宅地建物取引業・免許(全58問中38問目)

No.38

次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
平成22年試験 問28
  1. 免許を受けている個人Aが死亡した場合、相続人にAの免許は承継されないが、相続人は、Aが生前に締結した契約に基づく取引を結了するための業務を行うことができるので、当該業務が終了した後に廃業届を提出すればよい。
  2. 免許を受けている法人Bが免許を受けていない法人Cとの合併により消滅した場合、Cは、Bが消滅した日から30日以内に、Bを合併した旨の届出を行えば、Bが受けていた免許を承継することができる。
  3. 免許を受けている個人Dが、自己の名義をもって個人Eに宅地建物取引業を営ませる行為は、Eが免許を受けているとしても、法第13条で禁止する名義貸しに該当する。
  4. 免許を受けている法人Fが、宅地建物取引業保証協会の社員でない場合は、営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ事業を開始してはならないので、当該届出前に宅地建物取引業を営む目的で広告をした行為は、法第12条で禁止する無免許事業に該当する。

正解 3

問題難易度
肢18.4%
肢24.2%
肢366.3%
肢421.1%

解説

  1. 誤り。「相続人は、Aが生前に締結した契約に基づく取引を結了するための業務を行うことができる」の部分については適切ですが、廃業の届出は、死亡の事実を知った日から30日以内にしなければなりません(宅建業法11条1項1号)。
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    個人である宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が死亡した場合、Aの相続人は、Aの死亡の日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。R3⑫-29-3
    免許を受けていた個人Aが死亡した場合、その相続人Bは、死亡を知った日から30日以内にその旨をAが免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。H24-27-1
    宅地建物取引業者個人A(甲県知事免許)が死亡した場合、Aの相続人は、Aの死亡の日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。H16-32-1
  2. 誤り。法人が合併により消滅した場合、免許権者に届出なければならないのは消滅した法人を代表する役員(本肢ではB)です(宅建業法11条1項2号)。しかし、この届出をしたとしても消滅した法人の免許を承継できるわけではありません。
    宅地建物取引業者B(乙県知事免許)が、宅地建物取引業者ではないCとの合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内にその旨を乙県知事に届け出なければならない。R5-32-2
    法人である宅地建物取引業者B(乙県知事免許)が合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。R3⑫-29-4
    宅地建物取引業者D社(甲県知事免許)が、合併により消滅したときは、その日から30日以内に、D社を代表する役員であった者が、その旨を甲県知事に届け出なければならない。H29-30-4
    G社(甲県知事免許)は、H社(国土交通大臣免許)に吸収合併され、消滅した。この場合、H社を代表する役員Iは、当該合併の日から30日以内にG社が消滅したことを国土交通大臣に届け出なければならない。H24-27-4
    法人である宅地建物取引業者B(乙県知事免許)が合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。H21-28-2
    A社がD社に吸収合併され消滅したとき、D社を代表する役員Eは、合併の日から30日以内にその旨を甲県知事に届け出なげればならない。H18-31-3
  3. [正しい]。免許を受けている者が、自己の名義をもって他人に宅地建物取引業を営ませる行為は、相手方が宅建業の免許を有するか否かに関係なく名義貸しに該当します。名義貸しは、宅地建物取引業法で禁止されています(宅建業法13条1項)。
    宅地建物取引業者は、自己の名義をもつて、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない。
    宅地建物取引業者Bが宅地建物取引業者Cに自己の名義をもって宅地建物取引業を営ませる行為は、Bが名義の使用を書面で指示している場合であれば、宅地建物取引業法に違反しない。R6-38-2
  4. 誤り。免許を受ける前は、宅地建物取引業を営むことのみならず、営む旨の表示や広告をすることもできません(宅建業法12条2項)。法人Fは既に免許を受けているため無免許事業には該当しません。ただし、営業保証金の供託の届出前に事業を開始した場合には罰則の対象となります(宅建業法81条1号)。
    第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない。
    次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
    一 第二十五条第五項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)、第三十二条又は第四十四条の規定に違反した者
    宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせてはならないが、宅地建物取引業を営む目的をもってする広告をさせることはできる。R1-26-1
    Bは、新たに宅地建物取引業を営むため免許の申請を行った。この場合、Bは、免許の申請から免許を受けるまでの間に、宅地建物取引業を営む旨の広告を行い、取引する物件及び顧客を募ることができる。H29-36-2
    免許申請中である者が、宅地建物取引業を営む目的をもって宅地の売買に関する新聞広告を行った場合であっても、当該宅地の売買契約の締結を免許を受けた後に行うのであれば、法第12条に違反しない。H26-27-4
したがって正しい記述は[3]です。