借地借家法(土地)(全26問中9問目)
No.9
AとBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。平成30年試験 問11
- 本件契約が専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする場合には、公正証書によらなければ無効となる。
- 本件契約が居住用の建物の所有を目的とする場合には、借地権の存続期間を20年とし、かつ、契約の更新請求をしない旨を定めても、これらの規定は無効となる。
- 本件契約において借地権の存続期間を60年と定めても、公正証書によらなければ、その期間は30年となる。
- Bは、甲土地につき借地権登記を備えなくても、Bと同姓でかつ同居している未成年の長男名義で保存登記をした建物を甲土地上に所有していれば、甲土地の所有者が替わっても、甲土地の新所有者に対し借地権を対抗することができる。
広告
正解 2
問題難易度
肢121.6%
肢255.6%
肢314.7%
肢48.1%
肢255.6%
肢314.7%
肢48.1%
分野
科目:1 - 権利関係細目:14 - 借地借家法(土地)
解説
- 誤り。事業用定期借地権等の場合には公正証書による契約が必要ですが、本肢に定期借地権とするような条件はありません。普通借地権の場合には契約方法に制限はないので、本件契約は有効な契約になります。
- [正しい]。「契約の更新請求をしない旨」を定めるのですから定期借地権の設定になります。定期借地権には下表の3種類がありますが、本肢のように「居住用で20年」という条件を満たす定期借地権は存在しません。よって、本特約は無効になります。
- 誤り。普通借地権の存続期間は30年以上となっています。普通借地権では契約方法の制限がないので、30年より長い期間を定めたとしても、また事業用建物の所有が目的であったとしても公正証書による必要はありません(借地借家法3条)。
借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
借地権を設定する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は30年となる。(R6-11-3)賃貸借契約が建物の所有を目的とする場合、公正証書で契約を締結しなければ、ケース①の期間は30年となり、ケース②の期間は15年となる。(R1-11-2)賃借権の存続期間を10年と定めた場合、本件契約が居住の用に供する建物を所有することを目的とするものであるときは存続期間が30年となるのに対し、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは存続期間は10年である。(H29-11-2)賃貸借の存続期間を60年と定めた場合には、ケース①では書面で契約を締結しなければ期間が30年となってしまうのに対し、ケース②では口頭による合意であっても期間は60年となる。(H26-11-1)BがAとの間で期間を定めずに甲土地の借地契約を締結している場合には、Cは、いつでも正当事由とともに解約を申し入れて、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。(H19-13-4) - 誤り。借地権の登記がなくても、借地権者本人の名義で建物の登記がなされていれば、土地の新所有者などの第三者に対して借地権を対抗することができます(借地借家法10条1項)。本肢の場合、建物の名義が借地権者本人ではなく長男になっているため、新所有者に対し借地権を対抗することができません。
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。(H28-11-1)ケース①では、賃借人は、甲土地の上に登記されている建物を所有している場合には、甲土地が第三者に売却されても賃借人であることを当該第三者に対抗できるが、ケース②では、甲土地が第三者に売却された場合に賃借人であることを当該第三者に対抗する方法はない。(H26-11-2)二筆以上ある土地の借地権者が、そのうちの一筆の土地上に登記ある建物を所有し、登記ある建物がない他方の土地は庭として使用するために賃借しているにすぎない場合、登記ある建物がない土地には、借地借家法第10条第1項による対抗力は及ばない。(H25-12-3)建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地権の登記がなくても、その土地上の建物に借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば、借地権を第三者に対抗することができる。(H24-11-1)甲土地につき、Bが建物を所有して小売業を行う目的で存続期間を30年とする土地の賃貸借契約を締結している期間の途中で、Aが甲土地をCに売却してCが所有権移転登記を備えた場合、当該契約が公正証書でなされていても、BはCに対して賃借権を対抗することができない場合がある。(H18-13-4)Bが、乙建物につき自己名義の所有権の保存登記をしている場合は、甲地につき賃借権の登記をしていないときでも、甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたCに対し、甲地の賃借権を対抗できる。(H15-13-1)
広告
広告