業務上の規制(全82問中5問目)

No.5

次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
令和5年試験 問37
  1. 宅地建物取引業者は、非常勤役員には従業者であることを証する証明書を携帯させる必要はない。
  2. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、取引の関係者から閲覧の請求があった場合であっても、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、閲覧を拒むことができる。
  3. 宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。
  4. 宅地建物取引業者は、従業者名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。

正解 3

問題難易度
肢12.9%
肢28.1%
肢381.1%
肢47.9%

解説

  1. 誤り。宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければなりません(宅建業法48条1項)。従業者証明書を携帯する者には社長、非常勤の役員、一時的に事務の補助をする者も含まれます(解釈運用-第48条第1項関係)。
    宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。
    従業者証明書を携帯させるべき者の範囲は、代表者(いわゆる社長)を含み、かつ、「法第31条の3第1項で定める従事者の範囲」の定めるところに、非常勤の役員、単に一時的に事務の補助をする者を加えるものとする。
    宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならず、その者が宅地建物取引士であり、宅地建物取引士証を携帯していても、従業者証明書を携帯させなければならない。R2⑩-39-2
    宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯させなくてもよい。R2⑩-39-4
    宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に、従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が宅地建物取引士で宅地建物取引士証を携帯していれば、従業者証明書は携帯させなくてもよい。H25-41-4
    宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に、従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯をさせなくてもよい。H20-42-4
    宅地建物取引業者は、従業者を業務に従事させる際に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければならないが、当該証明書を携帯させなかった場合でも、業務停止処分を受けることはない。H18-42-2
  2. 誤り。従業者名簿は事務所ごとに備え、従業者の氏名、従業者番号その他所定の事項を記載します。従業者名簿について、取引関係者から閲覧の請求があった場合は応じる義務があります(宅建業法48条3項・4項)。一方、同じ事務所ごとに備えるものでも、「帳簿」については閲覧させる義務はないのでしっかりと押さえ分けましょう。
    3 宅地建物取引業者は、国土交通省令で定めるところにより、その事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、第一項の証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
    4 宅地建物取引業者は、取引の関係者から請求があつたときは、前項の従業者名簿をその者の閲覧に供しなければならない。
    A社は、その事務所に従業者名簿を備えることとされているが、取引の関係者から請求があった場合、当該名簿をその者に閲覧させなければならない。H16-44-3
  3. [正しい]。宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者から従業者証明書の提示を求められたときは、当該証明書を提示する義務があります(宅建業法48条2項)。取引の関係者には、取引の当事者や相手方、取引に関与する宅地建物取引業者、融資に関与する金融機関等などが含まれるので、宅地建物取引業者から請求を受けた場合でも拒むことはできません。
    従業者は、取引の関係者の請求があつたときは、前項の証明書を提示しなければならない。
    宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。R4-35-1
    宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは、請求がなくても説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。R1-40-1
    宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅地建物取引士証の提示が義務付けられているため、宅地建物取引士証の提示をもって、従業者証明書の提示に代えることができる。H29-37-4
    宅地建物取引士は、取引の関係者から宅地建物取引士証の提示を求められたときは、宅地建物取引士証を提示しなければならないが、従業者証明書の提示を求められたときは、宅地建物取引業者の代表取締役である宅地建物取引士は、当該証明書がないので提示をしなくてよい。H28-38-イ
    宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。H21-43-1
    宅地建物取引業者の従業者は、宅地建物取引業者が発行する従業者証明書をその業務に従事する間、常に携帯し、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、従業者が宅地建物取引士である場合は、取引士証の提示をもってこれに代えることができる。H19-45-1
    宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて宅地建物取引士証を提示すればよい。H15-40-2
  4. 誤り。5年ではありません。従業者名簿については最終の記載をした日から10年間保存しなければなりません(宅建業法規則17条の2第4項)。一方、「帳簿」については保存期間は各事業年度の閉鎖後(決算日から)5年(自ら売主となる新築住宅に係るものは10年)なのでしっかりと押さえ分けましょう。
    宅地建物取引業者は、法第四十八条第三項に規定する従業者名簿(前項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)を最終の記載をした日から十年間保存しなければならない。
    宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者の氏名、従業者証明書番号その他国土交通省令で定める事項を記載した従業者名簿を備えなければならず、当該名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。R3⑩-29-1
    宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、退職した従業者に関する事項は、個人情報保護の観点から従業者名簿から消去しなければならない。R2⑩-39-3
    宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならず、当該名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。H18-42-1
    宅地建物取引業者は、国土交通省令に定める事項を記載した従業者名簿を、最終の記載をした日から5年間保存すればよい。H15-40-3
したがって正しい記述は[3]です。