宅建試験過去問題 平成24年試験 問11

問11

賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地権の登記がなくても、その土地上の建物に借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば、借地権を第三者に対抗することができる。
  2. 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、建物が全焼した場合でも、借地権者は、その土地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば、借地権を第三者に対抗することができる場合がある。
  3. 建物の所有を目的とする土地の適法な転借人は、自ら対抗力を備えていなくても、賃借人が対抗力のある建物を所有しているときは、転貸人たる賃借人の賃借権を援用して転借権を第三者に対抗することができる。
  4. 仮設建物を建築するために土地を一時使用として1年間賃借し、借地権の存続期間が満了した場合には、借地権者は、借地権設定者に対し、建物を時価で買い取るように請求することができる。

正解 4

問題難易度
肢19.4%
肢28.5%
肢316.1%
肢466.0%

解説

  1. 正しい。借地権の登記がない場合であっても、土地上に借地権者名で登記している建物を所有するときは、第三者に対抗することができます(借地借家法10条1項)。なお、これは表示登記で足ります(最判昭50.2.13)。
    借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
    借地人が借地上に自己を所有者と記載した表示の登記のある建物を所有する場合は、建物保護に関する法律一条にいう登記したる建物を有するときにあたる。
  2. 正しい。借地上の建物が滅失した場合であっても、借地権者が建物特定に必要な事項等を土地の上の見やすい場所に掲示した場合、建物滅失日から2年間は借地権を第三者に対抗することができます(借地借家法10条2項)。
    前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
  3. 正しい。借地権の登記がない場合であっても、借地上に借地権者名で登記している建物を所有するときは、第三者に対抗することができます。また、土地の転借人は、この対抗力の援用により転借権を第三者に対抗することができます(最判昭39.11.20)。
    土地賃借人の有する借地権が対抗要件を具備しており、かつ転貸借が適法に成立している以上、転借人は、賃借人(転貸人)がその借地権を対抗しうる第三者に対し、賃借人の借地権を援用して自己の転借権を主張しうるものと解すべきである。
  4. [誤り]。建物買取請求権(借地借家法13条)は、一時使用のために借地権を設定した場合には適用されません(借地借家法25条)。
    第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。
したがって誤っている記述は[4]です。