35条書面(全64問中15問目)
No.15
宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、同法の規定に少なくとも説明しなければならない事項として掲げられていないものはどれか。令和3年10月試験 問36
- 建物の貸借の媒介を行う場合における、「都市計画法第29条第1項の規定に基づく制限」
- 建物の貸借の媒介を行う場合における、「当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容」
- 建物の貸借の媒介を行う場合における、「台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況」
- 宅地の貸借の媒介を行う場合における、「敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項」
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正解 1
問題難易度
肢159.3%
肢211.8%
肢315.3%
肢413.6%
肢211.8%
肢315.3%
肢413.6%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:7 - 35条書面
解説
- [適切]。都市計画法第29条第1項の規定とは、いわゆる開発許可に関する規定です。建物の貸借においては、以下の3つを除いて法令上の制限に関する内容の説明は不要ですので、本肢が正解肢となります(宅建業法令3条3項)。
- 新住宅市街地開発法32条
- 新都市基盤整備法51条
- 流通業務市街地の整備に関する法律38条
建物の貸借の媒介において、建築基準法に規定する建蔽率及び容積率に関する制限があるときは、その概要を説明しなければならない。(R1-41-3)建物の賃借の媒介の場合、当該建物が新住宅市街地開発事業により造成された宅地上にあり、新住宅市街地開発法第32条第1項に基づく建物の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転について都道府県知事の承認を要する旨の制限があるときに、その概要を説明しなかった。(H27-31-イ)建物の賃借の媒介の場合、当該建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建築基準法第62条第1項に基づく建物の構造に係る制限があるときに、その概要を説明しなかった。(H27-31-ウ)建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が津波防災地域づくりに関する法律第23条第1項の規定に基づく津波防護施設区域に位置しているときはその旨を説明する必要があるが、同法第53条第1項の規定に基づく津波災害警戒区域に位置しているときであってもその旨は説明する必要はない。(H26-34-2)建築基準法に規定する容積率及び建ペい率に関する制限があるときは、その制限内容を説明しなければならない。(H17-38-2) - 不適切。石綿(アスベスト)は、天然の繊維状珪酸塩鉱物の総称で、以前は建材製品、電気製品、ガス・石油製品などに使用されていました。細かな繊維は飛散しやすく、吸入された石綿が肺に残ることで、健康被害を引き起こす原因になるため現在では全面的に使用が禁止されています。
建物の解体(改修)や吹付けアスベスト材の経年劣化などでアスベスト粉塵が飛散して健康被害が心配されるため、「石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容」が建物の買主や借主に対する重要事項説明の内容となっています。具体的には、石綿の使用の有無の調査結果が保存されている場合は、その内容を記載するとともに説明し、調査結果が保存されていない場合には売主等に照会を行った経緯とその結果を記載し説明しなければなりません(宅建業法規則16条の4の3第4号)。当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明しなければならない。(R4-34-3)当該建物(昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手したもの)が指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その旨を説明しなければならない。(R4-34-4)建物の売買の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているか照会を行ったにもかかわらず、その存在の有無が分からないときは、宅地建物取引業者自らが石綿の使用の有無の調査を実施し、その結果を説明しなければならない。(R2⑩-31-2)当該建物が既存の建物である場合、石綿使用の有無の調査結果の記録がないときは、石綿使用の有無の調査を自ら実施し、その結果について説明しなければならない。(R1-28-3)建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その旨について説明しなければならないが、当該記録の内容までを説明する必要はない。(H24-30-3) - 不適切。台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況(有無、形態、使用の可否等)は、建物の貸借においてのみ説明が必要です(宅建業法規則16条の4の3第7号)。
宅地の取引では当然に不要だとして、なぜ建物の取引で貸借のみかというと、売買や交換では所有権が移るので建物の設備を自由に変更できるのに対して、貸借では借主が設備を自由に変更することができないからです。借主は現状の水回り設備を受け入れるしか選択がないため、借主が確実に把握できるよう契約前の説明が義務付けられているというわけです。 - 不適切。貸借では、貸借人の債務を担保する目的で宅地・建物を問わず敷金が交付されることがあります。敷金はその取扱いや精算でトラブルになりやすいため、敷金等の精算に関する事項は、宅地・建物の貸借において重要事項説明の内容となっています(宅建業法規則16条の4の3第11号)。
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