宅建試験過去問題 令和元年試験 問8(改題)
問8
Aを注文者、Bを請負人とする請負契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。- 本件契約の目的物たる建物に重大な契約不適合があるためこれを建て替えざるを得ない場合には、AはBに対して当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
- 本件契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合、Bの担保責任の存続期間を20年と定めることができる。
- 本件契約の目的が建物の増築である場合、Aの失火により当該建物が焼失し増築できなくなったときは、Bは本件契約に基づく未履行部分の仕事完成債務を免れる。
- Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。
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正解 2
問題難易度
肢16.2%
肢257.4%
肢310.1%
肢426.3%
肢257.4%
肢310.1%
肢426.3%
分野
科目:1 - 権利関係細目:10 - その他の契約
解説
- 正しい。引き渡された建物に重大な契約不適合があり、建て替えざるを得ないときは、請負人に対し、建替えに要する費用相当額の損害賠償請求を行うことが可能です(最判平14.9.24)。
建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には,注文者は,請負人に対し,建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
請負契約の目的物たる建物に重大な契約不適合があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、Aは当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。(H18-6-2) - [誤り]。請負契約の担保責任期間には売買契約の規定が準用されます。担保責任を負う期間は当事者同士の合意によって伸長できますが、担保責任の損害賠償請求権には消滅時効の適用があるので、一般債権の客観的消滅時効期間である10年を超える担保責任期間を定めることはできません(最判平13.11.27民法166条1項)。
新築住宅建築の請負ならば、住宅品確法の定めにより特例で20年まで伸長可能(最低は10年)ですが、本肢は「事務所用」なので20年とすることはできません。瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用がある。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。 - 正しい。債務が履行不能になった場合、債権者Aは債務の履行を請求することできなくなるため、Bは残債務を免れます(民法412条の2第1項)。一方、帰責事由のあるAは請負代金の支払いを拒むことはできません(民法536条2項最判昭51.2.22)。
債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
請負契約において仕事が完成しない間に注文者の責に帰すべき事由によりその完成が不能となつた場合には、請負人は、自己の残債務を免れるが、民法五三六条二項により、注文者に請負代金全額を請求することができ、ただ、自己の債務を免れたことにより得た利益を注文者に償還すべきである。
- 正しい。請負人が仕事を完成するまでは、注文者はいつでも損害を賠償して請負契約を解除することができます(民法641条)。注文した仕事が不要になった時には注文を取りやめることができるように、注文者の解除権を認めたものです。
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
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