代理(全18問中4問目)
No.4
Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。平成30年試験 問2
- Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても、本件契約の効果はAに帰属する。
- AがBに代理権を授与するより前にBが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。
- BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合、Aの許諾の有無にかかわらず、本件契約は無効となる。
- AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に本件契約が締結された場合、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。
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正解 4
問題難易度
肢18.9%
肢213.0%
肢39.7%
肢468.4%
肢213.0%
肢39.7%
肢468.4%
分野
科目:1 - 権利関係細目:3 - 代理
解説
- 誤り。代理人が自己または第三者の利益を図る目的で、代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知っていた・知ることができたときは、代理権の濫用に該当し、無権代理行為となります(民法107条)。この場合、本人が追認しなければ代理人のした行為の効果が本人に帰属することはありません。
Bは自己の利益を図る目的で甲土地の売買契約を締結し、Cはその目的を知っていたので代理権の濫用に当たります。よって、売買契約の効果は本人Aに帰属しません。代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
- 誤り。制限行為能力者であっても代理人になることは可能です(民法102条)。よって、Bが被補助人であっても、Bは有効に代理権を取得することができます。
制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
- 誤り。Bは、A及びC両方の代理人になりますから、双方代理行為になります。原則として双方の代理人となることはできませんが、本人からの許諾があるときには双方代理をすることも可能です(民法108条1項)。
A及びCの許諾があれば双方代理は有効になるので、本肢の記述は誤りです。同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
BがCの代理人も引き受け、AC双方の代理人として甲土地に係るAC間の売買契約を締結した場合、Aに損害が発生しなければ、Bの代理行為は無権代理とはみなされない。(R2⑫-2-2)不動産の売買契約に関して、同一人物が売主及び買主の双方の代理人となった場合であっても、売主及び買主の双方があらかじめ承諾をしているときには、当該売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。(H24-2-3)Bは、Aに損失が発生しないのであれば、Aの意向にかかわらず、買主Fの代理人にもなって、売買契約を締結することができる。(H21-2-4)Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Cは甲土地の所有権を当然に取得する。(H20-3-2)Bは、Aの同意がなければ、この土地の買主になることができない。(H12-1-3) - [正しい]。代理権は、①本人の死亡、②代理人の死亡・破産・後見開始により消滅します(民法111条1項)。代理人Bが後見開始の審判を受けた場合、その時点で代理権は消滅するため、Bがその後した行為は無権代理行為となります。
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
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