宅建試験過去問題 平成26年試験 問3(改題)

問3

権利の取得や消滅に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  1. 売買契約に基づいて土地の引渡しを受け、平穏に、かつ、公然と当該土地の占有を始めた買主は、当該土地が売主の所有物でなくても、売主が無権利者であることにつき善意で無過失であれば、即時に当該不動産の所有権を取得する。
  2. 所有権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは消滅し、その目的物は国庫に帰属する。
  3. 買主の売主に対する契約不適合による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。
  4. 20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。

正解 3

問題難易度
肢19.7%
肢27.5%
肢358.5%
肢424.3%

解説

  1. 誤り。取引行為により善意無過失で動産の占有を始めた者は、その動産について所有権等を取得します(民法192条)。この制度は「即時取得」と呼ばれ、無権利者から動産を譲り受けた買主などを保護し、取引の安全を確保するためにあります。しかし、土地のような不動産には即時取得の適用がありませんのので、占有を始めた買主が所有権を取得するには、時効取得の要件を満たす必要があります。
    取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
    Aと売買契約を締結したBが、平穏かつ公然と甲土地の占有を始め、善意無過失であれば、甲土地がAの土地ではなく第三者の土地であったとしても、Bは即時に所有権を取得することができる。H19-3-1
  2. 誤り。権利行使しないときに消滅時効の適用があるのは、債権と所有権以外の財産権です。よって、所有権は長期間行使しなくても消滅時効にかかることはありません(民法166条2項)。
    債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
    Aが甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。R2⑩-10-4
    Aが有する所有権は、取得のときから20年間行使しなかった場合、時効により消滅する。H17-4-1
  3. [正しい]。売買契約における契約不適合による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があります(最判平13.11.27)。消滅時効は、①権利を行使できる時から10年、②債権者が権利を行使できることを知った時から5年のいずれか早い時期に成立しますが、買主が契約不適合責任を追及することができるようになるのは目的物の引渡しを受けた時なので、消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行します。
    種類又は品質に関して契約不適合責任を追及するには、不適合を知ってから1年以内に通知する必要がありますが、その請求権自体が消滅時効にかかるまでにしなければなりません。引渡しからの期間にかかわらず、知ってから1年以内に通知すれば良いわけではないということです。
    瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用がある
    本件契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合、Bの担保責任の存続期間を20年と定めることができる。R1-8-2
    指名債権譲渡の予約契約を締結し、この予約契約締結の事実を確定日付のある証書により債務者に通知していれば、予約の完結によりなされる債権譲渡の効力を債務者以外の第三者に対抗することができる。H19-9-4
  4. 誤り。所有権の取得時効の要件は、①所有の意思をもって、②平穏かつ公然と、③他人の物を占有することです。したがって、他人の物を占有していても所有の意思がない場合には、時効取得することができません(民法162条1項)。例えば、賃貸借や使用貸借を権限とする占有や、固定資産税などを負担していないなど客観的に見て所有の意思がないといえる事情がある場合はダメです。
    二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
    Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。H27-4-1
    自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。H22-3-2
    Bが所有の意思をもって5年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合、Cが占有の開始時に善意・無過失であれば、Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず、Cは10年の取得時効を主張できる。H16-5-2
    Cが期間を定めずBから土地を借りて利用していた場合、Cの占有が20年を超えれば、Cは20年の取得時効を主張することができる。H16-5-4
したがって正しい記述は[3]です。