宅建試験過去問題 令和6年試験 問11
問11
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的の借地契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。- 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、存続期間を20年として借地権を設定する場合、建物買取請求権の規定は適用されず、また、その契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
- 居住の用に供する建物の所有を目的として借地権を設定する場合において、借地権を消滅させる目的で、その設定後30年を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨の特約を定めても、この特約は無効である。
- 借地権を設定する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は30年となる。
- 当事者が借地権の設定後に最初に借地契約を更新する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は更新の日から10年となる。
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正解 3
問題難易度
肢120.3%
肢211.7%
肢358.8%
肢49.2%
肢211.7%
肢358.8%
肢49.2%
分野
科目:1 - 権利関係細目:14 - 借地借家法(土地)
解説
- 誤り。公正証書による等書面ではありません。事業用建物の所有を目的とする20年の借地契約を定めるには、事業用借地権を使うことになります。事業用借地権の設定契約は公正証書でしなければなりません(借地借家法23条3項)。
【参考】
公正証書に限定しているのは、事業用定期借地権等の設定目的である「専ら事業用の建物(居住用を除く)の所有」について、要件を満たしているかどうかを公証人に審査させることで、法の実効力を確保するためです。前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
存続期間を10年以上20年未満とする短期の事業用定期借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によらなくても、書面又は電磁的記録によって適法に締結することができる。(H22-11-2) - 誤り。建物譲渡特約付借地権として有効となります。建物譲渡特約付借地権は、定期借地権の一種で、借地権を消滅させるために、設定後30年以上を経過した日において、借地上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定める契約です(借地借家法24条1項)。
借地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
- [正しい]。借地権の設定において存続期間を定めなかったときは、普通借地権となります。普通借地権の存続期間は最低30年なので、期間の定めがないときは30年の契約となります(借地借家法3条)。
借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
賃貸借契約が建物の所有を目的とする場合、公正証書で契約を締結しなければ、ケース①の期間は30年となり、ケース②の期間は15年となる。(R1-11-2)本件契約において借地権の存続期間を60年と定めても、公正証書によらなければ、その期間は30年となる。(H30-11-3)賃借権の存続期間を10年と定めた場合、本件契約が居住の用に供する建物を所有することを目的とするものであるときは存続期間が30年となるのに対し、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは存続期間は10年である。(H29-11-2)賃貸借の存続期間を60年と定めた場合には、ケース①では書面で契約を締結しなければ期間が30年となってしまうのに対し、ケース②では口頭による合意であっても期間は60年となる。(H26-11-1)BがAとの間で期間を定めずに甲土地の借地契約を締結している場合には、Cは、いつでも正当事由とともに解約を申し入れて、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。(H19-13-4) - 誤り。借地権を更新する場合、1回目の更新は20年以上、2回目以降の更新では10年以上とする必要があります(借地借家法4条)。最初の更新なので、存続期間を定めなかったときは20年の契約となります。
当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から十年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、二十年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
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