賃貸人の地位の移転

令和7年度 賃貸不動産経営管理士
たまごやきさん
(No.1)
 ①賃借人に対抗要件が備わっているときは、一定の合意がある場合を除き、所有権の移転に伴って、賃貸人の地位は、旧所有者から新所有者に当然に移転する。
 ②賃借人に対抗要件が備わっていないときでも、賃貸人の地位は、賃借人の承諾なしに、譲渡人から譲受人の合意により、譲受人に移転させることができる。

 この2つの文章で、賃借人の対抗要件が備わっている場合と備わっていない場合とで、なぜ分けてあるのですか?何かのトラブル防止なんでしょうか?

 ②の「合意により」の言葉も、よくわかりません。①のケースだって、そもそも譲受人と譲渡人が合意してなかったら、所有者を移転しようとしないのではないでしょうか?

 よろしくお願いいたします。

2025.06.13 08:27
だし巻き卵大好きさん
(No.2)
たまごやきさんへ

<賃借権の対抗要件を備えた>賃貸不動産が譲渡されたときは、
原則として、賃貸人たる地位は、譲渡人から譲受人に移転する(民法第605条の2)。
この場合、賃借人の承諾は不要ですけど、賃貸人たる地位を賃借人に対抗するためには、譲受人が賃貸不動産の登記を具備する必要がある(第606条の2第3項)。

一方、<賃貸借の対抗要件を備えていない>賃貸不動産が譲渡された場合には、
賃貸不動産の譲渡人と譲受人との合意により、賃貸人の承諾なく賃貸人たる地位を移転することができる(605条の3)。
ということは、譲受人が賃貸不動産の登記を具備する必要が無い。
なぜならば、賃借人が対抗要件具備してないからですね。

①の同意は、「賃貸人たる地位の留保」のこと
②の同意は、「所有権移転の同意」のこと
賃貸人たる地位の留保とは、
賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨の合意や譲受人を貸主、譲渡人を借主とする賃貸借契約のこと
取引実務において資産の流動化・証券化等を目的とした賃貸不動産の譲渡が行われる場合、譲受人と多数の賃貸不動産の賃借人との間で賃貸借関係が生ずる煩雑さを回避するために、
賃貸人たる地位を譲受人に移転させず、あえて譲渡人の下に留保することがあります
例えば、マンションに100人住んでいた場合、いきなり100人の大家になるのは面倒だとか
色々と理由はあるでしょう。

民法って難しいですね。
私も頑張ります。
2025.06.13 20:22
宅建女子さん
(No.3)
605Ⅲについて。
こちらの場合も譲受人は登記をしなければ対抗できません。

−−−
(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の3
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第3項及び第4項の規定を準用する。
−−−

準用される前条第3項とは、

−−−
第1項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ 、賃借人に対抗することができない。
−−−
2025.06.13 21:07
だし巻き卵大好きさん
(No.4)
宅建女子さんご指摘ありがとうございます。
賃借人の対抗要件が備わっている場合と備わっていない場合とで、なぜ分けてあると思いますか?
2025.06.13 21:19
宅建女子さん
(No.5)
①②の違いは、まず①を作って、穴がないように②も追加したという感じかと思います。
賃借権を登記するケースはそんなにありませんので。

それと「合意」の意味ですが。

①が所有権移転すれば賃貸人の地位も当然に移転することを基本としています。
本来、賃借権を登記すれば物権より強くなるので、605Ⅱ-1はそれを上回る例外規定です。
でも地位を留保させたい場合、605Ⅱ−2で規定されてます。

一方、②の場合は、所有権移転しても当然には賃貸人の地位は移転しなくて、【合意】することで移転できるとしたものです。①とは逆です。

根本的に賃借人の承諾なしで賃貸人の地位を移転できるようにした条文ですが、なぜこのような違いがあるのかは、私の考えになってしまいますが、
①は登記で権利が明確なので、譲受人も地位の移転ありきで契約すると思いますが、②は賃借権が公に見えないので、所有権移転する際に賃貸人の地位も移転させるかどうか契約の中で明確にするためかなと思います。
2025.06.13 21:33
たまごやきさん
(No.6)
 だし巻き卵大好きさん、宅建女子さん、ありがとうございます。
 ただ、わかりません…(汗)
 ①の同意については、テキストに説明があったので理解しております。わかりやすく説明いただいて申し訳ないです。
 ①と②両方、賃貸人は登記を備えないと賃借人に対抗できないことは理解しました。

 対抗要件を備えている時と備えていない時となぜ分けてあるのか、どなたか知っている方いらっしゃいますか?
2025.06.13 21:40
たまごやきさん
(No.7)
 すみません、投稿のタイミングがかぶりました!
 今から宅建女子さんのコメント読みます。
2025.06.13 21:42
ヤスさん
(No.8)
①と②の違いですが、宅建女子さんの意見に同意です。
元々①は判例で認められていたものを、民法改正で明文化したものです。ほとんどの場合が①で処理できるでしょう。
ここで言う対抗要件ですが、借地借家法上の対抗要件も含みます。
そうすると、借地借家法が適用されず民法が適用される、例えば駐車場の敷地の賃貸借などの場合は対抗要件を備える事ができません。そういう対抗要件を備える事ができないケースで意味を持つのが②の規定となります。
2025.06.13 21:43
宅建女子さん
(No.9)
ヤスさん、わかりやすいフォローありがとうございますm(_ _)m
2025.06.13 21:51
たまごやきさん
(No.10)
 まず、明確な答えは存在しなくて、この条文を作った人に聞かないとはっきりわからないというもののようですね。
 宅建女子さんのおっしゃる通り、言われてみれば②は付け足した感がありますね…。
 そして、①は、ゆくゆくは所有権移転前提で、先に対抗要件を備えている感じですかね。賃借人も事前に了承してる感じだから、当然に移転する。
 ②は、事前に了承しているわけではないけども(対抗要件を備えてないし)きちんと賃貸人と譲受人が合意の契約のような明らかな事をして(口頭でいいのかわかりませんが)、賃借人の承諾無しで移転していいよってことですかね。
 なんとなくイメージできました。

 お二人とも貴重な時間を割いていただき、ありがとうございました。
2025.06.13 22:04
たまごやきさん
(No.11)
 ヤスさん、コメントありがとうございます。
 ②は、対抗要件を備えることができない時のためのものなのですね。
 まだまだ理解があやふやで借地借家法を復習します。何でも知ってて凄いですね\(◎o◎)/!

 助かりました。ありがとうございました。
2025.06.13 22:13

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