-5-4)指名債権の性質を持つ預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡については、ゴルフ場経営会社が定める規定に従い会員名義書換えの手続を完了していれば、確定日付のある債権譲渡通知又は確定日付のある承諾のいずれもない場合でも、ゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗できる。(H19-9-2)
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