連帯債務・連帯保証の相殺について

令和7年度 賃貸不動産経営管理士
クロアリさん
(No.1)
債権者A-Bに対し1000万円の債権あり
連帯債務者B
連帯債務者C
がいるとお考え下さい。

例えば連帯債務者Bも、債権者Aに対して債権を持っており、その債権は700万円だったとします。
この場合、連帯債務者Cは、特約が無い限りBの負担部分を限度として履行を拒むことが出来るかと思います(民法439条)
質問1:ここで言う「負担部分の限度」って、按分した500万円を指すという認識で正しいですか?

また、別のケースで
債権者A-Bに対し1000万円の債権あり
主たる債務者B
連帯保証人C
がいるとお考え下さい。

同じく債務者BがAに対し700万円の債権を持っていたとします。
普通はCから「Bさん、相殺出来るんだからしてよ。しないならこっちだって払うつもりないよ」と言えると思います(民法457条3)
そして、過去問(令和2年10月問7肢3)にて、
・弁済期前にCが弁済(というか債務の消滅行為)をした
・弁済日前にBがAに対して債権を持っていた(相殺適状だった)
という場合に限り、CはAに対して消滅すべきであった債務の履行を請求出来るということを知りました。
質問2:この場合、CはAに対して、「本来1000万円のうち700万円は相殺出来たんだから、その700万円は返してよ」と言える、ということですか?そして、Bには300万円求償出来る?
質問3:裏を返せば、弁済期到来後、相殺出来ると知らなかったCがうっかり1000万円をAに払ってしまったとしたら、Aに対しては何も請求出来ず、Bには300万円しか求償出来ない、そういうことですか?
2025.07.12 17:21
ヤスさん
(No.2)
お答えします。
質問1→はい。この事例だと500万は拒否できます。

質問2→合っています。正確に言うと相殺分の700万はCに権利が移ると言うのが正しいですが、Aに700万請求、Bに300万求償で合っています。

質問3→お答えする前に確認ですが、Cは主たる債務者Bに事前通知しないで債務の消滅行為をしたと言う事でよろしいですか?(うっかりと書いてあるので、多分そうだと読めるのですが)
この場合は令和2年10月問7肢4のパターンです。
肢4の解説にあるように、民法463条1項が適用され、Bは相殺できた700万円分、求償を拒否できます。
結論としては、先ほどの質問2と同じになります。つまり、相殺分の700万はCに権利が移り、Aに700万請求、Bには残り300万の求償となります。
2025.07.12 21:14
クロアリさん
(No.3)
ヤスさんコメントありがとうございます。
とても分かりやすい解説をしてくださったおかげで、質問1と2については理解することが出来ました。

質問3について少し疑問点があります。
本問の解説を改めて読んだら少し混乱してしまったのですが、
債権者Aに対して→保証人Cは、債務者Bに対する通知の有無を問わず、債権者Aに対して反対債権の額を求償出来るということですか?
主たる債務者Bに対して→「保証人Cが通知を怠ったら、BはCに対抗出来る」における「対抗」って何を指しているのでしょうか?文脈的に、「通知をしなかったら、(質問文のケースだと)300万円だけ求償に応じたら良い」ということでしょうか?
仰る通りで、Cが相殺出来る債権の有無の確認を怠った(当然通知もしていない)ケースを想定していました。この場合、CがBに300万円しか求償出来ないのは至極当然として…きちんと通知をしていたらどうなるのでしょうか?
書いてて思ったのですが、通知をするということはBの方から「相殺出来る債権があるから相殺しておくよ」と言われるだろうから、結果的に債務自体が300万円になるのかな…?Bは相殺出来るのにそれを怠ったのだから、もちろん求償は全額1000万円応じなければならない…?
2025.07.12 21:39
ヤスさん
(No.4)
そもそも通知を求めているのは、主たる債務者に権利行使の機会を与えるためです。
今回で言えばBに相殺する機会を与える事になりますし、例えばBが債権者Aに対して他の抗弁(同時履行の抗弁など)があったら、それをもってCからの求償を拒絶できると言う事です。これが対抗の意味です。

仮にCがBに「これから1000万払うから」と通知したら、Bは「あ、ちょっと待って。それ700万分相殺するから」と普通答えますよね。通知したのに、Bが「700万相殺する予定だ」と言わなかったら、Bは1000万の求償に応じないといけません。
今回はCが通知しないで、先走りでAに1000万払った。Bとしては相殺に限らず債権者に対抗できる抗弁があったのに、それが使えなくなってしまった。じゃあ、通知を怠ったCに対して求償権を制限しますよと言うのが、この463条です。
Cは1000万の求償をBにしますが、Bは「700万相殺する予定だったのに、あなたが通知しなかったから、その機会がなくなったじゃないか。じゃあ求償1000万と700万相殺して、私は300万だけ求償に応じるよ」とこんな感じですね。
そして、BにはAに対する700万の債権(相殺できなかった分)が残ってますよね。相殺できなかったから。このままBに残しておくと、Bだけ得してませんか?
BはCからの求償1000万に対して700万拒絶しました。つまり300万だけ払います。その後700万の債権をAに請求して回収したら、+400万になってませんか?
これは不公平なんで、相殺できた反対債権はCに当然に移すと言う事になります。
2025.07.12 22:19
クロアリさん
(No.5)
>+400万になってませんか?
確かに…!!残った債権をBが持ったままだと得してる…!!
すごくはっとしました。ただ漠然と「反対債権が移る」と覚えるだけより遥かに身になったと思います。
今回もすごく勉強になりました。とても分かりやすく教えて下さりありがとうございました。
2025.07.12 22:39

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