宅建試験過去問題 令和6年試験 問29

問29

宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問におい「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 宅地建物取引士資格試験に合格した者は、宅地又は建物の取引に関する実務の経験期間が2年に満たない場合であっても、試験に合格した日から1年以内に登録を受けようとするときには、都道府県知事が指定する講習を受講することにより、宅地建物取引士の登録を受けることができる。
  2. 宅地建物取引士証は、更新を受けることなくその有効期間が経過した場合、その効力を失うが、当該宅地建物取引士証を都道府県知事に返納する必要はない。
  3. 宅地建物取引士は、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義で宅地建物取引士である旨の表示をしたときは、法第68条の規定に基づく処分の対象となるが、当該他人が宅地建物取引士の登録を受けた者であるときはこの限りでない。
  4. 宅地建物取引業者は、その事務所唯一の専任の宅地建物取引士が宅地建物取引士証の有効期間の経過により効力を失い宅地建物取引士でなくなったときは、2週間以内に法第31条の3第1項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。

正解 4

問題難易度
肢124.0%
肢214.2%
肢32.1%
肢459.7%

解説

  1. 誤り。実務経験が足りない場合に受けるのは、国土交通大臣の登録を受けた講習(登録実務講習)です。本肢の「都道府県知事が指定する講習」は法定講習と呼ばれ、取引士証の交付前に受けるものです。
    宅建士登録を受けるには2年以上の実務経験が必要ですが、実務経験が足りない場合でも、登録実務講習を修了すれば実務経験を有する者と認められ、登録を受けることができる仕組みです(宅建業法規則13条の16)。宅建士試験合格から1年以内であれば法定講習が免除されます。
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    法第十八条第一項の規定により国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めた者は、次のいずれかに該当する者とする。
    一 宅地又は建物の取引に関する実務についての講習であつて、次条から第十三条の十九までの規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録実務講習」という。)を修了した者
    二 国、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して二年以上である者
    三 国土交通大臣が前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者
  2. 誤り。宅地建物取引士証の有効期間が満了して効力を失った場合や宅建士登録が消除された場合は、速やかに、交付を受けた都道府県知事に取引士証を返納しなければなりません(宅建業法22条6項)。
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    宅地建物取引士は、第十八条第一項の登録が消除されたとき又は宅地建物取引士証が効力を失つたときは、速やかに、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。
  3. 誤り。他人に宅地建物取引士の名義を貸し、その他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたときは監督処分の対象となります。名義貸しの相手が宅建士登録を受けていても処分は免れません(宅建業法68条1項)。
    都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引士に対し、必要な指示をすることができる。
    一 宅地建物取引業者に自己が専任の宅地建物取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅地建物取引士である旨の表示をすることを許し、当該宅地建物取引業者がその旨の表示をしたとき。
    二 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき。
    三 宅地建物取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。
  4. [正しい]。事務所には宅地建物取引業の従事者5人につき1名以上の専任の宅地建物取引士を置く必要があります。この規定に反する状態になったときは2週間以内に是正措置をとらなければなりません(宅建業法31条の3第3項)。
    したがって、事務所に置く唯一の専任の宅地建物取引士が宅地建物取引士でなくなった場合、その日から2週間以内に新たな専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。
    宅地建物取引業者は、第一項の規定に抵触する事務所等を開設してはならず、既存の事務所等が同項の規定に抵触するに至つたときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
したがって正しい記述は[4]です。